【写真】瀬川(小芝風花)を目当てに来た吉原の人出の多さに驚く蔦重(横浜流星)

横浜流星が主演を務める大河ドラマ「べらぼう～蔦重栄華乃夢噺～」(毎週日曜夜8:00-8:45ほか、NHK総合ほか)。2月23日に放送された第8回「逆襲の『金々先生』」では、花魁の名跡である瀬川を継いだ花の井(小芝風花)の新しい客として盲人の鳥山検校(市原隼人)が登場した。(以下、ネタバレを含みます)

■数々の浮世絵師らを世に送り出した“江戸のメディア王”の波乱の生涯を描く

森下佳子が脚本を務める本作は、18世紀半ば、町民文化が花開き大都市へと発展した江戸を舞台に、“江戸のメディア王”にまで成り上がった“蔦重”こと蔦屋重三郎の波乱万丈の生涯を描く痛快エンターテイメントドラマ。

蔦重はその人生の中で浮世絵師の喜多川歌麿、葛飾北斎、山東京伝らを見い出し、また日本史上最大の謎のひとつといわれる“東洲斎写楽”を世に送り出すことになる。

蔦重の幼なじみの花魁・花の井(五代目瀬川)役で小芝風花、蔦重に影響を与える“希代の天才”平賀源内役で安田顕、幕府“新時代”を目指す権力者・田沼意次役で渡辺謙が出演。語りを綾瀬はるかが務める。

■瀬川の客として鳥山検校がやって来る

第8回は、蔦重に思いを寄せる瀬川の切なさが視聴者を魅了した。叶わないことだとは瀬川自身が分かっているからこそ一段と苦しい。その気持ちに気付かない蔦重の鈍感さは確かなのだが、吉原で暮らす男として女郎たちを恋の相手として見ないしきたりの中で育ってきたのだから無理もないのだ。そして瀬川の幸せを誰よりも願うのも本心のはずで、それも瀬川を思えば切なさを増す。

そんな2人の様子が浮き彫りになった中で、瀬川の新しい客として鳥山検校(市原隼人)が現われた。

“検校”とは、盲人に与えられた最高位の官位。当時の盲人は、幕府や朝廷の手厚い庇護を受け、高利貸しも許されていたため巨万の富を築く者もいたという。そんなこともあってか、忌み嫌われる側面もあった。それでも女郎屋にとっては、検校とあらばことさら無下にできない。

瀬川は同席するものたちに「皆、金の山が座ってると思いんしょ」と声を掛け、鳥山検校が待つ座敷に向かった。



■市原隼人“鳥山検校”の色気に視聴者騒然

鳥山検校の隣に座った瀬川は、チラリと視線を送る。すると鳥山検校が顔を向け、瀬川はハッと驚いた。「すまぬ。驚かすつもりはなかったのだが…」と鳥山検校。

初会の客に花魁は口をきかない決まりのため、女将・いね(水野美紀)が「まぁ、驚いたことまでお分かりに？どうやって」と聞いた。鳥山検校は「息を呑んだ音がした。声や足音や衣擦れの音で大抵のことは分かるのだ」と説明した。

その後、鳥山検校は瀬川への豪華なかんざしや何冊もの本の贈りものをする。初会は座っているだけで「さぞ退屈であろう」と。

その気遣いに瀬川は「よろしければ、一冊、読みんしょうか」と語り掛けた。しきたりを破ることになるが「常ならば花魁の姿を楽しむのが初会。代わりに声をお楽しみいただいて何の罰が当たりんしょう」というのだ。

盲人の最高位である鳥山検校と、女郎の中でも売れっ子で最高位といえる瀬川。その粋なやりとりが実に見事だった。

そのやりとりを体現した小芝と市原。小芝は、第1回から抜群の演技を見せているが、市原はこの第8回が初登場で、しかも3分ほどのシーンで多くの視聴者の目を奪う存在感だった。

SNSには「検校さま、かっこいい」「粋でかっこいいセクシー検校」「色気ダダ漏れ」「色っぽすぎる」「瀬川花魁と並んでも霞まない色気があったぞ」との声が上がった。

市原といえば、本作の脚本家・森下佳子が手掛けた大河ドラマ「おんな城主直虎」(2017年)で傑山という僧侶を演じてファンを魅了。今回もそのときと同じ坊主頭での登場となり、声色や座っているだけの佇まいからも色香が匂い立つようだった。史実では、鳥山検校は瀬川を身請けすることになる。どう描かれていくのか、今後に期待が高まった。

◆文＝ザテレビジョンドラマ部



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