「1位巨人、2位阪神」のシーズンが過去17回。阪神は巨人との一騎打ちは避けたいはず…今年の両球団の強みと懸念点を検証

宮崎キャンプで談笑する阿部慎之助監督と鳥谷敬氏©産経新聞

「1位巨人、2位阪神」のシーズンが過去17回。阪神は巨人との一騎打ちは避けたいはず…今年の両球団の強みと懸念点を検証

2月22日(土) 6:52

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各球団キャンプインし、野球ファンにとってシーズン開幕が待ち遠しい季節になった。セ・リーグで注目したいのは、昨シーズンの終盤まで激しい優勝争いを繰り広げた巨人と阪神。おそらく、今年はこの2球団がリードしつつ、他球団が背中を追う展開になるのではないか。両球団の戦力を分析していこう。

岡本が目指すべきは「日本一とシーズンMVP」

連覇を狙う巨人は課題が明確だ。昨年のクライマックスシリーズ敗退の原因、「打線の火力不足」に尽きる。オフに阪神の主軸である大山悠輔を獲得できなかったのは非常に痛かった。昨年と同様、投手力と固い内野守備を活かす、ディフェンス重視の戦略をとると予想する。

ここでポイントとなるのが、岡本和真の存在。今年はメジャー挑戦を見据えた大事な年で、かつて松井秀喜がリーグ優勝&日本一を置き土産にしたような活躍が期待される。ちなみにライバルの村上宗隆は、2021年に日本一を“達成済み”。彼と同じくシーズンMVPが獲得できれば言うことはない。

一つひとつのプレーやコメントからも、今年にかける気迫がひしひしと伝わってくる。外野守備など複数ポジションを練習していることから、岡本の調子のバロメーターの一つでもある身体が絞れてくれば開幕ダッシュのような形で、活躍が見込めるだろう。あとは、調子がいいときは欲張りすぎず、フォームを崩さないように継続できるかがポイントになる。

岡本が去ったあとを担うであろう浅野の奮起に期待

昨年活躍した吉川尚輝やエリエ・ヘルナンデスにくわえて、新外国人のトレイ・キャベッジがどこまでチームの打力を底上げできるかにも注目したい。もちろん忘れていけないのは坂本勇人と丸佳浩のふたり。豊富な経験はチームにとってまだまだ必要な要素。

ただ、岡本のメジャー挑戦を見据えると、浅野翔吾に一皮むけてもらいたい。長嶋茂雄氏が松井秀喜を、原辰徳氏が坂本をそれぞれ一本立ちさせたように、阿部慎之助監督も自らのチームを代表する選手を育成してほしい。

投手陣は菅野智之が抜けたものの、投手運用や継投さえ間違えなければ今年も安定した試合運びができると見ている。だからこそ、得点力を改善できるかがペナントレースを勝ち抜くうえでの鍵になるだろう。

阪神の強みは実力者ぞろいの先発陣

一方で阪神は投手陣の層の厚さが大きな強みだ。髙橋遥人が復帰し、才木浩人や2年連続二桁勝利の大竹耕太郎、一昨年のMVP村上頌樹と多士済々だ。その他、ジェレミー・ビーズリーや伊藤将司、西勇輝といった実力者が控える先発陣は他球団からすれば羨望の的だろう。

主力である近本光司や森下翔太、大山が例年通りの活躍をすれば、決して侮れない打線になる。

さらに、ディフェンス面と不安定なパフォーマンスで叩かれがちな佐藤輝明も最低60打点は計算できる選手。現代の打低傾向を考えると貴重な存在だということを忘れてはいけない。ただ、守備のミスから打撃の調子を崩すことになることは避けたい。なるべく負担の少ないポジションで起用してほしいものだ。

指導経験がない藤川監督は大丈夫か?

とはいえ、懸念材料がゼロではない。藤川球児監督の経験不足が勝敗を分ける可能性は少なからずあるだろう。セ・リーグで、「シーズンを通した指導経験がない監督」で優勝を果たしたのは、2004年に中日ドラゴンズを率いた落合博満氏まで遡る。ちなみにパ・リーグを含めると、2015年に福岡ソフトバンクホークスで日本一になった工藤公康氏になる。

さらに、不安要素を挙げるとしたら、昨年苦しい場面を救ってきた桐敷拓馬に勤続疲労の懸念がある。ただ、繰り返しになるが、投手陣の層は厚い。ゆえに藤川氏をはじめとした首脳陣の投手運用が機能すれば、桐敷への一極集中も避けられるはずだろう。

野手陣は、大きく成績を下げた中野拓夢のパフォーマンスに注目したい。復調すれば、打線の安定感も向上するだろうし、一気にチームを勢いづける可能性がある。

阪神は巨人との一騎打ちは避けたいはず

余談だが、2023年末に『日刊SPA!』で公開された記事を振り返ってみたい。筆者は「巨人と阪神がリードする展開になる」と予想したわけだが、今年も同様の結果になる可能性が十分ある。

この両球団が直接優勝を争ったシーズンは、昨年を含めて17回。最終的には17回すべての年が「1位巨人、2位阪神」という結果になっている。

阪神からすると巨人との一騎打ちは避けたいだろう。ただし、巨人が打線の火力不足を補えなければ、一昨年のように阪神の独走もあり得る。今年もシーズン序盤から目が離せない。

<TEXT/ゴジキ>

【ゴジキ】
野球評論家・著作家。これまでに 『巨人軍解体新書』(光文社新書)・『アンチデータベースボール』(カンゼン)・『戦略で読む高校野球』(集英社新書)などを出版。「ゴジキの巨人軍解体新書」や「データで読む高校野球 2022」、「ゴジキの新・野球論」を過去に連載。週刊プレイボーイやスポーツ報知、女性セブンなどメディアの取材も多数。Yahoo!ニュース公式コメンテーターにも選出。日刊SPA!にて寄稿に携わる。Twitter:@godziki_55

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