昨今SNSで「#ドカ食い気絶部」のハッシュタグが流行中。いわゆる暴飲暴食とは違い、食後に急激な眠気を得ることを目的としてドカ食いをする行為だ。「気持ちよく寝るために食いまくる」という女性たちが抱える“心の闇”とは……?
「気絶するためにドカ食い」暴食投稿がSNSで流行中
「ドカ食い気絶って依存性がすごいんです」
こう口を開くのは、金融業界で働く平木茉優さん(仮名・23歳)。身長147㎝、体重43㎏という小柄な体形からは想像もつかないが、彼女は「#ドカ食い気絶部」の一員だという。
「きっかけは彼氏のために極端なダイエットをしてたこと。そのストレスの反動でピザをドカ食いしたら、満腹感からすごく気持ちよく眠れることを知ってしまって……。そこから、“気絶”するためのドカ食いにハマっちゃった」
彼女が気絶と呼んでいるのは、ドカ食いで血糖値が乱高下する「血糖値スパイク」による急激な睡魔のこと。
「ドカ食い→気絶→ドカ食い→気絶」のループにハマった過去
近年、この血糖スパイクによる急激な睡魔を目的にドカ食いする人が増えており、彼らは「#ドカ食い気絶部」というハッシュタグを利用し、SNSなどでドカ食い写真などを投稿しあっている。
「一番ヤバかったのは、大学時代の長期休み。昼すぎに起きて近所のコンビニに行き、カツ丼と中華丼、カップラーメン、あずきバー1箱を買い込み、1時間弱で食べきってそのまま“気絶”。夕方に目覚めると、また同じセットを胃に詰めてすぐ気絶する、というサイクルで生活してました」
社会人になってからもドカ食い気絶に頼る生活は継続。「ドカ食いなしではなかなか寝れない」と語る姿は、もはや依存者だ。とはいえ、「暴食で体重が増えていくことはストレスで……」と続ける。
「プロテインドリンクを毎朝飲んでいたら少しドカ食いしたい衝動が収まりました。おかげで体重は減りましたが、尿酸値は異常に高いままです」
ドカ食い気絶は体に負担をかける行為に違いないが、投稿は日々増え続けている。
それでもドカ食いしたいなら…
「最近は簡単に血糖値を測れるようになり、血糖値を上げる食事の常識が変わりつつあります」
そう話すのは、自身を実験台にさまざまな食事の血糖上昇量を紹介している内科医の山村そう氏。専門家が考える、血糖値が急激に上昇しやすいメニューとは?
「例えば大盛りカツカレーにコーラ、デザートにどら焼きを食べるメニューはヤバい。ライスだけでなく、カレールウの小麦粉やカツの衣であるパン粉にも糖質がたっぷり。果糖ぶどう糖液糖が入っている甘いジュースもまずい。そして意外かもしれませんが、血糖値の上昇を抑える作用のある脂質が少ない和菓子も血糖値を急上昇させます」
血糖値上昇を抑えるメニューとは?
一方で、血糖値の上昇が比較的緩やかなメニューはこうだ。
「例えばレバニラ定食、枝豆、ビールの組み合わせはおすすめ。アルコールは糖の吸収を穏やかにする作用があるので、甘くない蒸留酒は飲んでもOK。ポイントは少ない量のライスを食事の最後に食べる『カーボラスト』を心がけること。なので、飲んだ後の締めラーメンは当然ご法度です」
ドカ食いしたくなったときは、定食屋に行くのがよさそうだ。
【内科医・山村そう氏】
やさしい内科クリニック院長。自身のYouTube「やさしい内科医のY's TV」では、さまざまな食べ物の血糖上昇量を測定する動画などを発信
取材・文/週刊SPA!編集部
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