放送部を舞台に、仲間と共に大好きな朗読を深めていく女子高生・春山花奈の心の成長を描いた青春ストーリー『花は咲く、修羅の如く』。今回は、重要なテーマのひとつである「声」にこだわった収録に毎回チャレンジしているという春山花奈役の藤寺美徳と、同じ放送部員でNコンのアナウンス部門での出場を目指す夏江杏役の和泉風花に、本作の魅力や演じてみての感想をたっぷりと語ってもらった。
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――それぞれ演じる役が決まったときの感想を教えてください。
藤寺オーディションのときからずっと「やりたい!」と願っていたキャラクターだったので、決まったときは喜びと信じられない気持ちで胸がいっぱいになって、膝から崩れ落ちてしまいました。嬉しくて帰り道はスキップしながら帰ったぐらいです(笑)
和泉その様子見たかったな(笑)。私は最初杏ちゃんとは別のキャラクターでオーディションを受けさせてもらいました。演技はすごく集中して楽しめたのですが、その場で急に3分間、作品に絡んだテーマについてフリートークをするように言われたんです。私はそこで1分ぐらいしかしゃべれず……。
藤寺私も1分半ぐらいです。なので落ちたかも……と思っていました。
和泉同じだ(笑)。そんなこともあって、ちょっと落ち込んだりもしていたんですが、ありがたいことに夏江杏ちゃんで出演させていただけることになりました。
――この作品について、最初に抱いた印象を教えてください。
藤寺原作のコミックを読んだらすごく面白くて、ワクワクするお話しでした。特に朗読シーンの世界がバーッと広がるような描写が印象的で。花奈ちゃんを演じるときに求められるハードルの高さを感じつつ、「私もこんな風に朗読してみたいし、出来るようになりたい!」と思いました。
和泉私も原作を読ませていただいて感じたのは、すごく真っ直ぐな思いが伝わってくる熱い漫画だと感じました。花奈ちゃんの抱く”憧れ”にまぶしさを感じつつ、「必ずしも努力が報われるわけじゃない」という現実をシビアに描いたシーンに、胸が苦しくなってしまうところもあって。そこに共感してしまう私が杏ちゃん役を、作品の華やかな部分に目がいく美徳ちゃんが花奈ちゃん役を演じたのは必然だったような気がします。
――放送部を舞台にした作品というのも面白いですよね。
藤寺放送部の活動内容や、Nコンというコンテストがあることも知らなかったんです。なので、中学生時代に放送部の部長をやってらっしゃった学校の先輩に部活動の内容や「Nコンの大会の雰囲気ってどんな感じですか?」と、お話しを聞いたりして、イメージを膨らませていきました。
和泉今現在活躍されている先輩声優の方の中にも、放送部でNコン出場経験があるという方がたくさんいらっしゃって。その先輩方のことをすごい技術と基礎がある方だと思っていたので、Nコンはそういった”すごい方を輩出している大会”というイメージがあったんです。この作品を通して、放送部の活動やNコン出場を目指して部員たちがどのように取り組んでいるのかという背景を知ることができたので、大会で優秀な成績を収められたという先輩方のすごさを、改めて感じました。
藤寺が同じ高校生として等身大に演じた花奈
――花奈と杏を演じるにあたって、大事にしたポイントを教えてください。
藤寺大事にしているところは、花奈ちゃんの真っ直ぐなところです。私自身が花奈ちゃんと同じ高校生なので、変に飾らず等身大で演じることを心がけました。新たな出会いや刺激的な体験で、花奈ちゃんが少しずつ成長していく姿がすごく可愛いし、愛おしいんですよ。同じ高校生ですが母親みたいな目線で花奈ちゃんのことを見つめつつ、自分もその成長についていけるように頑張って演じています。
和泉杏ちゃんって、もともと出来る子なんですよね。中学時代は放送部副部長とNコン出場経験者でしたし、積み重ねてきた努力に見合った実力が、自分にあることも自覚していて。でもそうした表に出ている強気な面って、実は彼女の中にあるコンプレックスや、弱い部分をまぎらわせるために見せている姿なのかもって、私には思えるんです。そうした常に「できる自分でいなきゃ」って、すごく背伸びをしているところは意識しながら演じています。
――収録で気を付けていることなどありましたら教えてください。
藤寺最初に監督から「日常のシーンと、朗読のシーンは差をつけたい」という話がありました。会話劇みたいなところがある作品なので、日常シーンのやりとりについては、一音一音のアクセントにまで、ものすごく音に気を遣いながら丁寧に作っています。アクセントの変化で、花奈ちゃんの心の動きを見せたりする演出もあったりして、「こんな表現の仕方があるのか」とビックリしました。
和泉杏ちゃんはツンデレな印象が強いと思うんですけど、ツンツンツンというより「同じ土俵に立っていませんけど」の気持ちが強く出ちゃっているんです。その違いはしっかりと出すようにしています。あと杏ちゃんは少しずつ心の鎧を脱いで、だんだん仲良くなっていくなっていくタイプの子なので、周りのキャラクターとの距離感には気を配るようにしていました。
藤寺(秋山)松雪君を相手にデレッとしたお芝居もすごく素敵ですよね。
和泉いつもツンツンしているから、杏ちゃんの可愛いデレを演じられるのは楽しかった。
藤寺日常シーンでは「高校生らしい雰囲気を大事にしよう」というディレクションもありました。「高校生だから、そんなに深く考えてしゃべってない」みたいなことを、音響監督の濱野(高年)さんがおっしゃっていて。
和泉声を題材にした作品ということで、音にこだわって作っているということもあり、監督的に「良し」となるところにたどり着くまでが大変で、すごく繊細な演出をつける必要がある作品でした。初めて聞くようなディレクションをいただいたり、いつもと違うアプローチでのお芝居をするようなことも多かったりもしたんですが、どれも刺激的で楽しい現場でした。特に5話は杏ちゃんのお当番回だったので、納得いくまで何度もやらせていただくことになりまして、美徳ちゃんに「ゴメンね」って、メチャクチャ謝っていたことはよく憶えています。
――朗読シーンについては、どう演じられたのでしょうか?
藤寺日常シーンから朗読になった途端に、パッと雰囲気が変わって、聴いている人の意識が花奈ちゃんの朗読に引き込まれていくんですが、それを自分の声で表現していくのは、すごい難しかったです。朗読の題材の解釈も、私と花奈ちゃんでは違いますし、原作に演劇部のような読み方の表現があったりもしたので、毎回朗読のたびに音響監督さんたちと話し合いながらちょうどいい案配を探っていった感じです。
和泉花奈ちゃんの成長に合わせて、美徳ちゃんの朗読レベルもどんどん上がっていくのがわかるんですよ。朗読がこの作品の要ということもあり、すごいプレッシャーだったと思うんです。いつも見事に演じきってくれて、同業者としてシンプルにすごいなって尊敬のまなざしで見ていました。いくらでも褒めるよ(笑)。すごいんだから、本当に。
藤寺ありがとうございます(笑)
杏と違って和泉は花奈と馴れ合いたい!?
――本編の折り返しとなる5話では花奈と杏が衝突することになりました。
和泉そのシーンなんですが、監督から「ちょっと優しすぎるね」というディレクションが入ってしまいまして。どうやら収録で毎回会っているうちに、美徳ちゃんが可愛くていい子なので、愛でる気持ちが強くなりすぎて、きつい態度をとれなくなっていたみたいなんです。なので、そのシーンでは心を鬼にしてケンカをさせてもらいました(笑)
藤寺仲良くなりたい花奈ちゃんが、杏ちゃんに頑張って話しかけたりとかするんですが、「馴れ合うつもりはない」って、ハッキリ和泉さんが言ってくださるんです。
和泉それ言ってるの杏ちゃんだからね。私は花奈ちゃんと馴れ合いたいと思っているから(笑)。
藤寺そうでした(笑)。でも、そんな杏ちゃんに対して、私の中から「じゃあどうしたら私と向き合ってくれる?」という花奈ちゃんのセリフがスッと出てきたんです。それって、いままでの関係性の積み重ねがあったからなんだろうなっていうのがあって。それまで、よそよそしさがあったふたりなんですけど、この5話で距離がグンって近づいたことを実感できました。
――お互いの声についてどんな印象がありますか?
和泉美徳ちゃんの声にはタンポポとかコスモスとか、見つけるだけで人を嬉しくさせるような、そんなお花のイメージがあります。演技の強弱の流れもつぼみが開くみたいな変化の付け方をしているんです。なので、すぐに「お花かな」って思いつきました。
藤寺初めて言われました。すごく嬉しいです。和泉さんの声はクリアで、すごくよく透る声という印象ですね。アナウンスの声もスッと心に入ってくる心地よさがあって。杏ちゃんの持つ芯の強さを表現するのにピッタリ合っている声質だなって思いました。誰目線だって感じですが(笑)
和泉いやいや、メッチャ嬉しいよ!
――最後に7話以降の見どころと、ファンへのメッセージをお願いします。
藤寺個人的には、テレビドラマを作るお話しが好きなので、来週の7話は私も楽しみにしています。劇中劇というかたちでキャラクターが役を演じたり、花奈ちゃんも朗読するので、そこにも注目していただきたいです。本当に部活みたいな雰囲気の現場で、優しい先輩方やスタッフさんと一緒に一音一音を丁寧に繊細に作っています。そんな現場の熱い想いを皆さんにも感じていただきながら、後半戦に向けて楽しんでご覧いただけたら嬉しいです。
和泉いよいよ本格的に「Nコンを目指すぞ」という展開になっていきます。同じ部員でも、それぞれNコンに賭ける想いや取り組み方もいろいろありますので、その違いを楽しんで見てほしいです。杏ちゃんがアナウンス部門に変更したきっかけになったキャラクターも登場したりと、キャラクターもどっさり増えて、お話がより華やかになっていきます。花奈や部員たちとの仲も深まって、いままでとはまた違う杏ちゃんの表情も見られますので、ぜひご期待ください。
藤寺美徳(ふじでらみのり)
12月18日生まれ。エイベックス・ピクチャーズ所属。主な出演作はTVアニメ『ワッチャプリマジ!』(御芽河あうる)、『ひみつのアイプリ』(青空ひまり)、ゲーム『ガーディアンテイルズ』(シロキ)ほか。
和泉風花(いずみふうか)
1月11日生まれ。アミューズ所属。『HIGHSPEED Etoile』(輪堂凛)、『魔法少女にあこがれて』(柊うてな/マジアベーゼ)、『しかのこのこのここしたんたん』(馬車芽めめ)、『魔導具師ダリヤはうつむかない』(ルチア・ファーノ)ほか。
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