《尻膨茶入銘 夜舟》瀬戸日本・桃山~江戸時代16~17世紀根津美術館蔵(仕覆6点のうちの4点)
2月17日(月) 2:30
2025年2月22日(土)より、南青山の根津美術館では、『武家の正統片桐石州の茶』が開催される。大名茶人・片桐石州(1605-73)と、江戸時代、武家を中心に広まった茶道・石州流の茶の湯を、石州の没後350年を経た今、顕彰する展覧会だ。
片桐石州(貞昌、石見守、三叔宗関)は、大和国小泉藩第2代藩主であり、武家を中心に広まった茶道・石州流の祖。千利休の流れを汲む佗び茶を基に、大名らしい厳かな茶会を開くことで知られていた。そんな石州の一世一代の晴れ舞台となったのが、寛文5(1665)年、4代将軍徳川家綱への献茶である。将軍と老中という最高権力者への献茶を見事に成功させた石州は、これにより武家茶道の地位を確立する。以後石州流からは江戸城の茶を取り仕切る数寄屋坊主を数多く輩出し、仙台藩の伊達綱村や彦根藩の井伊直弼など、多くの大名茶人が石州流の茶の湯を行った。まさに石州流の茶の湯は、徳川政権下における「武家の正統」と言えるだろう。
《片桐石州像》洞月筆真巌宗乗賛日本・江戸時代明和4年(1767)芳春院蔵(展示は3/9まで)
同展では、寛文5年の献茶の席の床の間を飾った墨跡他、茶入れや自作の茶杓といった石州愛用の茶道具、また茶道具の鑑定家でもあった彼の一面を見ることができる自筆の鑑定書などを紹介。播磨姫路藩2代藩主・酒井宗雅が譲り受けた石州遺愛の釜など、武家社会における石州流の広がりがわかる品々も展示する。茶道史上、重要な位置を占めながらもあまり注目されてこなかった石州と、石州流の茶の湯を、初めて広く紹介する展覧会だ。
なお、展示室5では、江戸初期の椿ブームを背景に制作された《百椿図》を公開する『百椿図―江戸時代の椿園芸―』を、展示室6では、春にふさわしい茶道具を紹介する『春情の茶の湯』を同時開催する。
《百椿図》(部分)伝 狩野山楽筆日本・江戸時代17世紀根津美術館蔵茂木克己氏寄贈
<開催概要>
特別展『武家の正統片桐石州の茶』
会期:2025年2月22日(土)~3月30日(日)
会場:根津美術館
時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜(2月24日は開館)、2月25日(火)
料金:一般1,500円、大高1,200円(日時指定予約制)
※『百椿図-江戸時代の椿園芸-』、『春情の茶の湯』も同時開催
公式サイト:
https://www.nezu-muse.or.jp/