2月13日(木) 18:50
父が息子への祝いとして、20年前に自身が購入したロレックス デイトナを譲渡しようとしたとします。その当時の購入価格が80万円台で、譲渡に際して価値を調べたところ230万円といわれたとしましょう。高級時計のデイトナとはいえ、このようなことは起こるのでしょうか? 過去の定価や買取価格を見ていきます。
過去のデータとして、デイトナ(116520)は約20年前の2003年では定価が80万8500円でした。ちなみに、2007年では92万4000円、2013年では109万2000円、2014年では112万3200円で定価自体も上昇しています。
買取価格も大きく上昇し、デイトナのモデルや傷などの保存状態にもよりますが、デイトナの中古価格は2025年1月時点で定価を大きく上回っており、買取実績が300万を超えることがざらにあります。
したがって、今回のように80万円の定価が200万を超えて230万円になることは、珍しくないケースといえるでしょう。
では、今回のようなロレックスデイトナですが、税金の対象になるのでしょうか?答えとしては、贈与税の対象になり得ます。
贈与税は基礎控除の110万円を超えると課税され、受け取った人(受贈者)が支払います。直系尊属以外の人からの贈与は一般贈与が適用され、贈与税率は200万円以下の場合が10%で控除額はなし、300万以下の場合は税率15%で控除額が10万円です。
今回は直系尊属からの贈与になり、これは特別贈与財産になります。200万円以下の場合は一般贈与と同じで10%の税率で控除額はありませんが、400万円以下の場合は税率15%で控除額が10万円です。
このことから、デイトナの価格が80万円から230万円になり息子に譲渡した場合、基礎控除の110万円を差し引いた120万円が課税対象で10%の税率を掛けて、贈与税額は12万円になります。
価値が高いとはいえ、親子間の贈与で税金は支払いたくないのが心情でしょう。そこで、国税庁より贈与税がかからない場合もいくつか紹介しておきます。
●夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるための財産で、通常必要と認められるもの
●個人から受け取る香典や、花輪代、年末年始の贈答、祝物または見舞いなどの金品で、社会通念上相当と認められるもの
これらに当てはまれば、贈与税を支払わなくてよいのですが、デイトナが生活費に充てるための財産や、祝物として社会通念上相当とみなされるかは難しいと思われます。特に、デイトナは値上がりしている高級時計で、今後も資産価値が上昇していくことも考えられ、社会通念上相当の贈与とみなされる可能性は低いと考えられます。
ここまで、高級時計のロレックス デイトナの譲渡と税金の関係について紹介しました。贈り物としての高級時計は親子間の譲渡でも税金負担を生じることがあります。支払った税金以上の価値があるものになり得ますが、譲渡の際には税金のことも念頭に置いておくとよいでしょう。
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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