第77回カンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを受賞した『ANORA アノーラ』(2月28日公開)。このたび、本作の本編映像と著名人からの感想コメントが到着した。
【写真を見る】身分違いの恋という古典的な題材をリアルに映し出した現代の“アンチ”シンデレラストーリー
第97回アカデミー賞で作品賞をはじめ、主演女優賞、助演男優賞、監督賞、脚本賞、編集賞の6部門にノミネートされた本作。ニューヨークを舞台に、身分違いの恋という古典的な題材をリアルに映しだした現代の“アンチ”シンデレラストーリーだ。昨年2024年に全米で公開されるや否や、絶賛の声が相次ぎ、公開規模も5館から1500館に拡大。米メディアIndieWireが発表した60名以上の映画人が選んだ2024年のお気に入り映画1位に選出され、映画好きで知られるオバマ元大統領の「2024年の映画10本」にも選ばれた。
賞レースでもすでに300以上の賞にノミネートされ、100以上を受賞。先日発表され、オスカーの重要指標である第30回クリティクス・チョイス・アワードで作品賞、第77回全米監督協会賞では長編映画監督賞、第36回米製作者組合賞でも作品賞を受賞するなど、アカデミー賞作品賞の最有力候補と目されている。
このたび解禁された本編映像は、主人公のアニーことストリップダンサーのアノーラ(マイキー・マディソン)が、ロシアの新興財閥の御曹司イヴァン(マーク・エイデルシュテイン)と結婚式を挙げる幸せ絶頂のシーン。ともに楽しい時間を過ごすうちに恋に落ちた“契約彼女”アニーとその雇い主イヴァンは、勢いのまま旅先のラスベガスの教会で式を挙げる。この教会は24時間営業でいつでも車で乗り付けて挙式ができる「ドライブスルー教会」として有名で、ブリトニー・スピアーズやマイケル・ジョーダン、浜崎あゆみらもここで結婚式を挙げている。
挙式のあと、アニーとイヴァンは“世界は2人を中心に回っている”と言わんばかりに路上で抱き合い踊るが、ここで流れる曲がTAKE THATの「Greatest Day」。「今日は人生の最高の日になる~ほら、今夜世界が動き始める」という歌詞がぴったりくる、多幸感たっぷりの映像になっている。
本国でも絶賛が相次いだ本作だが、日本でもいち早く作品を見た著名人たちから絶賛の声が上がっている。昨年のカンヌ国際映画祭で審査員を務めた是枝裕和監督は、「ショーン・ベイカー監督の人間愛を体現した全ての登場人物に拍手を!」と称賛。俳優の長谷川京子は「全ての女の子、女性に観て欲しい。~本当のあなたは?」と問いかける。NHK連続テレビ小説「虎に翼」の脚本家、吉田恵里香も「『目を瞑らすな、言い訳するな』と、セックスワーカーを描き続けてきたショーン・ベイカーから突き付けられた気がしました」と大きな刺激を受けた様子。
ほかにも、「アノーラを応援しながら見ていたら、いつの間にか自分が生きる力をもらっていました」(辛酸なめ子)や「アノーラと一緒に飲んで語りたい!」(バービー)、「全く飽きない139分」(ゆっきゅん)、「アニーは、物語のためにいるんじゃない。物語の方が、アニーに伴走する悦びを味わうときが来たのだ」(戸田真琴)、「女だからその痛みが死ぬほど理解できて、最後一緒に泣いてしまった」(山田佳奈)、「勝手に戦友みたいな気持ちで、ふざけんなよ…!と爪が食い込むほどに拳を握っていた」(宇垣美里)など、主人公のアノーラに共鳴したシンデレラストーリーらしからぬ言葉が並んでいる。
ラスベガスで“人生最高の日“を迎えたアノーラ。その先にはいったいどんな結末が待っているのか?予想のはるか斜め上をいく、心を鷲掴みにされるラストをぜひ映画館で確認して欲しい。
■<コメント>
●是枝裕和(映画監督)
「ショーン・ベイカー監督の人間愛を体現した全ての登場人物に拍手を!」
●長谷川京子(俳優)
「全ての女の子、女性に観て欲しい。表層的な振る舞い、虚構と真実。強がりは自分を守る盾になり。でも、そろそろ気づいてるはず。本当のあなたは?」
●吉田恵里香(脚本家)
「いままでエンタメがキラキラとコーティングをして目を瞑ってきたものの中には、あらゆる社会問題と女性蔑視が詰まっている。目を逸らさず正面から描いてもエンターテイメントは成立する。『目を瞑らすな、言い訳するな』と、セックスワーカーを描き続けてきたショーン・ベイカーから突き付けられた気がしました」
●バービー(お笑い芸人)
「幸せなんてつかめなくて当たり前!人生はミスしてなんぼ、まずはアノーラみたいに手を出さなくちゃ!アノーラと一緒に飲んで語りたい!」
●豊田エリー(俳優)
「ショーン・ベイカー監督の眼差しは信頼できる。この“アニー”に銃はいらない。言葉の弾丸が鋭くもコミカルに私の心を撃ち抜いた。好き!!一生鳥かごから出られないであろうアイツより、ずっと気高く自由で逞しいよ、アニー」
●尾崎世界観(クリープハイプ)
「電池の残量が0%になるまですべて感情を使い果たす。そんなアノーラを見ていると、こまめに充電ばかりしている自分が情けなくなる。言葉にならないあのラストシーンを握りしめて、もっと思い切り生きていこうと思った」
●ジェーン・スー(コラムニスト、ラジオパーソナリティ)
「うまい話はおとぎ話ではない。でも、それでよかったんだと思う。自分が抱えた現実に真正面から対峙していくことができたのは、アノーラだけだったのだから。大切なのは、それだけなのだから」
●ゆっきゅん(DIVA)
「アニー、いや、アノーラ!あなたの人生は極彩色のジェットコースターで大音量、愚かで眩しく素直で美しい。予想がつくような展開でも全く飽きない139分。激しさのなかで隠れていた優しさが露わになってゆくような終盤の2人が愛おしかった」
●戸田真琴(文筆家、映画監督、元セクシー女優)
「かわいくて、セクシーで、有能で、どこか空っぽ。いまこの瞬間も、アニーみたいな女の子は世界中にいて、自分の足で歩いている。アニーは、物語のためにいるんじゃない。物語の方が、アニーに伴走する悦びを味わうときが来たのだ」
●山田佳奈(脚本家、監督、舞台演出)
「『あなた人生イージーに生きてきたでしょ?』。言ったことのある言葉が、ブーメランのように返ってきて、中指を立てた。ふざけんなよ、どうせお前も同じだろって。女だからその痛みが死ぬほど理解できて、最後一緒に泣いてしまった」
●森田望智(俳優)
「魔法が解けてようやくアノーラの物語の1ページ目をめくることができるラストシーン。こんな歪で美しいシンデレラストーリーをずっと観てみたかった気がします」
●辛酸なめ子(漫画家、コラムニスト)
「もはや普通のシンデレラストーリーや玉の輿は、オールドハッピーエンドなのかもしれません。アノーラを応援しながら観ていたら、いつの間にか自分が生きる力をもらっていました」
●宇垣美里(フリーアナウンサー、俳優)
「乱痴気騒ぎな冒頭から誰がこんなビターな味わいの余韻を予想できようか。自ら幸せを掴み取らんと、感情をむきだしに暴れ、罵り、戦うアニーが愛おしくて眩しくて。勝手に戦友みたいな気持ちで、ふざけんなよ…!と爪が食い込むほどに拳を握っていた」
●枝優花(映画監督、脚本、写真家)
「この地球で生きている限り、誰もが未熟でままならない。人生は理不尽でどこか壊れている。なのにどうしてみな、自分だけはまともだと証明したがるのだろうか。そんなもの本当はいらないと言ってほしいはずだ。そうだ、どうだっていいじゃないか。どこまでも愚かで破滅的なこの人生を大闊歩していけばいい。ショーン・ベイカーの映画は、いつだってどうしようもない私たちを抱きしめ祝福してくれる」
●奥山大史(映画監督)
「物語の浮き沈みに合わせて、光も色も構図も絶妙に変わってゆく。アナモルフィックレンズと35ミリフィルムの組み合わせによってこそ映しだせるカットの数々にくらくらしました」
●ひらりさ(文筆家)
「幸せってなんだろう。好きなだけお金を使えること?頼れる家族がいること?愛する人と末長く暮らすこと?それとも…。メディア産業と資本主義が人々にかけた魔法を、ショーン・ベイカーはユーモアたっぷりに解いて見せる。それは、自分なりの幸福を諦めない、すべての人への人生讃歌だ。アノーラ、世界一かっこいいヒロイン!」
●こがけん(お笑い芸人)
「スクリーンから溢れ出るのはTHE人間味!傷だらけでぶつかり合う欠点だらけの人々を、つい愛さずにはいられない。怒りのアノーラから放たれる大量のFワードの爽快さたるや!アノーラがアノーラを生きることが、こんなにも清々しいなんて!」
●土岡哲朗(春とヒコーキ)
「主人公アニーは、王子に選ばれたからそれまでの生活を脱出できたシンデレラ。でも、彼女にも幸せになる権利がある。浮かれたラブストーリーではない。自分の尊厳を守る戦い」
●伊藤さとり(映画パーソナリティ、映画評論家)
「自分を持った強い女性、アノーラが大好きだ。愛すべきイゴールに泣かされるたび、好きになった。不器用だけど純粋な彼の言葉は、全世界の人の心を溶かすはず。社会の外れ者応援団、ショーン・ベイカーの愛がいっぱい詰まった最高傑作がここに!」
●深爪(コラムニスト)
「全編に渡って描かれる“性”と“生”。幸せを求め、時に傷つきながらも貪欲に気高く逞しくサバイブしてきたアノーラが最後に手に入れたものとは。ただの“シンデレラストーリー”に終わらないラストシーンの余韻に浸ってほしい」
文/平尾嘉浩
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