松坂桃李主演「雪の花―ともに在りて―」を鑑賞。疫病から人々を救おうと奔走した実在の町医者の姿を描く感動作!

映画「雪の花―ともに在りて―」メイン写真/(C) 2025映画「雪の花」製作委員会

松坂桃李主演「雪の花―ともに在りて―」を鑑賞。疫病から人々を救おうと奔走した実在の町医者の姿を描く感動作!

2月10日(月) 2:00

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2025年1月24日より全国公開された「雪の花―ともに在りて―」。本作は、「雨あがる」や「博士の愛した数式」、「峠最後のサムライ」などで知られる名匠・小泉堯史監督が、吉村昭の小説「雪の花」を映画化した作品となる。公開前に試写で観た本作の感想を紹介(以下、ネタバレを含みます)。
【写真】福井藩の町医者で漢方医の笠原良策(松坂桃李)
映画「雪の花―ともに在りて―」メイン写真


【ストーリー】
江戸時代末期。死に至る病として恐れられていた疱瘡(天然痘)が猛威を振るい、多くの人命を奪っていた。

福井藩の町医者で漢方医の笠原良策(松坂桃李さん)は、患者を救いたくとも何もすることができない自分に無力感を抱いていた。自らを責め、落ち込む良策を、妻の千穂(芳根京子さん)は明るく励まし続ける。

どうにかして人々を救う方法を見つけようとする良策は、京都の蘭方医・日野鼎哉(役所広司さん)の教えを請うことに。鼎哉の塾で疱瘡の治療法を探し求めていたある日、異国では種痘(予防接種)という方法があると知るが、そのためには「種痘の苗」を海外から取り寄せる必要があり、幕府の許可も必要。

実現は極めて困難だが、絶対にあきらめない良策の志はやがて、藩、そして幕府をも巻き込んでいくのだった。
【写真】福井藩の町医者で漢方医の笠原良策(松坂桃李)


■困難に立ち向かう町医者役を演じた松坂桃李さんの芝居に心揺さぶられる!
江戸時代末期の福井藩を舞台に、多くの人命を奪う疫病から人々を救おうと奔走した実在の町医者の姿を描いた本作の主演を務めたのは松坂桃李さん。

松坂さんにとって「居眠り磐音」(2019年)以来、5年ぶりの時代劇となる本作。「居眠り磐音」では、弱気を助け強きをくじく剣の達人を演じていたが、今回は大勢の命を救うために奔走する町医者を演じている。

現代では当たり前となった予防接種だが、当時は最先端だった蘭方医学を取り入れた良策の種痘(天然痘の予防接種)を不審がる人も多かった。さらに種痘の苗は海外から取り寄せなければ手に入らないため、幕府の許諾も必要となる。

人々の命を救いたい、守りたいという信念を持つ良策は、大きな壁にぶち当たるもあきらめない。そんな良策を、松坂さんは見事に体現している。
映画「雪の花―ともに在りて―」場面写真


本作で「こんなに大変だったのか!」と度肝を抜かれたのが、種苗を運ぶシーン。幕府の許可がおりてやっと手に入れた種痘の苗だが、当時は徒歩か馬に乗っての移動手段しかなかったため、雪山では命懸けの移動となる。

貴重な種苗を接種した子どもを連れて、京都から福井まで雪深い峠を越えなければいけないのだ。協力してくれた家族の命を預かっている責任と、プレッシャーもある中で、種苗を維持させようと必死で困難を乗り越えていく良策の姿に心を揺さぶられる。

ちなみに無事に福井に到着したあと、良策は「イカサマ療法の医者」と言われ、男たち数人に絡まれてしまう。「医者だから戦うのは厳しいよな…」と思っていたら、良策は武器も持たずにあっという間に素手で男たちを倒すため、そのギャップにやられて「信念があって戦闘能力も高い町医者最高だな…」と、心の中で思わずつぶやいてしまった(笑)。
サブ⑩のコピー

サブ②のコピー


■芳根京子さん演じる千穂の意外な一面&役所広司さん演じる日野と良策の師弟関係も見どころに。
良策の妻・千穂を演じたのは芳根京子さん。「居眠り磐音」以来5年ぶりに松坂さんと共演を果たした芳根さんは、2024年第37回東京国際映画祭での「雪の花―ともに在りて―」上映時、舞台挨拶で「(『居眠り磐音』では松坂演じる主人公の許嫁だった)約束はしたんですけど(結婚)できず、今回無事に結婚できて、最後まで支えることができて幸せです」とコメントしていた。

千穂は周りを明るく照らす太陽のような女性だが、意外にも男勝りな一面を持っている。質屋を訪れた際に、千穂が小刀を使って強盗に反撃する姿は、惚れ惚れするほどかっこいいのでチェックしてほしい。
サブ⑤のコピー


良策を導く蘭方医・日野鼎哉を演じたのは役所広司さん。役所さんと松坂さんといえば「孤狼の血」での共演が強く印象に残っている人も多いのではないだろうか。筆者もその一人で、この二人が本作で師弟関係を演じていると知ったときは大興奮してしまった(ドラマ「VIVANT」での共演も最高でした!)。

「孤狼の血」ではマル暴の刑事を役所さん、新米刑事を松坂さんが演じていて、とんでもないバイオレンスなシーンが満載だったが、本作では「孤狼の血」のような暴力的なシーンはない(当たり前)。この二人が同じ画面に映っているだけで胸アツであり、日野から真剣に蘭方医学を学ぼうとする良策の姿にもグッときてしまう。

「蜩ノ記」「峠最後のサムライ」に続く小泉監督作品への参加となった役所さん。画面に登場するだけで安心感があり、出演シーンは短いながらも圧倒的な存在感を放っていた。
サブ④のコピー


良策のモデルとなったのは実在する笠原白翁さん。笠原さんが人生をかけて行なった接種継続が、現代のワクチン接種につながっているのだと思うと心から感謝したくなる。

そんな笠原さんがどのようにして信念を貫き、疫病に立ち向かったのか。ぜひ劇場でチェックしてもらいたい。
サブ⑨のコピー


文=奥村百恵

(C) 2025映画「雪の花」製作委員会




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