2月8日(土) 17:20
公的年金では、支給事由(老齢、障害、遺族)が異なる2つ以上の年金を受けられるときは、原則、いずれか1つの年金を選択しなければなりません(1人1年金の原則)。このとき「年金受給選択申出書」の提出が必要です。
たとえば、今まで遺族厚生年金を受けていた方が、62歳になって特別支給の老齢厚生年金を受けられるようになったときは、遺族給付と老齢給付のいずれか1つを選択することになります。
「遺族基礎年金と遺族厚生年金」のように支給事由が同じであれば、あわせて受け取れます。ただし、同じ支給事由であっても2つ以上の基礎年金や厚生年金を受け取れるときは、いずれか1つの年金を選択します。
今まで夫が亡くなったことにより遺族厚生年金を受けていた妻が、子の死亡によって新しく遺族厚生年金を受けられるようになった際は、いずれか1つの年金を選択します。しかし、65歳以後は、特例的に支給事由が異なる2つ以上の年金を受けられる場合があります。
夫が亡くなり、妻が65歳から老齢厚生年金と遺族厚生年金を受ける権利がある場合、A「遺族厚生年金(夫の老齢厚生年金の4分の3)」とB「妻の老齢厚生年金の2分の1(夫の老齢厚生年金の2分の1)+遺族厚生年金の3分の2」を比較して、いずれか高い年金額を受け取ります。
受け取る年金額が決まったら、まず、妻の老齢厚生年金の受給(全額)が優先されます。次にAまたはBで算出した年金額が、妻の老齢厚生年金よりも高い場合、その差額分を遺族厚生年金として受けられます。
逆に遺族厚生年金より老齢厚生年金の年金額が高い場合は、遺族厚生年金は全額支給停止になってしまいます。なお、遺族年金は非課税、老齢年金は雑所得として課税の対象です。
「1人1年金」の原則により、「遺族厚生年金と老齢厚生年金」のように支給事由の異なる年金の両方を受け取れません。しかし、65歳以降は状況が変わります。
65歳以降に遺族厚生年金と老齢厚生年金の受給権がある場合、遺族厚生年金は、老齢厚生年金より年金額が高い場合に、その差額を受給することが可能です。遺族厚生年金よって老齢厚生年金の年金額が高いケースにおいては、遺族厚生年金は全額支給停止となります。
ただし、遺族厚生年金と老齢厚生年金の両方を受け取れる場合でも、それぞれ全額を受け取れるわけではありませんので注意しましょう。
日本年金機構年金の併給または選択
日本年金機構2つ以上の年金が受けられるようになったとき(パンフレット)
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー
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