2月7日(金) 18:00
協会けんぽの健康保険料率の平均は10.00%(5.00%*)です。健康保険料率が最も高いのは佐賀県の10.42%(5.21%)です。逆に健康保険料率が最も低いのは新潟県で9.35%(4.675%)です。その差は1.07%(0.535%)です。
(*:( )内の数値は、いわゆる労使折半により、給料やボーナスから天引きされる場合の2024年度の料率です)
佐賀県に続いて、協会けんぽの保険料率が高いのは福岡県の10.35%(5.175%)、大阪府の10.34%(5.170%)です。また新潟県に続いて、協会けんぽの保険料率が低いのは青森県の9.49%(4.745%)、沖縄県の9.52%(4.76%)です。
では、都道府県ごとに異なる保険料率は、どのように決まるのでしょうか?
まず都道府県ごとに年齢構成や所得水準の差等を調整します。次いで都道府県それぞれの協会けんぽ加入者1人当たりの医療費に基づき計算します。つまり、医療費が増えれば、協会けんぽの保険料率が上がる可能性があるのです。
協会けんぽには保険料率を下げる仕組みがあります。「インセンティブ(報奨金)制度」といい、都道府県ごとに評価します。2018年年度から導入しています。
具体的には、特定健診(※)の実施率を高めたり、後発医薬品(いわゆるジェネリック医薬品)の使用割合を高めたりするなどの取り組みを行うと、取り組みの成果を都道府県ごとにランキング付けします。そして上位15位の都道府県を対象に、翌々年度の保険料率を引き下げる、というものです。
(※)特定健診とは、40~74歳の人を対象に行う、メタボリック症候群に着目した健康診断です。
ところで、どこの都道府県の協会けんぽに加入しているか、ご存じでしょうか? 「住所(=住まい)」や「住民票の住所」を基に加入しているわけではありません。
勤めている会社の事業所のある都道府県の協会けんぽに加入します。例えば、東京に住んでいる人が埼玉県にある会社に勤めている場合には、協会けんぽは埼玉県の保険料率になります。
では、「本社は大阪にあって、東京と盛岡に出張所がある」などという場合はどうなるのでしょうか。
このようなケースでは、「一括適用」といって、東京や盛岡の出張所に勤めている人も含め、従業員皆が大阪の保険料率になることがあります。なお「一括適用」は、給料計算等が「パソコンなどで集中的に管理されている」などの条件を満たす必要があります。
40~74歳の人は、介護保険にも加入しています。介護保険の保険料は健康保険料と一緒に天引きされています。では、介護保険の保険料率は、どのようになっているのでしょうか?こちらは、協会けんぽの加入者でも保険料率は一律1.6%(0.8%)になっています。
賃上げが注目されています。給料が上がれば、健康保険などの引かれるものの額も上がります。給料などのもらえるものだけでなく、引かれるものの動向にも関心を持ちましょう。
全国健康保険協会協会けんぽ保険料が決まる仕組み
全国健康保険協会協会けんぽインセンティブ制度
厚生労働省特定健診
日本年金機構一括適用
全国健康保険協会協会けんぽ介護保険料率
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役
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