風間俊介「役柄、全てに愛を」黒幕の“二枚舌”市長<MOGURA>や“ポンコツ”夫<それ妻>…多彩な演技を生む役への思い

「警視庁麻薬取締課 MOGURA」/(C)AbemaTV,Inc.

風間俊介「役柄、全てに愛を」黒幕の“二枚舌”市長<MOGURA>や“ポンコツ”夫<それ妻>…多彩な演技を生む役への思い

2月5日(水) 3:00

「警視庁麻薬取締課 MOGURA」
【写真】風間俊介“安堂”がひょう変「ここに警察は来ません」

今期のドラマは、俳優・風間俊介の出没率が高い。それも、麻薬がはびこる町の市長役、セックスレスに悩む夫婦の夫役、NHK大河ドラマでの“地本問屋”リーダー役と、どれも物語のキーパーソンばかりである。さらに、生放送の情報番組「ZIP!」(毎週月曜~金曜朝5:50-9:00、日本テレビ系)の月曜パーソナリティーや、バラエティー番組のゲスト出演など、テレビをつければ朝から晩までひょっこりと現れる。穏やかで朗らか、賢さがにじみ出る風間が、芝居の世界で見せる顔はそのどれでもない。視聴者を裏切る役どころの連続で、驚かせてくる作品を紹介していく。

■市長がまさか…麻薬取引集団の黒幕だった
「警視庁麻薬取締課 MOGURA」

ABEMAオリジナルドラマ「警視庁麻薬取締課 MOGURA」(毎週木曜夜11:00~11:38ABEMA SPECIALチャンネル)は、鈴木おさむが放送作家、脚本家の引退前に企画・プロデュースした作品で、ラッパーの漢 a.k.a.GAMIから3年前に聞いた衝撃の実話をもとに、ラップスキルのある警察官が、覚醒剤や麻薬などの違法薬物を摘発するためにラッパー集団に潜入捜査を行ったという実話を描く。

ラップを使った演出や、違法薬物まみれのブラックな世界が過激かつテンポ良く表現された斬新な“HIPHOPエンタメドラマ”である。主人公は大麻栽培が疑われるHIPHOPグループの一斉摘発を目的に、突如ラッパー集団への潜入捜査が命じられた刑事・伊弉諾(般若)。潜入したクラブで伊弉諾が自作ラップを披露したり(第1話)や、敵対するラッパー集団「9門」と「RED HEAD」が即興ラップバトルを繰り広げるシーン(第3話)など、彼らが生き様をかけた熱いバイブスを感じる名場面が散りばめられている。

風間が演じるのは、大麻の蔓延が社会問題となる焼川市の市長・安堂誠。違法薬物の根絶を主張し、市民の前でクリーンな顔を見せてきたが、1月30日放送の第4話で衝撃的な“二枚舌”を持つ裏の顔が明らかになった。新種の合成大麻リキッド「ヘブン」に危険な配合物が入っていると気付いたクラブオーナーのハルク(眞木蔵人)は自首を決意する。ハルクが共犯者を電話で呼び出すと、安堂が姿を現す。安堂は薬物流通の黒幕で、「チョロすぎんだろ、市民」と吐き捨て、金と名声のためにラッパーたちを利用していたことを自白する。挙句の果てには「ハルクさん、あなた本当に残念なおじさんだ」と言って、秘書を使いハルクを殺害してしまう。

■「金八」、「それでも、生きてゆく」でインパクトを残す
「警視庁麻薬取締課 MOGURA」

安堂市長のひょう変に、ここまでドラマを見てきた人は震え上がっただろう。市民の前で「この町に魔法をかけましょう、レッツマジック!」などと明るくスピーチしていた安堂が、ハルクに対しては「ここに警察は来ません、なぜなら僕が魔法をかけたから!」と狂った表情を見せて怒鳴る様子は、怖いったらない。

「あぁ…風間俊介はそうだった…信じてはいけないんだった…」と敗北感に似た気持ちを抱くのには理由がある。1983年6月17日生まれの風間は、99年放送の「3年B組金八先生第5シリーズ」(TBS系)で兼末健次郎役を演じて強烈なインパクトを残した。学校で優等生を貫く少年だったが、裏では家族との確執がありいじめや教師への暴行事件の主犯格。さらに母親と兄が揉みあいになり、健次郎がナイフで母を刺してしまうという悲劇を演じきり話題となった。

さらに、2011年放送の「それでも、生きてゆく」(フジテレビ系)でも大きな爪痕を残した。風間は殺人犯・三崎文哉役で、被害者家族の悲しみと苦悩、同時に加害者家族の複雑な感情を描いたドラマだ。大きな罪を犯したいわゆる“少年A”である文哉なのだが、巻き込まれた人間の誰もが事件によって人生を壊されている一方で、文哉だけが人を殺すことに何の感情も抱かない空虚な男。殺害された少女の母役である大竹しのぶとの熱演や表情も視聴者に衝撃を与えた。一見、無害で穏やかに見える人間が、実は裏ではとんでもない狂人だったという役をしたら風間の右に出る者はいないだろう。

■多趣味な風間の役者論「役柄、全てに愛を」

最近では24年公開作の映画「先生の白い嘘」でも、女性に暴力的な性行為を繰り返す早藤雅巳役で観客をどんよりした気持ちに陥れた。SNSには「演じる風間俊介くんのメンタルも心配になった…」、「闇抱えた二面性のある男でやばすぎた」といった声が並ぶ。風間自身も作品のHPで「今まで演じさせて頂いた役柄、全てに愛を持ってきましたが、今回『先生の白い嘘』のお話を頂いた時、初めて早藤という役を愛せないかもしれないと思いました。それと同時に、僕自身が愛せないかもしれない役を演じた時に、自分自身がどうなるかを知りたいという気持ちにもなりました。魂を擦り減らし、己と反発する感情と共に向き合った作品です。」と語っている。

「役柄、全てに愛を持ってきました」というコメントは、風間の仕事に対する本心だろう。彼の演じる役にはどれも、リアリティがある。本当に存在していそうで、しかも心の内は誰にも分からないといった部分に、ほんの少しの“不気味さ”が残る人物たち。運命の掛け違いが起きれば加害者にも被害者にもなり得る社会で、必死に生きる誰かを演じることに手を抜いていないことがよく分かる。

風間自身、役者の仕事以外にも、大のディズニーマニアとして知られ、漫画や読書、煮込み料理、飛行機のステータス修行といった具合に、どっぷり趣味の沼にハマっていくタイプ。だからこそ、どんな人にも夢中になることがあり、それを冒涜することはできない、ということを知っているのだろう。多方面に詳しい彼が情報番組に出れば、多方向に気遣いが張り巡らされたコメントは共感を呼ぶし、何の役をやってもその人物になりきり、どんな作品でもスタッフや観客への敬意を忘れない部分が、世間の信頼を獲得している。

■どの風間俊介がお好きですか
「それでも俺は、妻としたい」

どの作品の風間俊介を見たかによって、彼のイメージは大きく異なるだろう。

放送中の真夜中ドラマ「それでも俺は、妻としたい」(毎週土曜夜0:55-1:25ほか、テレビ大阪・BSテレ東/Leminoにて先行配信)は、収入無しのダメ夫・柳田豪太(風間)と、そんなダメ夫を罵倒して性行為の誘いを拒絶する妻・チカ(MEGUMI)の夫婦“性”活を描くエンターテインメントドラマ。この作品の豪太は、売れない脚本家でヒモ同然、頭の中はエロいことばかりで、なんとも情けない“ポンコツ”夫である。生活を支えるチカに毎日罵倒されながらも、どぶろっくの動画にハマる息子の影響で下ネタを熱唱したりして、明るく生きている。頭の中は「妻とエッチしたい、したい、したい」でいっぱいの豪太。ようやく布団へ一緒に横たわってもチカの文句が止まらず大ゲンカとなってしまい、豪太は「あのクソ女!」と枕に気持ちを叫ぶしかない日々を送っている。

また、横浜流星が主演を務める大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(毎週日曜夜8:00-8:45ほか、NHK総合ほか)では、京ゆかりの大“地本問屋”・鶴屋喜右衛門を演じている。鱗形屋孫兵衛(片岡愛之助)や西村屋与八(西村まさ彦)らをまとめる江戸市中の“地本問屋”のリーダー的存在で、新参者の蔦屋重三郎(横浜)と対立。草双紙や錦絵で数多くのヒット作を出版するとともに、山東京伝など若い才能を見いだしプロデュースするなど、蔦重とともに一時代を築いていく。1月26日から出演が始まったばかりだが、早くもSNSで視聴者は「これは上品な悪役ですね」「わかる、わかるぞあの笑顔は嫌なヤツだって」「急に不穏な空気に」と身構えている。

風間俊介は期待を裏切らない。視聴者に「何かありそうだな、絶対何か隠してる…」と思わせるパワーがある。そうかと思えば、最後までただただ優しい良い人の役だったりもして。そんな意味でも見る者を驚かせてくれる俳優だ。この先もたくさん驚かせてほしい。


【関連記事】
般若“伊弉諾”「9門」vs「RED HEAD」の抗争の決着をつけるラップバトルが始まる“負けたらラッパーやめろ”<MOGURA>
般若“伊弉諾”のアンサーラップがバトルへと発展伊弉諾はラッパーとして打ち負かせるのか<MOGURA>第3話あらすじ&場面写真公開
吉村界人現役ラッパー陣とのドラマ共演に「1人で潜入捜査をしているような感じ」自ら飛び込んで俳優とラッパーの壁取り払う
潜入捜査中で、警察に捕まってはいけない般若“伊弉諾”バイクのスピード違反で警察に連行<警視庁麻薬取締課 MOGURA>
【漫画】自らの死を売りにする“薬物依存”アイドルが出会った幻覚の天使。読者の予想を裏切るラストに「感動した」の声
WEBザテレビジョン

エンタメ 新着ニュース