mill meals、ミーマイナー、Lala出演『Grasshopper vol.29』スペシャルなカバーや編成など、ライブならではのひとコマが続出

『Grasshopper vol.29』2025年1月20日 東京・下北沢CLUB Que

mill meals、ミーマイナー、Lala出演『Grasshopper vol.29』スペシャルなカバーや編成など、ライブならではのひとコマが続出

1月31日(金) 10:00

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2025年1月20日、東京・下北沢CLUB Queにて『Grasshopper vol.29』が開催された。『Grasshopper』は、チケットぴあ注目の次世代音楽シーンを担う若手アーティストを応援するライブハウス企画として2022年にスタート。「若手バンドがたくさんの人に知ってもらって勢いよく飛び立てるようなイベントにしたい」という思いから「Grasshopper=バッタ」と名付けられた本イベントは、注目のニューカマーを数多く招き、次世代シーンの台風の目となってきた。2025年の『Grasshopper』の開幕を告げた今回は、mill mealsとミーマイナー、Lalaの3組が出演。スペシャルなカバーや編成など、ライブならではのひとコマが続出した一夜の様子をレポートする。

小学校から中学校に進学した時、もしくは高校生から大学生になった折、授業の時間が増えることで密度が変化することに驚いた。今回が初めてのスリーマンライブだったというトップバッター・mill meals(ミルミールズ)の4人もおそらくこんな驚きを抱えていたのではないか。そして、その中で今の自分たちにできる精一杯と向き合ったのが、この日の35分だったのである。龍之介(vo/g)の弾き語りでフロアを一気に取り込んだ「何者でも無いけど独占させて」で上行形を描く宗一郎(g)のギターソロが開幕の号砲を鳴らす と、ザクザクとしたブリッジミュートが疾走する「思わせ振り」、促音の跳ねる押韻とエイトビートが絡み合う「君が居ないと」を連投。ミドルからハイトーンのほのかにビブラートがかった甘さが印象的な龍之介の歌声を先頭に、私小説的なリリックで切り抜かれた恋心と感傷を届けていく。

mill meals Photo:こちろう

自身のストロングポイントであるラブソングを存分に示したところで、披露されたのが「19歳」。慣れなかった東京の街にひとりで行けるようになったこと、歯向かってばかりだった両親へ素直にいれるようになったことを綴った同曲は、青年と大人の狭間にいる彼らが歌うからこその説得力を備えていると同時に、より赤裸々な心の根へと迫る感覚を与えてくれる。だからこそ、続けて語られた「『ぴあフェス』という大きい舞台もありますが、いつか大きい舞台に立てるようにがんばっていきます」という一声が、確かな覚悟として強く刻まれた。

ラストは「出会ってくれて、ありがとうございました」と「揺らいで」でフィニッシュ。憑依したかがごとく台詞を紡ぐ龍之介が恋人たちの生々しいやり取りをイメージさせる楽曲群の中、より広い視点で描かれた「19歳」が中盤に鎮座することでスパイスとして機能していたと思う。ルートを軸に置いたシンプルなラインでありながらも前へ前へと押し出す力を併せ持った風人(b)の音像や聖貴(ds)のビートは、こうした人生観の滲むナンバーとも抜群の相性。結成1年を迎えたmill mealsの現在地と行く末を伺うことのできるショータイムだった。

龍之介(vo/g) Photo:こちろう

「『Grasshopper』に込められた意味を聞いて、呼んでもらえてとてもうれしいなって。私はバンドを組むことが夢で、だからこのステージに立っているだけで夢が叶っている。でも、周囲の人たちに影響を受けて、大きい舞台にも立ちたいと思いました。これがミーマイナーの音楽です」。初期衝動からはみ出してしまうほど、バンドで音を鳴らすことへのプリミティブな喜びと、芽生え始めた自分たちの音楽へのプライドと自覚。それらを真正面から受け止めた美咲(vo/g)のMCは、2番手・ミーマイナーのライブをまとめていた。「下北、いけますか!」と早々にアジテートした「君の言う通りだった」で幕を上げると、「もっともっと拳上がりますか!」と「レンタル彼女」へ。

美咲(vo/g) Photo:シンマチダ

ドライブをかけるさすけ(b)のベースサウンドと葵(ds/サポート)が放つ加速するドラムロールでアクセルを踏む4人は、楽しくて仕方がないといった様子で、自然とバンドワゴンの光景が脳裏をよぎる。弦が切れたギターをカバーするため、急遽ドラムソロを披露したり、Lalaの「サーチライト」をカバーできるのも、こんな団結力があるからこそ。しかし、結成4カ月のミーマイナーが、一人ひとりの集合体としてではなく、ひとつの生き物としてのバンドへ至ることは簡単ではなかっただろう。にもかかわらず、こうしたグルーブ感を示すことができるのは、彼らが何よりも本気だからに違いない。

「この4人だけでライブ会場にきて、この4人だけでライブをしにきました。足元にはチューナーしかないから、ギターと自分の声で戦いにきました」と宣戦布告を叩きつけた「オンリーロンリータウン」も、エンディングを彩った「ワンルームナイト」も、あの部屋に、あるいはあの街に離別を告げる歌であるだけではない。<僕は、この街を出て行くよ じゃあね、大好きだったすべて><思い出にキスして、おやすみ私たち じゃあね>と、弱さゆえに大切な人へと甘えてしまっていた自分に別れを告げ、どんな悲しみを抱えてでも次のエピソードへと移ろうとするナンバーではないか。そして、こうしたメッセージは、自分たちの未熟さや非力さと相対した上で、それでも憧れのバンドへ追いつき、追い越そうとする彼ら自身のアティチュードとも共鳴しているのである。最後の最後までキラキラとした瞳でフロアを見つめ続けたミーマイナー。その視線はもう、大舞台へと注がれている。

ミーマイナー Photo:シンマチダ

SEに迎えられ、手を振りながらご機嫌に登場したのがLala(ララ)。しかし、待てども待てども、なかなか1音目が鳴らない。こんなトラブルを受け、急遽アコースティックギターに持ち替えたayaho(vo/g)がおもむろにメロディーを口ずさみ始める。「最近成人式がありましたが、20歳の方もそうじゃない方もあの頃を思い返して。私が20歳の時に書いた曲」と「はたち。」でオープニングを迎えた。反撃の狼煙を上げるべく、ayahoがファルセットからがなりまでを自由自在に使いこなしながらアンサンブルを牽引すると、負けじとTAKETO(g/b)とYUMEKA(ds)もフルテンのボリュームで応答していく。「今日はLala特別バージョンでいかせてもらいます!」と雪崩れ込んだ「Jealousy」では、クライマックスの特大チャントを受け、ayahoのギターが復活。本来のLalaへドラマチックな帰還を果たす姿は、「バンドかくあれ」と思わせるとともに、ライブの不可逆性を強く実感させる。

ayaho(vo/g) Photo:シンマチダ

そんな今日しか体験できないライブへの思いをayahoは「予定通りのセトリがやれなくて悔しいけれど、ここに一緒にいれることが何よりもうれしいです。ライブは今を過ごすものやからハプニングとかもあるけど、往復15時間、みんなの気持ちを乗せて会いにきました」と話す。そこからドロップされた「夜明けまで」は、<格好付けて転んでも またすぐ格好付ければいい>と傷だらけでも進んでいく背中を支えてくれるナンバー。七転八倒でも進んでいけというメッセージが嘘偽りなく伝わるのは、悔しさを滲ませながらも、過ぎ去っていくこの1秒をフルスイングする彼らが歌うからこそ。<愛したバンドは解散 ああ もう僕の生きがいは どこにもない>と嘆いていたLalaは、大袈裟ではなく、誰かのヒーローになっている。万全とは言い難い滑り出しでありながらも、すぐさま自信満々のトライアングルを建立した3人の背中を目撃して、こんなことを確信した。

TAKETO(g/b) Photo:シンマチダ YUMEKA(ds)Photo:シンマチダ

アンコールでは、ラウドなリフとオートチューンを駆使したボーカリゼーションが底なしのボルテージへと連れていく「ほろ酔い」で完全燃焼。振り返ってみれば「はたち。」を冒頭に据えることで、春の息吹をイメージさせる温かなメロディーラインが来ないでほしいと願っていたあの人のいない季節の到来を暗示する新曲「マフラー」や、「死にものぐるいで恋をしていた」をアクトした中盤戦でも怒涛の勢いを崩さなかった采配も見事。上手く筆を落とせなかった一画目であれ、魂を込めて向き合えば、その日限りの味に変わる。逆境を跳ねのけるバンドの底力を堂々と見せつけた最終走者だった。

Lala Photo:シンマチダ

こうして幕切れを迎えた『Grasshopper vol.29』。次なるステージへのアップデートを果たすであろう30回目の開催を目前に、2月22日(土) には東京・渋谷 Spotify O-WESTとSpotify O-nestの2会場を周遊する特別企画『Jump Higher 2025』の開催が決定している。今回の3組はもちろん、まだまだ多くのアーティストたちが『Grasshopper』から羽ばたいていくのだ。

Text:横堀つばさ

<公演情報>
『Grasshopper vol.29 supported by チケットぴあ』

2025年1月20日(月) 東京・下北沢CLUB Que
出演:Lala / ミーマイナー / mill meals

<次回公演情報>
『Grasshopper presents. Jump Higher 2025 supported by チケットぴあ』

2月22日(土) 開演15:00
東京・渋谷 Spotify O-WEST、O-nest
出演:Atomic Skipper/セカンドバッカー/Blue Mash/ペルシカリア/Bocchi/Laughing Hick/Re:name/Fish and Lips/reGretGirl/yummy'g(O.A.)

【チケット情報】
前売:一般5,000円/学割4,400円
当日:一般5,500円/学割4,900円
※入場時ドリンク代が必要
https://w.pia.jp/t/jumphigher2025/

『Grasshopper WEST vol.5 supported by チケットぴあ』

2025年3月18日(火) 大阪・CONPASS
開場18:30 / 開演19:00
出演:DNA GAINZ/Kanna/mogari

【チケット情報】
一般3,000円/学割2,000円
※整理番号付、入場時ドリンク代が必要
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2448478

公式サイト:
https://fan.pia.jp/grasshopper/

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