サンダンス映画祭でお披露目!気鋭スタジオA24新作タイトルと現地批評家の反応をチェック

現在開催中のサンダンス映画祭で、A24の新作3本がプレミア上映!/[c]Everett Collection/AFLO

サンダンス映画祭でお披露目!気鋭スタジオA24新作タイトルと現地批評家の反応をチェック

1月30日(木) 12:50

“インディペンデント映画の祭典”として1978年にスタートし、近年では『コーダ あいのうた』(21)など翌年のアカデミー賞で注目を集めるタイトルがいち早く紹介される場として注目を浴びるようになったサンダンス映画祭。今年も現地時間1月23日に開幕し、世界中の国と地域から150本を超えるインディペンデント系の長編・短編がラインナップされている。
【写真を見る】「一流シェフのファミリーレストラン」のアヨ・エデビリが主演!A24ホラー期待の新作とは

本稿では、そのなかから気鋭のインディペンデント系スタジオ「A24」が手掛けた作品をピックアップ。今回のサンダンス映画祭でプレミア上映を迎える3作品の作品情報と、現地批評家からのリアクションを最速でお届けしていこう。

『Opus』のプレミア上映には豪華キャストが勢ぞろい!

過去には『ミナリ』(20)や『パスト ライブス/再会』(23)がサンダンス映画祭でプレミア上映され注目を浴び、そのまま1年後のアカデミー賞で作品賞にノミネートされた実績があるA24。そうした批評家から愛される作品はもちろんのこと、昨年は『I Saw the TV Glow』をはじめとしたジャンル映画も、このサンダンス映画祭をきっかけに映画界から注目を集めた。

■少女と神秘的な生物の冒険を描く『The Legend of Ochi』

まずはビョークやグリズリー・ベアといった人気アーティストのミュージックビデオを手掛けてきたアイザイア・サクソン監督の長編デビュー作となったファンタジー・アドベンチャー『The Legend of Ochi』(4月25日北米公開予定)。

カルパチア島の人里離れた村で暮らす、内気な農家の娘ユリ。彼女は地元の人々から悪魔とみなされている神秘的な霊長類“オチ”を恐れるよう教えられて育てられてきた。そんなある時、彼女はケガをした赤ん坊のオチを見つけ、家族のもとに返すための冒険に出発することとなる。

『この茫漠たる荒野で』(20)のヘレナ・ツェンゲルが主演を務め、共演にはエミリー・ワトソンやウィレム・デフォーといった大御所俳優に、「IT/イット」シリーズや「ゴーストバスターズ」シリーズのフィン・ウォルフハードら。またエグゼクティブ・プロデューサーには「アベンジャーズ」シリーズのルッソ兄弟が名を連ねている。

A24としては珍しいファンタジー・アドベンチャー『The Legend of Ochi』

すでにサンダンスで2回上映された本作は、批評集積サイト「ロッテン・トマト」によれば、批評家からの好意的評価は73%とまずまず。ツェンゲルやデフォーらの演技や、魅力的な世界観を構築する視覚効果に好評が集まっているようで、人形劇やアニマトロニクス、マットペインティング、3Dアニメーションを駆使して作りあげた親しみのある雰囲気からは、「ネバーエンディング・ストーリー」のような80年代の名作冒険映画を彷彿させるという声も。

ちなみにサクソン監督は現地メディアのインタビューのなかで、本作を手掛けるにあたって『E.T.』(82)や『となりのトトロ』(88)といった不思議な生物と遭遇する子どもたちの物語を参考にしたり、『ウィロー』(88)などのファンタジー映画や『雨月物語』(53)、『怪談』(65)、『もののけ姫』(97)といった日本映画からも影響を受けたことを明かしている。これは日本の映画ファンにとっても注目の作品となりそうだ。

■A24ホラーの新境地!豪華キャスト共演の『Opus』

続いては、ファッション誌「GQ」の特別プロジェクト編集者としてそのセンスを発揮してきたマーク・アントニー・グリーンが長編監督デビューを飾るスリラー映画『Opus』。主演を務めるのは「一流シェフのファミリーレストラン」(ディズニープラスにて配信中)でシドニー役を演じブレイクを果たしたアヨ・エデビリだ。

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作家として活躍するアリエル(エデビリ)は、30年前に謎の失踪を遂げた伝説のポップスター、アルフレッド・モレッティ(ジョン・マルコヴィッチ)の人里離れた邸宅に招待される。そこにはモレッティの熱狂的な信奉者や彼の復帰を楽しみに待つ仲間たち、さらには酔っ払ったジャーナリストたちがおり、アリエルはモレッティの歪んだ計画の中心にいることに気付いてしまう。

エデビリやマルコヴィッチのほかにも、オスカー候補経験のあるジュリエット・ルイスや、エミー賞受賞俳優であるマレー・バートレット、トニー・ヘイル、『プレデター:ザ・プレイ』(ディズニープラスにて配信中)のアンバー・ミッドサンダーらが共演。1月27日に上映が行われたばかりでまだレビューは少ないが、「ポップカルチャーのファンダムをめぐる現状やジャーナリズムの誠実さなどを語る興味深い作品」といわれている。

A24ホラーの新境地として制作段階から注目を集めてきた本作は、3月14日(金)に北米公開される。

■ローズ・バーンの熱演に高評価!『If I Had Legs I'd Kick You』

そして3本目は奇病を抱えた娘の子育てや夫の不在、セラピストとの軋轢など、さまざまなトラブルを乗り越えようと奮闘する母親の姿をコメディタッチに描いた『If I Had Legs I'd Kick You』(2025年北米公開予定)。

ローズ・バーン主演のコメディドラマ『If I Had Legs I'd Kick You』

メガホンをとったのは、グレタ・ガーウィグが出演したマンブルコア映画『Yeast』(08)を手掛けたメアリー・ブロンスタイン監督で、同作以来17年ぶりの監督作となる。主人公のリンダ役を演じたのは「X-MEN」シリーズや「インシディアス」シリーズのローズ・バーン。共演には「サタデー・ナイト・ライブ」などで知られるコナン・オブライエンや、ラッパーのエイサップ・ロッキーと多彩な顔ぶれが。

「ロッテン・トマト」では、批評家からの好意的評価の割合が89%と、かなりの高評価を獲得。「Indiewire」の有名批評家デヴィッド・エーリッヒが「怖いはずのものがおもしろく、おもしろいはずのものが恐ろしい」と評価するように、リアリティたっぷりに演出された主人公の緊張と不安、そしてそれを体現するバーンの演技に評価が集中。もしかすると、来年の賞レースで注目を集める1本となるかもしれない。

ローズ・バーンの演技、17年ぶりにメガホンをとったメアリー・ブロンスタイン監督の演出に絶賛の声!

サンダンス映画祭でお披露目されるこの3本以外にも、2025年に複数の注目作が控えているA24。ヒュー・グラント初のホラー映画となる『ヘレティック』(原題)、『X エックス』『Pearl パール』(ともに22)に続く三部作の最終章となる『MaXXXine』など、注目作が続々日本上陸を果たす。今後もA24作品から目が離せなくなりそうだ!

文/久保田 和馬


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