韓国の“三大心霊スポット”として挙げられる不気味な邸宅で巻き起こる恐怖を描いたホラー映画『ヌルボムガーデン』が1月24日より公開中だ。これまでも実在する心霊スポットを舞台とした映画は数多く作られてきた。そこで、題材となった世界各国の心霊スポットをここではチェックしていきたい。
【写真を見る】決して足を踏み入れてはいけない呪われた邸宅など、最恐ホラースポットが楽しめる映画7選(『ヌルボムガーデン』)
■一家を不幸が襲った呪われた邸宅、ヌルボムガーデン(韓国)
朝鮮戦争で死亡した学徒兵の埋葬場所と噂される慶尚北道ヨンドク郡の慶北ヨンドク刺身店などと共に“韓国三大心霊スポット”として知られているのが、レストラン経営者の一家に次々と不幸が起こったと言われる忠清北道堤川市のヌルボムガーデン。
もともとレストランとして繁盛していたこの場所では夫婦と身体に障がいを抱える娘が暮らしていたが、邸宅の前の道で娘が事故に遭って命を落とすと、悲しみから夫がガス管で首を吊り、妻もショックで亡くなったとか。その後、この場所で店を開いた人にも奇妙なことが次々と起こった…という曰くつきのスポットだ。
『ヌルボムガーデン』は、事故物件に取り憑かれた一家の悲劇を描いたホラーで、実際に起きた連続殺人事件をベースとした『チェイサー』(08)やタイを舞台にした超自然的ホラー『女神の継承』(21)のプロデューサー、ク・テジンの監督デビュー作。
幸せな新婚生活を送っていたある日、突然夫が首吊り自殺をし、ショックからお腹の子どもを流産してしまったソヒ(チョ・ユニ)。悲しみに暮れるなか、生前夫が購入していた郊外の邸宅を相続し、移り住むことになったソヒは、家の中でいないはずの夫の姿を目にしたことを機に、夫がなぜ命を落としたのか?そのワケを探りだし、やがて家に取り憑いた邪悪ななにかを知ることになる。
■世界七大心霊スポットにも選ばれたコンジアム精神病院(韓国)
そんなヌルボムガーデンと並ぶ韓国三大心霊スポットの一つで、さらには”世界七大禁断の地”(観光旅行専門サイト「CNN Go」発表)にも選出されているのが、京畿道光州市にいまは廃墟として存在する昆池岩(コンジアム)精神病院。
正式名称は南陽精神病院で、1992年に開業するもわずか4年後の1996年には閉鎖された。あまりに早い閉業からか、「院長が自殺し、施設オーナーが行方不明になった」「患者が相次いで怪死した」といった不気味な噂が後を絶たない場所だ。
2018年の映画『コンジアム』はこの廃墟に足を踏み入れたYouTuberたちを襲う恐怖を、躍動感あふれるホラー描写で描いたPOVホラー。恐怖動画で人気のチャンネル「ホラータイムズ」は、応募で集まった一般人と共に男女7人でコンジアム精神病院へ潜入する。ホラー演出も功を奏し、登録者数を伸ばしていくものの、しだいに想定を超えた恐怖が連発し、402号室の呪いに触れてしまうことに――。
■アメリカで最も呪われた幽霊屋敷、ウィンチェスター・ミステリー・ハウス(アメリカ)
アメリカ・カリフォルニア州サンノゼに存在し、世界中からミステリーファンが訪れる観光名所となっている心霊スポットがウィンチェスター・ミステリー・ハウス。
ウィンチェスター銃のビジネスで財を成したものの、娘、義父、夫を立て続けに亡くした未亡人サラが、“銃で命を奪われた人たちの怨霊”から逃れるため約40年にわたって建物の増築を続け、部屋は160にもおよぶという、見た目も異様な大豪邸だ。
そんな逸話を基にしたスピエリッグ兄弟の『ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷』(18)は、ヘレン・ミレン扮する主人公のサラが数々の怪奇現象に見舞われる様子を描き、建物の特徴を再現した大型セットによる見応えのある心霊描写を楽しむことができる。
■あの名作のモデルとなったスタンリーホテル(アメリカ)
コロラド州にいまも存在するスタンリーホテルは、1909年に金持ちのために建てられたラグジュアリーなホテルで、宿泊客からはあらゆるところから笑い声やピアノの音が聞こえてくるという体験談が後を絶たない、全米屈指の心霊スポットとして知られている。
このホテルでもとりわけ“出る”と有名な217号室に泊まったスティーヴン・キングが、部屋での体験に着想を得て執筆したのが、冬の間ホテルにこもって執筆活動を行う作家が狂気に駆られる様子を描いた「シャイニング」。作中では”オーバールックホテル”と名を変え、部屋の番号も237号室に変えられている。
スタンリー・キューブリック監督による映画版『シャイニング』(80)では、米オレゴン州に実在するティンバーライン・ロッジを外観のモデルとしたが、キング自らが製作・脚本を務め映像化したドラマ版ではスタンリーホテルが実際に撮影に使われている。
なおスタンリーホテルには、上映施設やホラー作品にまつわるミュージアムなどで構成されるスタンレー・フィルム・センターが2026年にオープン予定。ブラムハウスが展示のキュレーションを手掛けるというから気になるところだ。
■無数のドールが吊るされた“人形島”ラ・イスラ・デ・ラ・ムネカス(メキシコ)
メキシコシティ郊外のソチミルコ地区の運河に存在するラ・イスラ・デ・ラ・ムネカスは、“人形島”という異名の通り、島中の木に赤ん坊の人形がくくりつけられた、見るからに異様なオーラを放っているスポット。
これらの人形は、サンタナ・バレッラという男が溺死した女の子を供養するために50年近くもの間、流れてくる人形を集めては吊るしたものだそう。しかし、バレッラ本人もその後女の子が死んだ場所で遺体として発見されたという噂もあり、上述したコンジアム精神病院と同じ”世界七大禁断の地”に選ばれている。
この場所を扱った映画が、メキシコの8人の監督によるオムニバホラーアンソロジー『メキシコ・オブ・デス』(14)。その一篇「人形」は、この島を舞台に食人鬼による観光客をねらった惨劇が繰り広げられるという内容となっている。
■血塗られた歴史の処刑場ロンドン塔(イギリス)
テムズ川のほとりに堅固な城壁に囲まれてそびえ立ち、世界遺産にも認定されているロンドン屈指の観光名所、ロンドン塔。城塞であると同時に監獄でもあり、14世紀以降は処刑場としてトマス・モア、トマス・クロムウェルなど数々の著名人が命を奪われた。特に“首なしアン”ことアン・ブーリンの亡霊がいまも出ると噂される有名な心霊スポットだ。
そんな血塗られた場所として数々の作品の題材にもなっており、シェイクスピアの「リチャード3世」をベースとするゴシックホラー『恐怖のロンドン塔』(39)もその一つ。壮大なセットによりロンドン塔の内部を再現し、王位継承を目論むグロスター公リチャードが政敵を血祭りに上げていく姿を描いた。
のちにB級映画の帝王ロジャー・コーマンによってリメイクされた『恐怖のロンドン塔』(62)は、公爵が自らが殺した亡霊に取り憑かれてしまう、より心霊色が強い作品となっている。
■600万人の遺骨が並ぶカタコンベ(パリ)
パリの地下に全長1.7kmほど張り巡らされ、600万人もの遺骨が納められているというパリの地下共同墓地カタコンブ・ド・パリ。壁が人々の遺骨で埋め尽くされているという異様な光景が楽しめる観光地だが、心霊現象や行方不明者などミステリアスな場所としても知られている。
ここを舞台にした『カタコンベ』(07)は、内気な少女が姉の誘いにより地下墓地で開催されるパーティーに参加するが、姉は何者かに殺された挙句、暗闇のなかに一人取り残されてしまう恐怖を描いたもの。「ソウ」シリーズで知られるグレッグ・ホフマンがプロデューサーを務めたが、彼が撮影中に謎の病死を遂げたという曰くつきの1作だ。
公開中の『ヌルボムガーデン』をはじめ、人々を引きつける心霊スポットの魅力が楽しめるこれらの映画をチェックしてみてほしい。
文/サンクレイオ翼
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