放送作家としても活躍!どきどきキャンプ、佐藤満春が『ショウタイムセブン』のリアリティに唸る「作り手側としての脳が動いてしまう」

阿部寛主演『ショウタイムセブン』でどきどきキャンプ、佐藤満春にインタビューを実施!/撮影/Jumpei Yamada

放送作家としても活躍!どきどきキャンプ、佐藤満春が『ショウタイムセブン』のリアリティに唸る「作り手側としての脳が動いてしまう」

1月25日(土) 3:30

韓国映画『テロ,ライブ』(13)を原作にオリジナル要素を盛り込んだ映画『ショウタイムセブン』(2月7日公開)。阿部寛を主演に迎え、『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』(23)で実写映画初監督を務めた渡辺一貴がメガホンを取り、テレビの生放送中に爆弾犯との命掛けの交渉に挑むキャスターの姿をリアルタイム進行で描くサスペンスだ。
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午後7時、ラジオ局に1本の電話が入り、その直後に発電所で爆破事件が起こる。電話をかけてきたのは、爆弾を仕掛けた張本人である謎の男。男は交渉人として、ラジオ局に左遷された国民的ニュース番組「ショウタイム7」の元キャスター、折本眞之輔(阿部)を指名する。これを番組復帰のチャンスと考えた折本は生放送中の「ショウタイム7」に乗り込み、自らキャスターを務めて犯人との生中継を強行するが、そのスタジオにも、すでにどこかに爆弾が設置されていたことが判明。自身のすべての発言が生死を分ける極限状態に追い込まれた折本の姿は、リアルタイムで国民に拡散されていく――。なぜ彼が指名されたのか?犯人の正体と本当の目的とは?すべてが明らかになる時、折本が選ぶ予測不能の結末。あなたは“ラスト6分”に驚愕する。

■「映画を観た方のなかで僕が一番楽しめたんじゃないですかね(笑)」

朝の情報番組から、ラジオ番組まで手掛ける佐藤から見ても「絶妙なリアリティ」があったという本作

本作をひと足早く鑑賞したのは、お笑いコンビ、どきどきキャンプの佐藤満春。放送作家として、「スッキリ」や「DayDay.」など朝の情報番組を多数担当し、ラジオ番組も手掛けている佐藤は「めちゃくちゃおもしろかったです!」と太鼓判を押す。「裏側のドタバタ感、スタッフの配置や役割、生放送中のラジオでの電話の繋ぎも含めて絶妙なリアリティがありました。テレビとラジオを行き来するところは、両方の裏を知っている人間としてもすごくワクワクしました。映画を観た方のなかで僕が一番楽しめたんじゃないですかね(笑)」と興奮気味に感想を語る。

「岸辺露伴は動かない」シリーズをサスペンスフルで高クオリティに作り上げたことでも知られる渡辺監督は、NHKで数多くのテレビドラマ作品を手掛けてきた人物であり、佐藤は本作からその背景も感じ取ったと指摘する。「すごくこだわって作っているのを感じて。さすがはテレビ局や番組制作をよく知っている方。物語に感情移入し、グッと入り込むことができたのはそのあたりの細かい描写に理由があったと思っています」と唸った。生放送で犯人と電話を繋ぎリアルタイムのやりとりを放送するという設定は、「極端な例ではあるけれど、起こってもおかしくない出来事ですよね。出演者のプライドとか、裏方の制作の想いもすごくわかるし、撮り続けているカメラマンの胸中とか、ラジオ側のディレクターが、どんな気持ちで電話のやり取りを聴いていたのかを想像してしまう自分がいました」と、裏側を知る人間としての気持ちも吐露。

■「制作目線で言うと、『行け行け!』と思ったりもしました」

阿部演じる元キャスターの折本は、「ショウタイム7」に乗り込み、テロリストとの生中継を強行する…

この物語は“生放送”であることがポイントだとし、「収録だったらカットされて終わるだけ。本当にいま起きているような、生放送ならではのライブ感を感じながら観られることに興奮しました」と明かす。「起きてはいけないこと、起こってほしくないこと」という前提のもと、もし佐藤が同じようなシチュエーションに置かれた場合、アドレナリンが出てくる感覚は否定できないとニヤリ。「制作目線で言うと、『行け行け!』と思ったりもしました。セリフとしてはなかったけれど、テレビ局側の裏では『数字が取れているぞ!』みたいなやりとりが絶対あったはず。毎分出てくる視聴率などのデータはとんでもないことになっていると想像すると、こんな場所に閉じ込められてこれからどうなるんだろうと心配する一方で、これが放送されているんだよな…という作り手側としての脳が動いてしまうと思います」とのこと。

「結局、生放送ではハプニングが一番おもしろいんです!」と語る佐藤。「生放送は尺管理も含めてちゃんとしなきゃいけない前提で作ります。だからこそちゃんとしなかった時がおもしろいし、変なことが起きた時にワクワクしちゃうんです。朝の情報番組は『スッキリ』時代から数えて10年以上やっていますが、(MCの)加藤浩次さんのズボンのチャックが開いていたとか、誰かがトイレに行って戻ってこないから繋がなきゃとか、誰も傷つかない系のハプニングであれば『よしよし!』って気持ちになるんです。この映画で描かれるのはハプニングの極端な例ですよね」。

■「(犯人役は)本当にお見事なキャスティングだったと思います」

「生放送でハプニングが起こるとワクワクする」と本音を明かす佐藤満春

また、リアリティを感じつつもストーリー展開や着地点は「まったく予想がつかなかった」と告白。特に予測不能のラスト6分については「折本が“あのテンション”になっていくのは想像できませんでした」と興奮気味に語る。「細かいことは映画を観てのお楽しみ!ですが、彼のある種の変態性というか、自分の首を絞めてでも真相を暴いていく時の感じはワクワクがとまらなかったし、生放送にかける気持ちはわからなくないと思いました。あの時の折本の一連の行動はすごく気持ちよく感じたし、脳汁出てるんだろうなって思いました(笑)」と、誰もが驚く折本の最後の選択、そしてその行動原理が見えるまでの心理描写は絶品だったとし、「阿部さんの演技の賜物だと思います!」と強調。

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いっぽうで、佐藤が本作で一番引き込まれたキャラクターは、ベールに包まれている犯人だという。「まず声がいいと思いました。声であの場をずっと支配している。最後に姿を見せるんですが、それまで声だけで引っ張らなきゃいけないのは、相当難しかっただろうし、あれができる俳優ってなかなかいない。姿を見せた時のインパクトやリアリティもものすごくて、本当にお見事なキャスティングだったと思います。演技力と声のすごみに惹き込まれました」と大絶賛。

さらに井川遥が演じている、折本の過去の盟友で記者の伊東については「かつて、共に数々の特ダネを挙げてきた折本の感情を汲み取りながらやりとりする感じに、哀愁のようなものを感じました。2人の過去について多くは描かれていなかったけれど、どこか寂しさみたいなものもあって。折本との共闘感が伝わる表情がすごくいいなと思いました」としみじみ。吉田鋼太郎が演じた視聴率第一主義のプロデューサー東海林については「実はあんな人はテレビ業界にはいないです(笑)。あのくらいの立場の人ってあんなにおちゃらけていません。だけど、彼をおちゃらけたキャラクターにすることで、映画らしくなっているというか、エンタメ作品に必要な役割をこなしていた感じがありました。そういった意味で、緊張感のある作品に緩急を生みだしているのはさすがだと思いました」と、エンタメ性とリアリティのバランスに感心したという。

吉田演じるプロデューサー東海林のおちゃらけぶりに要注目!

■「本来あり得ないことなのに、本当に起きちゃっているような錯覚に陥る」

それでは、もし自分があの場にいて、放送の決定権を持っていると仮定した場合、どんな行動をとるのだろうか。「誰も傷つかないのが大前提ではあるけれど、あの場にいたら、怖がっているだけじゃない放送人は多いと思います」と客観的に分析する。「映画では描かれていないけれど、本来このレベルのハプニングが起きたら、社長まではいかなくても権限のある人には連絡が入っているはず。それでもオンエアが止まらなかったのは、数字が取れているという判断を誰かがしているってことを意味しているんです。偉い人が止めないなら、現場にいる僕もそれに従って放送は止めない気がします」と折本のようにニヤっとする場面も。

仮に事件が起きた場合の、現場の様子を冷静に推測する佐藤

「ただ、僕の場合はカメラは回し続けるけれど放送はしないという選択をすると思います。放送されているかどうかは犯人を含めてスタジオのなかにいる人にはわからないので。素材としてV(TR)を撮り、『実は放送していませんでした』というオチにすると思います。実際に起きたら、という仮定の話ですけれどね」と、佐藤だからこそ思いつく裏技を教えてくれた。

ラストを知ると見え方も変わる?『ショウタイムセブン』はリピート鑑賞もおすすめ

最後に、映画のおすすめポイントを聞くと「不思議なリアリティ」とまとめた佐藤。「本来あり得ないことなのに、本当に起きちゃっているような錯覚に陥る。そこが没入感につながっているんじゃないでしょうか。ラスト6分の展開にもう1回観ようとも思えます」とリピート鑑賞を宣言し、「改めてチェックしたいのは折本の表情です。ラストを知ったあとに、映画の冒頭、午後7時にラジオが始まる折本のしゃべり出しのところを観たら、また違う感想を持つと思うし、発見もあると思います」と味わい尽くしたい作品だと話していた。

取材・文/タナカシノブ


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