【Road to 2026】国際トーナメントで課題に直面。パラアイスホッケー日本代表の課題と収穫

【Road to 2026】国際トーナメントで課題に直面。パラアイスホッケー日本代表の課題と収穫

1月22日(水) 1:13

2026年開催のミラノ・コルティナ大会で2大会ぶりのパラリンピック出場を目指す アイスホッケー 日本代表は、3ヵ国4チームによるトーナメント大会「2025ジャパンパラアイスホッケーチャンピオンシップ」に出場した。1月14日に行われた準決勝では強豪の韓国に0-3で敗れたものの、翌日の3位決定戦でTeam MAXを2-0で制し、勝利で大会を締めくくった。
運命を握る2大会を控える日本代表の課題は
パラリンピックを翌年に控えた今年は、日本代表にとって重要な年になる。4月に開催見込みの世界選手権Bプール(イタリア)で上位に入り、かつ秋ごろ開催される世界最終予選で(パラリンピックの開催国である)イタリアを除く上位2チームに入らなければ、目標とするパラリンピックに出場できない。その2大会に向けて準備する貴重なトーナメントが今大会だった。
ビックハットで開催された日本、韓国、イタリア、Team MAX(3ヵ国の混合チーム)によるトーナメント2024年5月の世界選手権Aプール(カナダ)以来の代表戦になった今大会。総当たりの予選3試合を戦った後、順位決定戦を戦う形式だ。実戦に飢えている日本代表チームは、試合経験を積むためにできるだけ全員がプレーし、この半年間取り組んできたことを発揮しようと話して大会を迎えたという。
日本代表GKとして経験を積んだ岡部学さらに、正GKの堀江航が出場を見送ったこともあり、キャプテンの 熊谷昌治 は「決勝ラウンドはしっかり勝ちにいきたいが、予選は正直なところ勝ちにこだわるより、コーチ含め経験が大事」と話した。
キャプテンとして日本代表を引っ張る熊谷実際に、国際大会初出場の選手たちも多く、日本国内では対戦できない、腕の長い選手、スレッジの高さや長さが異なる選手たちと対峙し、貴重な試合経験を積んだのは間違いない。
経験不足の他に、大会の入りが悪いことも日本代表の課題だ。大会前に「初戦が崩れるとネガティブになりがち」と主軸の 石川雄大 が話していたが、初戦を0-4で落とすと、得点できなかった若手エースの 伊藤樹 を筆頭にチームは意気消沈。課題は持ち越された。
初戦はうまく嚙み合わず、「チャンスでシュート打ち切れなかった」と伊藤19歳の伊藤は、2024年6月に渡米し、パラアイスホッケーの強豪チームであるコロラド・アバランチでプレー。「スピードもドリブルも伸びている」と実感していただけに、試合後の取材エリアでは「パックがおぼつかない。ショックです」と言葉少なに語った。今年で50歳になる熊谷は、うつむき加減の伊藤を見て「まだまだ若い」と辛口コメント。世界のビッグイベントでは、負けた後に奮い立たなければならない場面が多くある。若手選手たちのメンタリティも、今後の大会を勝ち上がるうえでカギを握ることになるだろう。
浮き彫りになった得点力不足
そんな日本代表の最大の課題は、得点力だ。全5試合で得点を決めたのは新津和良、伊藤、石川の3人のみ。
安定感を増す26歳の石川。今大会ではディフェンス登録とくに3位決定戦は、枠内シュート数21に対して得点2の結果で、日本代表攻撃陣の決め切る力不足が浮き彫りになった。
「これだけ攻めていて、ほぼ点が取れない。結構ヤバい状態」と宮崎遼コーチ。
宮崎コーチは続ける。「一番得点している伊藤がアメリカに帰ってしまうので、2番手、3番手のスコアラーは誰か、みんなを競わせたい。(具体的には)パックを持った瞬間にゴールを意識することが第一。ミスを恐れず、シュートを打ち続け、入ったシュートを分析して各々の決定力を育てていくしかない」

長野市出身の新津は「素晴らしい舞台でチャンスをもらった」と大会の開催に感謝した初戦の後、熊谷は「みんなも自分も、強く、かっこいいシュートを打とうとしてしまうのが課題。ゴール前に泥臭く集めてこぼれ球を打つことも考えないといけない」と分析していたが、予選の韓国戦で得点した新津は「絶対にあきらめない気持ちでいたらチャンスが巡ってきた」と振り返り、予選最終戦で得点した石川は「強いシュートじゃなくても、スライドでいいから枠に打とう」と意識して決めた。今大会計4得点の伊藤は「とにかくゴールに集めようと意識できたのが得点につながった」と話しており、初戦の反省を活かせた部分はあった。
「昨年の大会ではできなかった、つないで立ち上がる形はできていた」と熊谷。自身の得点こそなかったものの、「自分が背負わなくても、みんなが得点を取れる選手に近づいている安心感はある」と話し、チームとしての手ごたえを得たようだった。
ベテランの三澤は「若手の成長を親のような気持ちで楽しんでいる」基礎的なミスも少なくなかった。全体を振り返って「フォーメーションの崩れが起きていた」(中北浩仁監督)のは、パスやレシーブといった基礎力不足と無縁ではない。「強いチームはミスが少ない」と話すのは、“30年戦士”の 三澤英司 。若手の成長を見守るベテランたちも、基礎的な練習を黙々と続ける。
平昌2018冬季パラリンピック出場時のキャプテン須藤悟も健在だ若手とベテランが融合し、生まれ変わりつつある日本代表。「今回は、必ずパラリンピックに出なきゃいけない」と話す中北監督は、若手が円熟する2034年のソルトレークシティで開催されるパラリンピックでメダルを獲得する青写真を描く。パラアイスホッケー日本代表は、今回こそパラリンピック出場を決めて低迷期から抜け出し、華麗な世代交代を実現させるつもりだ。
最年少18歳・鵜飼祥生のスピードが光ったtext by Asuka Senagaphoto by X-1

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