1月9日(木) 19:10
自動車が走行中に水たまりなどの上を走行した場合に泥水などで周囲の人に迷惑をかけてはいけないことは、道路交通法第71条第1号に定められた「運転者の遵守事項」です。
この規定では、ぬかるみや水たまりを走行する際に、他人に泥土、汚水などを飛散させて迷惑を及ぼさないようにすることとされています。この規定に違反した場合罰金規定が設けられており、5万円以下の罰金を科すと道路交通法第120条第1項第10号で定められています。
行政処分としては、泥はね運転違反に該当しますが、違反点数は付与されません。ですが反則金は設定されており、大型車は7000円、普通車や二輪車が6000円、原付が5000円となっています。軽い気持ちで水たまりに車を進行させたことで、反則金や罰金を支払わなければいけなくなるおそれがあるのです。
衣類を汚されたり持ち物が壊れてしまった事実は、ドライバーの違反行為による損害のため、ドライバーに対して被害届を出したり、損害賠償が請求できます。衣類については、クリーニング代の実費程度、持ち物が壊れてしまった場合は、その物の時価相当が請求可能な金額になるでしょう。
ただし、お気に入りの服が汚されてしまった、もしくは壊れてしまったといった理由で、精神的な苦痛を受けたとする慰謝料請求は認められません。そのため、弁護士をたてて慰謝料請求をしても高くついてしまう可能性が高いでしょう。
例えば、泥が飛散して上着に数ヶ所泥によるシミができてしまった場合、クリーニングとあわせて染み抜きの処置も必要になるでしょう。あるクリーニング店で染み抜きとクリーニングを依頼した場合、4500円かかるようです。
なお、水はねにびっくりしてスマホを落としてしまい壊れた場合、その修理代は、スマホの時価が限度となるようです。新しい機種であれば、高い金額での修理代が必要になりますが、使用期間が長いものであれば、修理代はあまり望めないかもしれません。
水はねを防ぐには、運転手が十分に気を付けて車を走らせなくてはいけません。JAFが水はねについて検証を行っています。検証の条件は次の通りでした。
●道路の水たまりは、わだち状で水深が約1センチメートル
●歩行者は車道から一段上がった歩道を利用
●歩行者の横を車が通り過ぎるときの間隔は約50センチメートル
●コンパクトカーを使い、時速40キロメートル、時速20キロメートル、時速10キロメートルの3つの条件で水たまりを通過
この条件による検証結果は表1の通りです。
表1
自動車の速度 | 水はねの結果 |
---|---|
時速40キロメートル | 身長150センチメートルの歩行者の肩付近まで水が跳ね上がった |
時速20キロメートル | 歩行者の足元に水がかかり、濡らしてしまった |
時速10キロメートル | 水はねは歩道に達することがなく、歩行者に影響なし |
※一般社団法人 日本自動車連盟(JAF) [Q]「水はね」をしないためには、どんなところに気をつけて走行すればいいのですか?を基に筆者作成
この結果から、少しの水たまりがある場合は十分に減速して、歩行者に配慮した運転が必要といえるでしょう。
歩行者は、前方に水たまりがあると分かった場合は、後ろから車が来ていないか注意し、事前に水はねから身を守るとよいかもしれません。
歩道を歩いていただけなのに、乱暴な運転をする車によって被害を受けるケースは少なくありません。泥はね運転は道路交通法違反であり、検挙されれば反則金の支払いが発生します。それにより衣類や持ち物が汚されたり壊れたりした場合、損害賠償も請求できるでしょう。
泥はね運転の場合、相手が気付きその場で謝罪があれば、クリーニング代などの話もできる可能性はあるかもしれません。しかし、自動車側がそのまま走り去ってしまうと、相手を特定するのは難しいでしょう。歩行者が泣き寝入りにならないよう、雨天時や雨上がり時の運転には、気を付けたほうがよいかもしれません。
e-Gov法令検索道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第七十一条
e-Gov法令検索道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第百二十条第一項第十号
警視庁 反則行為の種別及び反則金一覧表
JAFクルマ何でも質問箱[Q]「水はね」をしないためには、どんなところに気をつけて走行すればいいのですか?
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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