1月7日(火) 0:30
事故物件とは、殺人や自殺、孤独死などにより人が亡くなった物件の総称です。自宅で病気療養中に医師や家族みとられて亡くなったなどの事例は、事故物件に含まれません。また、不慮の事故で亡くなった場合でも一緒に住んでいた家族などがすぐに発見すると事故物件にはなりません。
例えば、通常の生活をしているときに脳出血や心筋梗塞で突然に倒れ、家族が慌てて病院へ運んだものの、死亡が確認された場合などが該当します。
国土交通省は2021年に「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を定めています。事故物件に該当するかどうかは、このガイドラインに沿って決められるのが一般的です。
事故物件は「心理的瑕疵(かし)物件」とも呼ばれており、入居に抵抗がある人も多いでしょう。事故物件であることを隠すこともできないため、多くの不動産仲介業者が家賃を下げて入居者を集めています。
家賃の値下げ幅に関して決まりはありませんが、事故物件の家賃は通常より20〜30%安いのが相場です。
イエコン(株式会社クランピーリアルエステート)が行った「事故物件の需要調査アンケート」によると、男性の73%、女性の92%が「事故物件に住むのに抵抗がある/やや抵抗がある」と回答しました。
現在の日本では、ほとんどが病院で最後のときを迎えます。人の死に接したことがない人も多いでしょう。また、きれいにリフォームされていても、事件・事故・自殺・孤独死の場合は「縁起が悪い」「何か出てきそう」といったマイナスのイメージを持つ人もいます。
一方、家賃が安ければ気にしないという意見もありました。女性より男性のほうが、事故物件に住むのに抵抗がない傾向にあります。
さらに、自然死や孤独死なら気にならないという意見もありました。つまり、同じ事故物件でも自然死なら抵抗感が少ない人も多いようです。
事故物件は、いつまでも安く住めるわけではありません。特に、駅が近い、間取りが広いといった家賃を高くできる要素が多い物件は、更新のたびに値上げされて、数年後には相場通りの家賃になる可能性もあります。最初から2年たったら退去するといった契約を求められる場合もあるでしょう。
また、近年は事故物件をまとめたサイトもあります。インターネットを検索すれば、事故物件の住所だけでなく、事故物件になった理由までわかる可能性があります。事故物件になった理由によっては、いたずらの被害にあう可能性もあります。
ずっと事故物件に住んでいる著者の作品がヒットするなど、事故物件に関する関心が高まっています。アンケートの結果が示すように、事故物件に抵抗がある人も多い一方で「安く住めるなら事故物件など気にしない」といった人もいます。
事故物件の魅力は相場に比べて安い家賃ですが、住み続ける限りずっと安いとは限りません。事故物件を借りる場合はいつまでこの値段で借りられるのか、不動産業者に確認しておくのがおすすめです。
また、事故物件に関する問い合わせを嫌がる不動産仲介業者もいるほか、事故物件はいたずらの対象になりやすいといったデメリットもあることを承知しておきましょう。
国土交通省 不動産・建設経済局 不動産業課 宅地建物取引業者による人の死の告知に関する ガイドライン
株式会社クランピーリアルエステート イエコン 事故物件の需要調査アンケート(PRTIMES)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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