有村智恵と原江里菜の2025年女子ゴルフツアー展望ランキング上位勢が米ツアー挑戦も「変わらない選手は強い」

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有村智恵と原江里菜の2025年女子ゴルフツアー展望ランキング上位勢が米ツアー挑戦も「変わらない選手は強い」

1月7日(火) 9:05

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【連載】有村智恵のCHIE TALK

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有村智恵と原江里菜の対談・中編。4月に産休からの試合復帰を控えた有村プロと、ここ数年はステップアップツアーが主戦場ながらツアー出場を続けてきた原プロ。2025年の目標と、2025年JLPGAツアーの展望を語り合う。



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(>>対談前編はコチラ)

【どこかで「有村智恵に負けたくない」という気持ちがあった】 ――あけましておめでとうございます。おふたりの2025年の抱負をお聞かせください。

智恵ちゃんは試合に出るでしょ?

有村 4月にスポンサーをしてくださっているヤマハさん(ヤマハレディースオープン葛城)とバンテリンさん(KKT杯バンテリンレディスオープン)の試合があるので、それを目指して、と思っていたんですけど、日が迫ってきたら「これ行ける気がしない」みたいな(笑)。

それに間に合わせるには相当の練習が必要ですが、その時間が取れそうになくて。限られた時間のなかでどう自分を追い込めるか、ですね。

やっぱり子育て(と並行が)がキツいんです。本当は休みたい時もあるんですけど、そのなかでも練習に行かないといけないから、これは結構心を鬼にしないとな、と思っています。

――原プロはいかがですか?

私は本当に何も考えてないんです。

何も考えてないというか、ずっと何をしようかなと思いながらも、何も動いてない状態で。もちろん、NECさんの所属なので、推薦で試合(NEC軽井沢72ゴルフトーナメント)も出させていただけますし、これまでのお付き合いのなかで、推薦で出場させてくださる企業さんもいらっしゃるんですけど、それを毎年繰り返していていいのかな、と。この年齢になって、どこかで何かを切り替えないと何も変わらないんじゃないかと思うようになりました。今、こんなことを言っていても、開幕戦でティーグラウンドに立っている可能性もあるんですけど(笑)。

自分のやりたいこととか、やるべきこと、やれることをゆっくり考える時間を作りたいです。試合に出るとなると、練習を一番の軸に据える必要があって、忙しさに負けて自分の思考が止まるので、まずは一旦考えたい、考えることに時間を使いたいなと思っています。

――練習に対する考え方は以前と変わりました?

効率を上げようという気持ちは出てきました。



デビューした時は、どこかで「絶対智恵ちゃんに負けたくない」っていう気持ちがあったので、(試合後の練習でも)「智恵ちゃんがパッティンググリーンから出るまで出ないぞ」とかがあったんですよ。自分の中ではこっそりと。

でも、智恵ちゃんも帰らないから、グリーンを出るのが5時半とかになるんです。

「え、もう帰りたい」と思うけど、「でも智恵ちゃんがまだいる」をずっと繰り返していました。さすがに今になって、年を重ねてきてからは「今日はこのノルマをやろう」とか、自分が軸になりました。試合会場でも自分の時間を過ごすことが増えましたね。

【何も変えずに入って来られる選手は強い】 ――2025年の女子ツアーの見どころを教えてください。

小祝さくらちゃんは(日本ツアーに)残りますけど、竹田(麗央)さん、岩井姉妹、山下美夢有ちゃんなど、(ランキングが)上の選手がこぞってアメリカツアーに行くじゃないですか。そうなると、「次は私」って火がつく選手が絶対に増えてくると思うんです。

それこそ去年だったら、終盤に桑木志帆ちゃんもギアを上げてきました。だから、去年良かった選手はギアを入れようとするじゃないですか。今年は私にもチャンスがある、と。でも、私は変わらない選手が一番強いと思っているんです。何かを改造してくる選手って、シーズンに波が出てしまうので。何も変えずに入って来る選手は誰なんだろうっていうのにすごく興味があります。

だから、そういう意味でも小祝さくらちゃんは強くて。年齢も重ねているけど、すごく大きく何かを変えてきている印象があまりなく毎年(シーズンに)入って来ますよね。

あとは、若い選手たち。昨年のプロテストを受かった選手たちですね。

有村 今年は(QTで来季出場権を獲得した新人選手が)多いですよね。

ただ、ここ最近、新人でシードを取った選手は少なかったんですよね。去年は0人で、シード復帰組が多かった。

そういう意味では、ずっとシーズンを戦ってきた選手がすごく強くなっている印象があるので、若い選手たちは勢いに乗っちゃわないといけない。(ルーキーながらシーズン途中からの参戦でメルセデスランキング57位と健闘した)政田夢乃ちゃんみたいな感じで。その政田選手も、NEC(NEC軽井沢72ゴルフトーナメント)で大きいチャンス(※)を逃してしまって、結局来季のシードも取れなくて。

※最終日の18番ホールを単独首位で迎えるも、18番をダブルボギーと崩れ、惜しくも2位タイに終わった。

私たちの時代は、ひとつのミスってそんな大きな命取りにはならなかったけど、今は、それがその選手の人生を変える一打になると思うので、若い選手たちがどれくらい勢いよく新しいシーズンに入ってくるのかはすごく興味があります。

【勝っている選手は3周回って腹を決めている】 ――そこで優勝できる選手と勝ちきれない選手の差はありますか?

夢も希望もない話ですけど、勝てない選手はいつまでも勝てないし、何回も勝てる選手は何回も勝てると私は思っていて。その選手の生まれた星というか、その選手が持っているもの。それが全てだと思うんですよね。

有村 本当に夢も希望もない(笑)。

だから、何かを変えたらこの選手がすごく活躍するようになるということは、私はないんじゃないかなと思っていて。



初優勝したことがなくてなかなか勝てない選手っていうのは、1勝目までが遠くてもチャンスがあると思いますけど、1勝してからその後に何年もブランクがある選手は、二桁勝ったりすることはないと勝手に思っています。

有村 私は、腹のくくり方が違うなって。勝っている選手は、3周ぐらい回って腹を決めて打っている選手が多い印象です。

どこかに迷いがあったり、自分を信じられない時って、強い選手にも必ずあるんですけど、そこでいい意味で開き直れる人が強いと思うんです。

これを外したからって別に死ぬわけじゃないと思ってもいいし、逆にこんなに考えているけど、結局やることはシンプルだよねって割り切れたり。緊張している自分に惑わされないというか、最後に腹をくくってその1打を打てるかどうかは大きいかなと思います。

(つづく)

【Profile】

有村智恵(ありむら・ちえ)

1987年11月22日生まれ。プロゴルファー。熊本県出身。

10歳からゴルフを始め、九州学院中2年時に日本ジュニア12~14歳の部優勝。3年時に全国中学校選手権を制した。宮城・東北高で東北女子アマ選手権や東北ジュニア選手権、全国高校選手権団体戦などで優勝。2006年のプロテストでトップ合格。2007年は賞金ランク13位で初シードを獲得した。2008年6月のプロミスレディスでツアー初優勝。2013年からは米女子ツアーに主戦場を移した。2016年4月の熊本地震を機に日本ツアーへ復帰。2018年7月のサマンサタバサレディースで6年ぶりの優勝を果たすなど、JLPGAツアー通算14勝(公式戦1勝)をあげる。

2022年に30歳以上の女子プロのためのツアー外競技「LADYGOCUP」も発足させた。

2022年11月に、妊活に専念するためツアー出場の一時休養を表明。2024年4月に双子の男の子を出産した。

原江里菜(はら・えりな)

1987年11月7日生まれ。プロゴルファー。愛知県出身。

東北福祉大学年在学中の2006年にファイナルQTで43位となり、TPD(トーナメント・プレーヤーズ・ディビジョン)非会員登録制度を活用して2007年よりプロ転向。初年度からシードを獲得し、2008年8月の「NEC軽井沢72ゴルフトーナメント」でツアー初優勝。2015年の「大東建託・いい部屋ネットレディス」で2勝目を挙げる。

東北高校出身で、有村智恵とは同級生。

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