12月12日(木) 13:50
令和5年12月22日に閣議決定された「子ども未来戦略」では、児童手当の支給対象拡大や支給額の引き上げなどの見直しが盛り込まれていました。
支給対象を中学生から高校生世代(18歳到達後の最初の3月31日までの間にある子)に引き上げること、所得制限が撤廃されること、第3子以降の支給額が1万5000円から3万円に倍増されることなどは、各種報道でも頻繁に取り上げられました(※1)。
ところが、この第3子への支給要件を巡って、見直しを求める声が噴出しました。支給対象となる第3子が高校生年代まで拡大したのに、多子を数え始める上限も高校生世代のままだったからです。
せっかく手当額が倍増しても、高校生で第3子カウントできるケースがあまりに限定的なため、カウント方法に疑問を呈する議論が数多く起きたのを覚えている方も多いことでしょう。
その後、この話がどうなったのか?表1内にあるように、最終的に昨年12月の閣議決定において、第1子のカウントは「22歳年度末」まで延びました。次の例で説明します。
第1子:20歳(大学生)第2子:18歳(高3)第3子:16歳(高1)
この場合、第1子が多子カウントの対象に毎年認められれば、22歳までの3年間、つまり第3子が高校生の3年間、第3子対象として月3万円を受給できることになります。
すでに児童手当を受給していた世帯には、自治体から新制度の内容や手続きについて案内が送られているところが多いでしょう。ただ、制度改定に伴い第3子を含む児童手当対象が新たに発生する世帯では、まだ申請できることに気付いていない恐れがあります。
申請先については、会社員等の被用者は市区町村、公務員は勤務先の所属庁などになります。制度改定に伴い新たに第3子を申請する場合、表2のようなケース分けが考えられます(※2)。
22歳年度末までだと、就業している方も多く含まれます。閣議決定では、多子加算のカウントに認められる子について次のように定めています。
「多子加算のカウント方法については、現在の高校生年代までの扱いを見直し、大学生に限らず、22歳年度末までの上の子について、親等の経済的負担がある場合をカウント対象とし、自治体の事務負担に配慮した簡素な方法で確認することとする」
(引用:内閣官房「こども未来戦略会議」(※1))
また、こども家庭庁の「児童手当制度の概要」では、受給資格者について、「監護生計要件を満たす父母等」としており、これら監護実態と生計費負担を申告するのが前出の確認書になります。
22歳年度末までの子が就職しており、生計維持に十分な収入がある場合でも、父母等が日常的に世話し面倒を見ている状態で、家賃や食費の一部を親が負担しているなど経済的負担がある場合は、第3子以降カウントの対象となる可能性があります(※1)。
「監護相当・生計費の負担についての確認書」には、これらのチェック欄がありますので、すぐに確認することをお勧めします。
(※1)内閣官房各種本部・会議等の活動情報こども未来戦略会議
(※2)名古屋市令和6年10月の児童手当制度改正について
(※3)こども家庭庁もっと子育て応援!児童手当
内閣官房「こども未来戦略会議(第9回)議事次第」
執筆者:伊藤秀雄
FP事務所ライフブリュー代表
CFP®️認定者、FP技能士1級、証券外務員一種、住宅ローンアドバイザー、終活アドバイザー協会会員
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