5月31日(月) 14:46
今年17歳になる女優・小林星蘭。子役デビューしてから12年、ドラマに声優にとキャリアを重ねながら、大人への階段を登っている真っ只中。元子役の現役高校生、もうすぐ17歳のリアル。元子役ならではの葛藤と、「自分らしさ」とは何か話を聞いた。
17歳になる寂しさと焦り
――今年17歳ですね。昔思い描いていた「17歳」のイメージと比べてみて、どうですか?
思っていた「17歳」の実感はないです。もうそんなになっちゃったんだ、っていう。『もう子供じゃない』っていう域に近づいてるんだなって、寂しさと焦りがあります。
会った人にも、SNSでも「もう16歳になったんだ」って言われることが増えました。「うん、みんなそう思うよね、自分でも、確かに大きくなったと思うよ」って思ってます(笑)。
4歳でデビュー。「負けず嫌い」だった子役時代を振り返る
デビューはカルピスのCM(2009年)。長澤まさみさんと一緒に鬼ごっこしたり、遊んでもらっていた記憶があります。ドラマ出演で強く印象に残っているのは、2011年の『名前をなくした女神』(フジテレビ系)。当時6歳で、監督さんが3人いらっしゃったんですけど、皆さん厳しい方だった。たくさん指導をしていただきました。
――その時感じたことを覚えていますか?
ちっちゃい子だからって、無邪気にしているだけでは通用しない。セリフを喋れていたらそれでいいわけじゃない。一つのセリフに対して、いろんな表現を考えたほうがいいということも、叩き込んでもらいました。
同い年くらいの子が周りにいっぱいいる環境だったので、負けてられないなっていう気持ちも大きかったです。誰かが演技を褒められたりすると、「私、今日褒められてなくない?」って悔しくて。
私、か~なり負けず嫌いです。小さい頃は、じゃんけんで負けても泣くぐらい。めちゃくちゃ面倒くさい子だったと思います(笑)。
高校2年生、絶賛悩み期です
――幼少期から仕事をしてきて、現在高校生。周りの、自分を見る目が変わってきたなって思った瞬間はあるのでしょうか。
2回ぐらいあります。1回目は、小学5年生とか…小学校高学年の頃。だんだん幼さが抜けてくるタイミングで、ちょうどSNSが広まってきた時期でもあります。「もうそんな歳になったんだね、大きくなったね」って直接言われたり、SNSに書かれたりした事を目にすることが多くなったのを覚えています。
2回目が、まさに今。バラエティ番組(今夜くらべてみました・日本テレビ系)に出させてもらったのがきっかけで、「もう16歳になったんだ!」って言われることが増えました。
――高校2年生、進路を悩む時期でもありますか?
絶賛“悩み期”です。すごく悩んでます。進学はしたいんですけど、何が勉強したくて、どこに進みたいかというのが、まだ明確に決めきれていなくて。学費のことも気になるし…。でも、芸能活動を続けていくっていうのだけは迷わず決めています。
――仕事を辞めたいと思ったことは?
ありますよ!辞めたいと思ったこと、あります。小学4年生ぐらいかな。疲れたんでしょうね。なんか…普通の学校生活って、どんな感じなんだろうって思って。
でも、すぐ後に声優のお仕事を始めた頃からは特に悩むこともなく、続けていこうと思えるようになりました。「絶対やめる!」とか、決めつけなくてもいいんだなって。
SNSと“素”の「ちょうどいい距離感」を模索中…「子供っぽい」に縛られなくてもいい
――過去には、SNSに投稿するのが苦手であることを明かしています。今もまだ?
今も苦手です。せっかく見てくれる人がいるんだったら、ちゃんと読んで楽しいと思えるようなものとか、何かしら暇つぶしになるものにはしたいというか……。
SNSは「双方向」っていうけど、最初は自分が一方的に出すものなんですよね。一方的に投げかけて、それに対して誰かが返してくれて、さらに自分が返していく……という感じでつながっていくもの。
そういうことを考えていると、言いたいことをうまく言葉に出せなくて悩む事が多くて。書いた後は必ず何度も読み返して、変じゃないか確認します。1回投稿するまでにいつも30分…1時間ぐらいかかる時もあります。
やっぱり子役時代の、“純粋”というような印象を持っている方もいらっしゃるんじゃないかなと考えると、どこまで出すべきかっていうのも、悩みます。とはいえ、出さなすぎてもどんな人かわかんなくなりそうだし。「素」とSNSの、ちょうどいい距離感を見つけるのが、今すごく難しくて。でも、前よりはだいぶ素を出せるようにはなってるかなあと思います。
――前よりも素を出せるようになったのは、考え方の変化があったのでしょうか?
番組で変身企画をさせてもらい、年齢的にも「自分らしさ」があっていいんじゃないかなって思えてきました。中学生の頃は、自分はそう思わなくても共感したフリをしたりしたこともありました。でも、誰かに合わせていると、なんか本当につまらない人になっちゃうなと思って……。
高校生になった頃、「多様性」という言葉をよく聞くようになりました。そういうことを考えた時、「(自分には)まだ“子供っぽい”イメージがあって、そのイメージを守った方が…」といったことに縛られているよりは、「みんな一人ひとり違うんだから、今の自分を出していいんだ」って、思ったんです。
――今後どんな自分、どんな大人になっていきたいか、イメージはありますか?
あまり、自分のことを否定しないような人間になれたらいいな。周りのことを考えすぎて「自分の好きなもの」「やりたいこと」などを後回しにする癖があるので、自分がやりたいって思ったことに、嘘をつかないで応えられるようになりたいです。
――他の方のSNSは、どういう方を見ますか?
YouTuberの「あさぎーにょ」さんがすごい好きで、よく見ています!あさぎーにょさんがいつも言ってるのが、「自分がワクワクしたことを発信したい」ということ。人間味が伝わってくる動画なんですよ。それでいて、お洋服とかがおしゃれでかわいくて、個性的で、大好きです。
コンプレックスをTwitterで発信したことで世界が広がった
――SNSでは容姿に対する悩みを明かしています。公表することに迷いはありませんでしたか。
何を言われるのかな、とは思いました。顔はむくんでるし、肌も荒れている素顔を世の中にさらすのってどうなんだろうって、そこは悩みました。
でも、同じように容姿の悩みを抱えている人って、たくさんいると思ったんです。私自身が「自分だけじゃなかった」って思いたかったのもあるし、見てくれている人に、「あなただけじゃないよ」っていうのを伝えたかった。一緒に変わろうって思ってくれる人がいたらいいなって。
でも、Twitterの発言から出演に繋がったのはびっくり!言ってみるもんだなって(笑)。番組出演で、自分を変えるきっかけをいただけて、去年の比にならないくらい大きな反響がありました。Instagramも始めて、見える環境はだいぶ変わったと思います。
ずっと縮こまっていた。「ようやく猫背がまっすぐになったという感じ」
――幼少期から大人に混じって仕事をされていました。「背伸び」していましたか。背伸び、してたかなあ…むしろ縮こまってた、かな。あまり自分をさらし過ぎないようにしようと思っていたので、全面的に出せなくて縮こまっていたのが、やっと猫背がまっすぐになったなっていう感じ。コンプレックスがある部分も、自分では嫌なことに変わりはないけど、逆にそこがいいって言ってくれる人もいて…。多くの意見が見られるようになったからこそ、受け取り方は多種多様なんだからって、いちいち傷ついたりしなくなりました。
谷花音、鈴木福、子役仲間からもらう刺激。「たぶん私、近所のおばちゃん?(笑)」
――谷花音さん、鈴木福さんと同い年ですね。小さい時から知っていると、会った時に「大きくなったね」とか言っちゃったり…?
言います!福ちゃんには「いやぁ背伸びたね~、声変わったね~」って。お母さん世代くらいのファンの人と同じぐらいの感覚。近所のおばちゃんみたいな喋り方してんなこいつ、って思われてるんじゃないかな(笑)。
私にとっては福ちゃんは福ちゃんだけど、仕事をしているのは、“福さん”。本当にたくさん、いろんなお仕事をされているので、すごいなって思います。のんちゃん(谷花音さん)は今留学中で、やりたいと思ったことをしっかり決めて進んでるのってすごいなって。一生懸命な姿は刺激になります。
――最後に、今後どういう役をやってみたいですか?
声がすっごい可愛い「きゅるるん♪」みたいな女の子とかもやってみたいし、『プリキュア』もまたやりたくて。あとは、いつもちょっと悲しい環境にいる子の役が多いので、天真爛漫なキャラクターとかも。
――ラブストーリーなんかはどうでしょう?
やってみたいですね! …でも、できるかなあ?(笑)。今、趣味で満たされすぎてて、恋愛したいっていう脳は全然ないんですけど(笑)。
どんなお仕事でも、飛び込んでみたら新しい発見があると思っているし、お声がけいただくことがあれば、できる限り応えたいなと思う。そのことがさらにその先へとつながることがきっとあると思うので!
<取材・文=吉河未布/編集=Ameba編集部/撮影=長谷英史>
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