カマタミワが描く“笑えるひとりぐらし” その裏にあった密かな努力とは

カマタミワが描く“笑えるひとりぐらし” その裏にあった密かな努力とは

8月14日(水) 10:00

お風呂に入ればひたすら「テンションの上がるお風呂の入り方」を研究し、空気清浄機を買えば納豆で挑発する。

そんな、ひとりぐらしのやりたい放題ライフをブログで描くカマタミワさん。単調で味気ないと思われがちな「ひとりぐらし」のイメージを覆す彼女の生活は、とにかく楽しそう!

なぜカマタさんは「ひとりぐらし」をここまで面白く描けるの?その秘密をご本人に聞いてみました。



<カマタミワ>
ブログ『半径3メートルのカオス』を運営する“一人暮らしを愛しすぎた”ブロガー・漫画家。自由すぎる暮らしぶりや、おひとりさまレシピなどひとりぐらしをエンジョイする生活ネタまで、幅広い内容で独身女性から猛烈に支持されている。


原点になった3人の漫画家

 クスッと笑えて、思わず共感してしまうカマタさんの漫画ブログ。その原点は、子ども時代にあったようです。

「当時から、妄想癖が激しく、あまり人の話を聞いていない子供でした。よく天然と言われていました。あ、妄想癖は今もあまり変わってませんね…。

 子どものころから絵を描くのが好きで、小学3年生くらいから、ずっとノートに漫画を描いていました。その頃から、将来は漫画家になる!と思ってました。なかでも一番好きだった漫画は、『うる星やつら』や『らんま1/2』など、高橋留美子先生の作品。かなり影響を受けています。小学生のころはかなり模写していました。」


通っていたバーでいきなりキスしてきた女性。その理由とは…?最後のコマが高橋留美子先生風ですね!


「次に出会ったのが、うすた京介先生の『すごいよ!マサルさん』。これをきっかけにギャグマンガ家になりたい!と思うようになりました。その後、出版社に漫画を投稿するもなかなかデビューできなくて、いったんは漫画家という夢から離れました。」


「お茶菓子ない問題」はひとりぐらしあるある。お茶菓子の代わりに手に取ったのは…?

「でも、社会人になっててから増田こうすけ先生の『ギャグマンガ日和』に出会い、またギャグマンガを描きたい!という気持ちが再燃して、今にいたります。この3人の作家さんがいなかったら、漫画を描いていなかったかもしれませんね。」


尽きないネタの秘密

カマタさんの漫画のもうひとつの魅力は、思わずネタにしたくなるような濃いキャラとの出会いがとにかく多いこと。なぜそこまで面白い人を引き寄せてしまうのでしょうか。

「面白いできごとや人に出会うのは、だいたい何も考えずに、ぼーっと歩いている時です。私も急いでいたり、何か他のことを考えていたりする時は、何にも出会わないんですよね。頭が完全にゆるんでいるときというか…。

 私は視力が悪いので気になるものがあると立ち止まってじっくり見るのが多いのですが、そういう時に愉快な人に話しかけられることが多いです。」


レジの店員さん、道ゆくおじいちゃん。何気ない出会いにも面白い人はひそんでいます。

「あと、よく話しかけられるのは、見た目が『ぼんやりして弱そう』なのも原因なんじゃないかと。道ゆく人に『こいつなら大丈夫!』って思われるのかもしれません(笑)。」


大人も「ごっこ遊び」でストレス解消

子どもの寝かしつけ絵本「おやすみロジャー」で寝かしつけされようとしたり、癖の強すぎる店長の店に行ってみたり、エンジョイする方法のクセの強さも魅力。そんな企画の数々はどこから着想するのでしょうか?

『おやすみロジャー』は、寝付かない私のために(というか寝付かなくてうざかったから)友人が流してくれたので、完全に友人のおかげですね。変なお店やイベントに一緒に行ってくれたり、アホなことに乗ってくれる友人たちのおかげで生まれるネタやアイデアも多いです。」


すやすや眠れるかと思いきや…


「でもひとり遊びも大好きですよ!新刊の『ひとりぐらしこそ我が人生』では、私がストレスが溜まった時にやる、“安居酒屋ごっこ”について描いています。また既刊の『ひとりぐらしも極まれり』では“初めて海外から日本に来た外国人”になりきって、東京観光ごっこをしています。大人なのに、とかバカバカしい、とか思わずに楽しみきるのがポイントです!ストレス解消具合が半端ないんで!」


テンポのよさの裏には努力が


レジの店員、街ゆくおじいちゃんなど、面白キャラたちが日常でもカマタさんを取り囲みます。

「引かれるかもしれないのですが、笑ってもらえる漫画を描けるようになろうと、かなり勉強しました。もともとギャグ漫画家志望だったのですが、ギャグを描く才能がなかったので、努力でなんとかせねば!と思い、仕事の合間に3年くらいかけて“笑い”について学んだんです。

 具体的には、笑いについて研究されている学者の本や、お笑い養成所の本を読んで、笑いを理論から学んだり、お笑い芸人のコントを書き起こして、面白い箇所はなぜ面白く感じるのかを分析したりしていました。

 今はブログで実際にあった出来事を描いていますが、そのころ学んだギャグの基本を踏まえて、スピード感や切り取り方、突っ込みなど、ギャグ漫画を描く気持ちで描いています。

 何を描くかも、ブログと書籍で変えていますね。ブログを見てくださる方は、もともと漫画が好きだったり、ネットに親しんでいる方が多いので、多少マニアックなネタや、ネットスラング・ちょっと特殊な言い回しなども、気にせずぶっこんでいます。ブログ漫画の内容は、できるだけ笑えるもの、楽しいものだけを描くようにしています。

 書籍はブログでは描けない、長編の漫画も思い切り描いています。内容的にもブログでは描きづらい、人生で一番しんどかった時期のことや、それを乗り越えるためにいろんなチャレンジをした話など、笑えるものだけではなく、色々とさらけ出しています。」


今後の野望は「多産な漫画家」




「もっと笑える漫画を描けるようになりたい!フィクション漫画を描けるようになりたい!ひとり旅が好きなので、旅モノのエッセイ漫画も描きたい!美容や健康に関するエッセイ漫画も描いてみたい、趣味に関する漫画も描きたい!もっと絵が上手くなりたい!魅力的なキャラクターを描けるようになりたい!  

 今、描くのが遅いので、もっと速く描けるようになって、ブログも書籍ももっと描きたい~~!!多産な漫画家になりたい~~!!!

 ハァハァ…そんな感じでいろいろとやってみたいことはあります。進みはゆっくりですが、もっと面白いものが描けるように頑張りますので、今後も読んで頂けたら嬉しいです!」

この本もおすすめ



ひとりぐらしこそ我が人生

今年3月に発売された新刊『一人暮らしこそ我が人生』。空気清浄機が自分にやたら反応して動き出したり、追い抜こうとした犬が歩くスピードに合わせて戸惑ったりと、ますます加速するひとり暮らしネタに加え、「一人家飲みレシピ」など役に立つズボラひとりぐらしテクも書き下ろし

【関連リンク】
カマタミワさんブログ「半径3メートルのカオス」
『ひとりぐらしこそ我が人生』をくわしく見る
カマタミワ公式ツイッター
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