4月25日(金) 19:30
遺族年金とは、亡くなった人によって生計を維持されていた配偶者や子どもに支給される年金です。国民年金から支給されるものは「遺族基礎年金」、厚生年金から支給されるものは「遺族厚生年金」と呼ばれます。
今回の事例では自営業のため、遺族年金は遺族基礎年金から支給されることになります。
遺族基礎年金を受給するには、「亡くなった人」と「残された遺族」がいくつかの要件を満たす必要があります。
遺族基礎年金を受給するには、亡くなった人が以下のいずれかの条件を満たす必要があります。
1. 国民年金の被保険者期間中
2. 国民年金の被保険者だった人で、日本国内に住所がある60歳以上65歳未満の人
3. 老齢基礎年金の受給権者
4. 老齢基礎年金の受給資格を満たした人
1と2の人は、死亡するまでに保険料の納付済期間が国民年金期間の2/3以上なければなりません。ただし、2026年3月末までは、亡くなった人が65歳未満の人であれば、死亡前の直近1年間に保険料の未納がなければ受給可能です。
3と4の人は、保険料納付済期間や免除期間などを合算して25年以上が必要です。なお、3の受給権者とは、受給資格を満たす人のうち、受給手続きを行って年金を受ける権利が確定した人のことを意味します。
遺族年金を受給できるのは、遺族のうち、亡くなった人に「生計を維持されていた」以下の人々です。
●子どものいる配偶者
●子ども
この場合の「子ども」とは、「18歳の年度末まで」もしくは「障害等級1級または2級で20歳未満」のいずれかを満たす必要があります。
「生計を維持されていた」とは、以下の要件を全て満たす必要があります。
●生計が同じ
●前年の収入が850万円未満、または所得が655万5000円未満
別居でも、仕送りをしていたり、健康保険の扶養親族として扱われたりしていれば、生計が同じと認められます。
事例のように、遺族年金が受給できそうでできないケースがあります。よくある事例を紹介します。
亡くなった人に年金保険料の未納や滞納があると、受給できないケースがあります。遺族基礎年金を受給するには「死亡までに保険料納付済期間が国民年金加入期間の2/3以上あること」などの要件が必要だからです。
遺族基礎年金を受給できるのは、「子どものある配偶者」か「子ども」です。つまり、遺族基礎年金は子どもがいないと支給されません。また、子どもがいる場合でも、19歳以上などであれば対象外です。
収入が要件を超えている場合や、別居などで家計が別だと判断された場合も、「生計を維持されていた」と認められないケースがあります。
今回の事例では、収入は要件を満たしていると思われます。しかし、そのほかの要件が満たされていなければ、遺族基礎年金が支給されないこともあるでしょう。
遺族基礎年金を受給するには、意外と多くの要件があります。子どもがいないケースや、子どもがいたとしても19歳以上であれば支給されないため、受給できると思っていたのに受給できないことも多いでしょう。
したがって、自営業者などは生命保険に別途加入するなどして、もしものときに配偶者が生活に困らないように備えておく必要があります。
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
執筆者:山根厚介
2級ファイナンシャルプランニング技能士
【関連記事】
夫が亡くなったら遺族年金、いくらもらえる?4組の夫婦で比較してみた