4月23日(水) 21:00
日本ではここ数年、さまざまな食品の値上げが続いており、多くの家庭がその影響を実感していることでしょう。オイシックス・ラ・大地株式会社の「2024年物価高調査」のデータによると、ユーザーの81%が食料品の値上がりを感じて困ったと回答しています。
また、月の食費が前年(2023年)から5000円以上値上がりしたと実感している人が55%を占めることも分かりました。
事実、総務省の家計調査によると、2024年の2人以上の世帯におけるエンゲル係数(支出における食料費の割合。一般的には低い方が生活の水準が高いとされる)が28.3%に達しています。これは2022年の26.6%、2023年の27.8%と比べても高い数値です。
日本における食品の値上げには、原材料費や物流コスト(燃料費・人件費など)の上昇、円安など、さまざまな要因が影響しているといわれています。
ここでは、総務省統計局発表の「消費者物価指数」(2024年)のデータから、前年(2023年)に比べて値上げの幅が大きかった食品TOP3をご紹介します。
2024年に値上げ幅が大きかった食品の第3位は「煮干し」でした。煮干しは主にカタクチイワシが原料ですが、近年、カタクチイワシの漁獲量が減少し、市場に出回る商品の供給量が減ったことが価格上昇の原因とみられます。
さらに、漁船の燃料費がかさみ、煮干しの価格に上乗せされたことも原因の一つといえます。また、漁業従事者の高齢化や産業の衰退なども、価格を上昇させる要因と考えられるでしょう。
煮干しの価格上昇は、家庭での煮干しを使った料理や、飲食店のメニューにも影響が出る可能性があります。
第2位は「うるち米(コシヒカリ以外)」でした。2025年に入っても引き続き米の価格は高騰していますが、この傾向が特に強くなったのは2024年の夏からといえます。米の値上がりの原因として、異常気象による収穫の減少、需要の増加、供給の不安定さが影響していると考えられます。
2023年の猛暑による記録的な高温は、米の生育に大きなダメージを与えました。その結果、米の供給量が減少し価格が高騰したようです。
そのほか、コロナ禍からの回復による需要増や訪日外国人観光客の増加による需要増、生産者の高齢化や、農業従事者の減少によって作付面積が減少していることも関係しているとみられます。
ジュースの中でも、特にオレンジジュースの価格上昇は顕著な例でしょう。価格上昇の主な原因は、材料であるオレンジ果汁の供給不足です。日本ではオレンジ果汁の約半分をブラジルから輸入しています(2023年)が、ブラジルでは天候不順や病害によって、オレンジの生産量が減少したとされます。
さらに、円安の影響もあってオレンジの輸入価格が急上昇し、国内の飲料メーカーが安定した供給を維持することが難しくなりました。中には、オレンジジュースの販売を休止したメーカーもあるようです。
消費者にとって、食品の値上げは家計に大きな打撃となるでしょう。多くの家庭が食費の上昇を実感し、より価格が安いものを購入するなどの対策に取り組み、支出をおさえる努力をしていると考えられます。
2024年にはさまざまな食品が値上げされましたが、上げ幅が大きかった食品TOP3は果実ジュース・お米・煮干しでした。この3つには、天候不良などによって収穫量や漁獲量が減少し、需要に対して供給が不足したことで価格が高騰したとみられる共通点があります。
お米や煮干しの価格高騰には、日本の漁業や農業の従事者が減少していることも関係していると考えられるようです。
オイシックス・ラ・大地 2024年物価高調査
総務省統計局e-Stat政府統計の総合窓口 消費者物価指数 2020年基準消費者物価指数 4-1 品目別価格指数(全国)年平均 前月比・前年比・前年度比 総合 ~ 煮豆(含類総連番001~216)、焼き魚 ~ ブラウス(半袖)(含類総連番217~432)
総務省統計局 家計調査報告 家計収支編 2022年(令和4年)家計の概要(4ページ)
総務省統計局 家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)家計の概要(4ページ)
総務省統計局 家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要(4ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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