31歳の比嘉真美子が、ひとつの決断をくだした(撮影:福田文平)
4月15日(火) 23:00
ツアー通算5勝の比嘉真美子が、無期限の休養に入るという考えを、先週行われた国内女子ツアー「富士フイルム・スタジオアリスレディス」の会場で明かした。この試合を最後に、一度プロツアーのコースから離れることになる。
「10代の時からフルでシーズンを戦ってきて、ずっと忙しい生活だった。少し休憩をとってもいいんじゃないかなと。ゴルフは長くできるスポーツで、それがいい点だと思う。長くゴルフをしていくうえで、そういう年があってもいい」
石坂での雨の最終ラウンドを、今季のラストラウンドにすることはもともと決めていた。昨年末のQTを回避し、今季は「ダイキンオーキッドレディス」(予選落ち)と、富士フイルム・スタジオアリス(55位)のみの出場になる。その理由については、「ずっとスタジオアリスさんには応援してもらってきたので、この試合をプレーできるのは悩むことなくうれしかった。地元(沖縄県)のダイキンと、ここをプレーして、今年はゆっくりしようかなと思っています」と話す。
アマチュア時代から日本ゴルフ協会(JGA)のナショナルチームメンバーとして活躍。2011、12年の「日本女子アマ選手権」を制するなど、将来を嘱望される存在だった。沖縄県立本部高卒業後の12年に、日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)のプロテストに一発合格。すると翌13年には「ヤマハレディースオープン葛城」で初優勝を挙げた。その後はスランプの時期もありながら、19年のダイキンまでに5つのトロフィーを掲げている。
しかし、33試合に出場しながら、メルセデス・ランキング142位に終わった22年には、15年以来となるシード喪失を経験。以降、苦しいシーズンを過ごしてきた。近年は下部ツアーにも出場してきたが、そういったタイミングでのリセット宣言。「ずっとゴルフを好きでいるために。プロとして試合に出るからには優勝したいとか向上心を持ってプレーしたい。それが試合への礼儀だし、そういう気持ちでないと出たくない」。ただ、その後に、「また、そういう気持ちになれば絶対にプレーします」と続け、引退については否定する。
「(休養は)初めての経験だし、(今後については)まだ何も考えてません。少しゆっくりして、何かやりたいことができたら、それをしようかな」。予定は未定。「休んでみないと見えないこともある。今年のQTを受けたいと思うのか、来年も休みたいと思うのかも休んだ後の自分にしか分からない」。あえて復帰時期は設けずに、自分の体や心と相談しながら“充電期間”を過ごすつもりだ。
心身整った状態で戻ってくることが大前提。そのため今季、最後になったツアーでのラウンドも「すごい雨だなと思っただけ。辞めるわけではないので特には」と、こみ上げるものもなかったと振り返る。「一回ツアーから離れてひとりの人間、女性として自分をいたわってあげる時間が欲しいというのが正直な気持ちです」。再び戦いの場に戻るためにくだした、31歳の決断だった。