4月15日(火) 19:30
大前提として、横断歩道においては「歩行者が優先」です。右折・左折するときに横断歩道を通過する場合、歩行者の都合をまず考える必要があります(歩行者側が赤信号の場合は別)。
道路交通法第38条1項によると、車両は横断歩道に差しかかった際、もし歩行者が横断しようとしているときは、横断歩道の手前で一時停止しなければなりません。このとき、歩行者の通行を妨げないように渡る必要があります。また、いつでも横断歩道の手前で一時停止できるような速度で進まなければなりません。
上記の原則は、右折・左折時だけでなく、直進していて前方に横断歩道がある場合でも同様です。歩行者が横断歩道を渡ろうとしているのに、それを無視して進んでしまうと法令違反になるでしょう。
信号がない場所にも、横断歩道は多く存在します。前方に横断歩道がないか、ある場合は歩行者がいないかを注意深く観察することが大切です。
「横断歩道における歩行者優先の原則」に違反した場合、以下のペナルティーが規定されています。
・罰則:3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金(過道路交通法第119条の5)
・違反点:2点
・反則金:大型車1万2000円、普通車9000円
一般社団法人 日本自動車連盟(JAF)が実施した2024年の調査によると、信号機がない横断歩道において、歩行者が渡ろうとしているところで一時停止した車は全体の53.0%でした。半数近くは歩行者を優先させなかったことになります。
事故が起きれば、取り返しのつかない事態に発展してしまうかもしれません。事故が起きなかったとしても、金銭的・時間的に大きなダメージを受けるおそれがあります。
車のドライバーが歩行者の通過を待とうと一時停止したのに、歩行者が車に先に行くよう促す場合も考えられます。この場合、どのような判断をすべきか迷うかもしれません。以下のような事例があります。
2022年6月に、都内の横断歩道で歩行者に道を譲られて進行したドライバーが「歩行者妨害」で違反を宣告されました。後日、ドライバーがしっかり一時停止していることや、歩行者が譲歩したことなどを踏まえ、最終的には「違反不成立」となっています。この事例はニュースでも取り上げられたようです。
状況はその都度異なるため、一概に「先へ進んでも問題ない」とも「必ず歩行者を先に渡らせるべき」ともいい切れないようですが、基本的には道を譲られたとしても歩行者に先に横断歩道を渡ってもらった方が安心でしょう。
信号のない横断歩道では歩行者が優先です。歩行者が渡ろうとしていることに気づいたら、一時停止しなければなりません。従わない場合にはペナルティーの対象となります。
しかし歩行者が車に譲ってくる場合は、多少状況が異なるようです。一概にはいえませんが、過去の事例では車が先に進んでも違反が成立しなかったケースがありました。
とはいえ、その歩行者とは別の歩行者が近くにいるかもしれないなど、注意したい点はさまざまあります。歩行者優先の原則を常に意識して運転するようにしましょう。
デジタル庁 e-GOV 法令検索道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第38条、第百十九条の五
一般社団法人日本自動車連盟(JAF) 信号機のない横断歩道での歩行者横断時における車の一時停止状況全国調査(2024年調査結果)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
【関連記事】
ハンズフリーで通話しながら運転する人をよく見かけます。通話なら違反ではないのでしょうか?