4月15日(火) 14:10
総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)における1ヶ月の消費支出平均は25万6521円でした。
一方、実収入は月平均25万2818円であり、収入と支出(非消費支出は除く)を差し引くと収支バランスは「マイナス3703円」です。
今回のケースでは、夫婦2人世帯で収入が35万円あります。もし本家計調査の平均消費支出と同じような生活スタイルをしていくのであれば、収支バランスはプラスになると思われます。
仮に月35万円の収入が老後ずっと続く場合、消費支出が平均的であれば生活は安定していくと思われます。
しかし実際には収入や支出にかかわる要素は変化する可能性があるため、慎重な見方も必要です。
今回のケースでは、定年後に年金が15万円と給料が20万円ある想定で、調査の平均値より潤沢な収入源を期待できます。
しかし今後病気や不景気などが原因で働けなくなった場合、給与収入が途切れ、収入源が年金のみになってしまう可能性が考えられます。
今回のケースにおける「15万円」の年金が、夫婦の片方のみの額なのか2人の合算なのかは分かりません。あるいは2人の合算だとしても満額受給しての額なのか一部なのかも定かではありません。
いずれにしても給与が途絶えることで収入が減った場合、仮に消費支出が平均の25万6521円であれば、収支バランスはマイナスに傾くおそれがあります。
前述の調査における、消費支出の項目と構成比は以下の通りです。
●食料:29.8%
●住居:6.4%
●光熱・水道:8.5%
●家具・家事用品:4.8%
●被服および履物:2.2%
●保健医療:7.2%
●交通・通信:10.8%
●教育:0.0%
●教養娯楽:9.9%
●その他:20.4%
食料品やエネルギー関連、保健医療、交通・通信、教養娯楽、交際費などを含むその他の消費支出が大きなウェイトを占めているようです。
物価の高騰がニュースでしばしば取り上げられますが、今後食料費が高騰して費目のウェイトが著しく上がった場合、支出額は大きくふくらむかもしれません。あるいは夫婦のどちらか、もしくは両方が病気やけがで医療・介護費負担が増える場合、やはり支出の増大が懸念されます。
今後の収入や支出がどのように変化していくか、ある程度シミュレーションできる部分もありますが、病気やけがなど不測の事態で左右されることもありえます。そのため万が一の事態を踏まえて、ある程度余裕をもって資金計画を立てておくことは無難といえます。
具体的には以下のような施策が取れるかもしれません。
●貯蓄
●資産運用(NISAやiDeCoなど)
●固定費の見直し
現在働ける状況にあれば、元気なうちに働いて貯蓄にまわすように意識できます。また余裕資金の一部を投資にまわして資産を増やす選択肢もあります。
現在の消費支出を見直して、不要な費目に多額をかけていないかチェックするのもよいでしょう。
仮に月35万円の収入が老後ずっと確保できるのであれば、平均的な消費支出におさえられている限り、安定的な収支バランスになると思われます。
しかし、収入が目減りしたり消費支出が大きく増えたりする可能性は、ゼロではないでしょう。そのため万が一に備えて余裕をもった貯蓄や、今から資産運用で増やす努力をすると、より不安感は少なくなるかもしれません。
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 図1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支 -2024年-(18ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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