4月15日(火) 19:40
金融広報中央委員会「知るぽると」の「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」によると、30歳代の単身世帯で金融資産を保有している世帯と保有していない世帯の割合はそれぞれ以下の通りです。
・保有している世帯:66.0%
・保有していない世帯:34.0%
金融資産を保有している世帯のうち、どれくらいの額を保有しているか表1でまとめました。
表1
金融資産保有額 | 全体に対する割合 |
---|---|
100万円未満 | 22.0% |
100~200万円未満 | 9.3% |
200~300万円未満 | 11.2% |
300~400万円未満 | 9.3% |
400~500万円未満 | 6.1% |
500~700万円未満 | 8.4% |
700~1000万円未満 | 5.1% |
1000~1500万円未満 | 11.2% |
1500~2000万円未満 | 2.8% |
2000~3000万円未満 | 4.7% |
3000万円以上 | 6.1% |
出典:金融広報中央委員会 知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」を基に筆者作成
平均は912万円、中央値は300万円でした。今回の相談者の貯金250万円は、調査対象者全体の中では中央値を少々下回る程度の貯蓄額です。また、200万円未満の金融資産を保有している人は31.3%もいて、10人中3人は200万円以上に達していません。
そのため、250万円の貯蓄額は同世代と比べて低すぎるわけではないようです。
総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)における消費支出の平均は14万9286円でした。
仮に同額を老後にずっと消費し続ける場合、1年で179万1432円、10年(75歳)で1791万4320円、20年(85歳)で3582万8640円必要です。長寿の場合、4000万円を超える可能性もあります。
本調査の数値はあくまで平均的なものであるため、今回の相談者のケースにそのまま当てはまるわけではありません。しかし、老後の生活にある程度お金が必要になるのは確かでしょう。
今後結婚した場合、配偶者の収入にもよりますが、出費はさらに増えることも考えられます。
独身時代は、一般的にお金を貯めやすい時期といえます。配偶者や子どもを養う責任がなく、自分の生活スタイル次第で貯蓄にまわせるお金を確保しやすいでしょう。
状況にもよりますが、一人暮らしをする代わりに実家暮らしをしたり、外食回数を減らして自炊する習慣を身に着けたりすれば、節約と貯蓄を実現できる可能性が高まります。
貯蓄だけでなく、資産運用に関心を向けることも選択肢のひとつです。老後のための効率的な資産運用として、「NISA」や「iDeCo」を活用することも可能です。投資にはリスクもつきものですが、30代からでも自分に合った資産運用に取り組むことは老後の資産を増やす有効な手段となるでしょう。
30歳代単身世帯の金融資産保有額(中央値)は300万円であり、今回のケースである貯金250万円は同年代と比べて50万円低いことが分かりました。
極端に低いわけではありませんが、独身時代が一般的に貯蓄をしやすいタイミングであることを踏まえると、今から貯蓄や資産運用に取り組むことは大切といえます。
30代から老後資金を意識して動いている人は、少なくありません。老後の寿命や生活スタイルにもよりますが、数千万円必要なケースも考えられるため、できることから取り組んでみるようおすすめします。
金融広報中央委員会 知るぽると 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](平成19年以降) 各種分類別データ(令和5年) 統計表の番号2 金融資産の有無、金融資産非保有世帯の預貯金口座または証券会社等の口座の有無および現在の預貯金残高、統計表の番号3 金融資産保有額(金融資産保有世帯)
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 図2 65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支-2024年- (18ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
【関連記事】
お金を貸してはいけない人の7つの共通点