電車は多くの人にとって日常の一部だが、そこで思わぬトラブルに見舞われることがある。今回は、電車内で衝撃的な出来事を経験した2人の女性のエピソードを紹介する。
「痛ってー」突き飛ばされた先に見えたのは…
終電での席取り合戦は、時に思わぬ展開を生む。
社会人になりたての村岡雅美さん(仮名)は、電車の遅延で20分ほど駅のホームで待たされていた。ようやく電車が到着し、ドアが開くや否や、車内になだれこむ。村岡さんは他の乗客と同様に一目散に空席を目指した。
「真ん中に席が空いていたので、あまりのうれしさに私は駆け寄りました。そして、座ろうとした瞬間、まるで漫画のように、私は突き飛ばされました」
突然の出来事に驚いた村岡さんが、「痛ってー」と言いながら床に手をついて起き上がろうとすると、目の前には意外な人物がいた。
「頭がバーコード状のおじさんが堂々とした様子で座っていたのです」
このおじさん、村岡さんを見るなり「チッ!」と舌打ちする始末。仕方なく別の車両に移動した。
「そんなしかめっ面だから嫁にいけねーんだよ!」
しばらくして再び空席を見つけ、今度はスムーズに座ることができたが、ホッとしたのも束の間、不可解な光景を目にした。
「顔をあげると、先ほどのおじさんがうんていのように吊革2個に両手で捕まり、私の前に立ちはだかっていました」
なぜかそのおじさんも村岡さんの後をついてきたのだという。
「おじさんは酔っ払っている様子でした。しばらく睨んでいると『なんだよ、席がやっと見つかったのか! ブース!』と言われました。ワケがわからず、呆気にとられていると『そんなしかめっ面だから、嫁にいけねーんだよ!』と、馬鹿にするような感じで笑いながら、別の車両に去っていきました」
悔しさのあまり、村岡さんはこの事件をSNSに投稿すると、「ヤバいやつだ!」「そんなやつはこの世からいなくなれ!」など、友人・知人から励ましのコメントが寄せられたという。
「思わずクスっと笑ってしまいましたが、今でも空いている席に座る時には、周りを見渡してから変な人がいないか確認し、座るようになりました」
網棚から落下したジュラルミンケースが直撃
電車内でのハプニングは、予期せぬ形で起こる。
徳永由紀さん(仮名)は学生時代、毎日埼玉から渋谷まで電車通学をしていた。ある日、バスケサークルの飲み会帰りに乗った遅めの電車で、ウトウトと睡魔に襲われていた。
「お酒も飲んだので、ほろ酔い気分でいつの間にか居眠りしてしまったんです」
そして約15分後、突然の衝撃で目を覚ました。
「“ゴン!”という鈍い音がして、頭と首の間に痛みが走りました。驚いて何度も上と下をキョロキョロしてしまいました。床に目をやると、まるでルパン三世の世界から飛び出してきたかのようなジュラルミンケースが転がっていたんです」
最初は何が起きたのか分からなかったが、しばらくして状況を理解した徳永さん。網棚に置かれていたジュラルミンケースが何らかの理由で落下し、自分に直撃したのだ。
「本当は『誰だよ!』と怒鳴ってやりたいところですが、学生の頃の私にはそんな度胸はありませんでした」
犯人は誰なのか……。どうやら持ち主は目の前のスーツ姿のおじさんのようで、ばつが悪そうにジュラルミンケースを拾い上げた。
「私が睨んでいると、こちらに向かって聞こえるように『チッ!』と舌打ちしました。『いやいや舌打ちしたいのはコッチだよ!』と思った瞬間に、電車が次の駅に到着しました」
おじさんが駅のホームにヘッドスライディング
おじさんはケースを抱え、電車を降りようとした。しかし、ここで思わぬ展開が待っていた。
「酔っぱらっていたのか、動揺していたのか、おじさんは出入り口の隙間に引っ掛かり、駅のホームに向かってヘッドスライディングでもするようにコケました」
その様子を見た周りの席の人たちは笑い、徳永さんにも「大丈夫、大変だったね」と声をかけてくれたという。
「ムカつきましたが、なんだか少し気持ちがスッとしました。それからは、椅子に座る時は網棚の上を確認して座るようになりました」
<取材・文/藤山ムツキ>
【藤山ムツキ】
ライター・編集者。企画、取材、撮影、執筆、構成、原稿整理、コンサル、現場サポート、コンビニへの買い出しまで、メディアまわりの“何でも屋”です。著書に『海外アングラ旅行』『
実録!いかがわしい経験をしまくってみました
』(共に彩図社)など。執筆協力に『旅の賢人たちがつくった海外旅行最強ナビ』シリーズ(辰巳出版)ほか多数。Twitter:@gold_gogogo
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