第79回ベネチア国際映画祭の「ヴェニス・デイズ」部門で“未来の映画賞”を受賞したカナダの新星、グラハム・フォイ監督の初長編監督作品「メイデン」の本編映像と、プロのスケートボーダーで本作で映画デビューを飾った主演のジャクソン・スルイターの特別スチルが披露された。
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【フォトギャラリー】「メイデン」場面写真とアーティストBrendan George Koによるキャストの撮り下ろし写真
本作は、喪失感と孤独に苛まれる少年少女3人のひと夏の出来事を16ミリフィルムの質感を生かした瑞々しい映像で紡ぎ上げる。公開された本編映像は、親友同士のカイル(ジャクソン・スルイター)とコルトン(マルセル・T・ヒメネス)が、スケートボードで町を疾走するシーンから始まる。プロスケートボーダーのスルイターならではの溢れんばかりのエネルギーに満ちた映像だ。続いて度胸試しと言わんばかりに舗装されていない坂道をスケートボードで勢いよく下ってゆくカイルと、それを後ろから見つめるコルトンの姿が映し出されるが、どこか今後の行く末を重ねて見てしまうシーンだ。ここまでは一見、青春映画のように見えるのだが、この後、2人は悲劇に見舞われることになる。
メガホンをとったのは、1987年生まれのグラハム・フォイ。自身が育ったカナダ西部のアルバータ州カルガリーで撮影を行った本作が初長編監督作となり、第79回ベネチア国際映画祭のヴェニス・デイズ部門で“未来の映画賞”を受賞。第75回カンヌ国際映画祭の批評家週間「Next Step」のプログラムにも招待されており期待の新鋭監督だ。
映画は2つのパートで構成され、前半では気が置けない親友同士であるカイルとコルトンのひと夏の日常が、詩的な美しさに満ちた映像で点描される。そして中盤のある重大な悲劇がターニングポイントとなり、後半はもう1人の主人公ホイットニーの視点に切り替わり、静寂に包まれた森や草原を舞台にした幻想的なストーリーが繰り広げられ、変奏的な“ボーイ・ミーツ・ガール”物語が展開される。多感な時期を生きる十代の若者たちを主人公にした本作は、友情と孤独、喪失の悲しみといった普遍的なテーマを扱っているが、それらを探求する作風・手法は、ハリウッドの思春期ものの定型とは明らかに異なる。
主役のジャクソン・スルイター、マルセル・T・ヒメネス、ヘイリー・ネスの3人は、いずれもオーディションで見出され、これが映画デビュー作となるが、その演技と存在感は特筆もの。なかでもアメリカの有名スニーカーブランド「vans」やカルガリーで1998年に創業した老舗スケートボードショップ「Ninetimes Skateshop」がスポンサーにつくスルイターは、若き日のリバー・フェニックスを彷彿とさせ、「The‘Stand By Me’of our time”」(「我らの時代の『スタンド・バイ・ミー』だ」/マンハイム=ハイデルベルク国際映画祭)と評されるなど、国際映画祭でも多くの観客が目を奪われた。
なお、今回披露された撮り下ろし写真は、ニューヨーク・タイムズなどで写真を撮影するアーティストBrendan George Koによるもの。新人俳優たちの瑞々しい姿が写し出されたレアショットだ。
「メイデン」は4月19日よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開。
【作品情報】
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メイデン
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