入院費が高額になりそうで不安です。「高額療養費制度」は、どのくらい医療費がかかった場合に適用されるのでしょうか?

入院費が高額になりそうで不安です。「高額療養費制度」は、どのくらい医療費がかかった場合に適用されるのでしょうか?

4月13日(日) 20:50

突然の入院や長期の治療が必要になったとき、まず心配になるのが医療費です。「保険がきくとはいえ、入院が長引いたら一体いくらかかるのだろう」「高額すぎて払えなかったらどうしよう」と、不安になる方も多いのではないでしょうか。 そのようなときに知っておきたいのが、「高額療養費制度」です。この制度を使えば、1ヶ月の医療費が一定額を超えたときに、その超過分が後から戻ってくる仕組みになっています。しかし、「どのくらいの金額から使えるのか?」「誰でも使えるのか?」といった疑問も多いものです。 そこで本記事では、高額療養費制度の基本的な内容から、どの程度医療費がかかったときに対象になるのかまで解説します。

高額療養費制度とは? 基本の仕組みを解説

高額療養費制度とは、健康保険に加入している人が、医療機関や薬局で支払った自己負担額(通常3割負担)が、1ヶ月あたりの自己負担限度額を超えた場合に、その超えた分を公的医療保険から支給される制度です。
 
この制度の対象になるのは「保険診療による医療費」のみで、例えば入院中の食事代や差額ベッド代、美容目的の治療などの保険外費用は対象外です。対象となる「1ヶ月」は、毎月1日から月末までの暦月で計算され、例えば3月15日から4月5日まで入院した場合は、それぞれの月で別々に計算されます。
 

どのくらい医療費がかかれば適用されるの?

実際に「どれくらい医療費がかかったら適用されるのか」は、年齢や世帯収入によって異なります。ここでは、70歳未満の方を例に見てみましょう。
 
図表1:年収ごとの自己負担限度額(70歳未満の場合)

区分:年収の目安 自己負担限度額(月額)
区分ア:年収約1160万円以上 25万2600円+(医療費-84万2000円)×1%
区分イ:約770万~1160万円 16万7400円+(医療費-55万8000円)×1%
区分ウ:約370万~770万円 8万100円+(医療費-26万7000円)×1%
区分エ:~約370万円 5万7600円
区分オ:住民税非課税世帯 3万5400円

全国健康保険協会 協会けんぽ「高額療養費について 高額療養費・70歳以上の外来療養にかかる年間の高額療養費・高額介護合算療養費」より筆者作成
 
例えば、年収500万円の方が入院などで医療費が100万円かかった場合、自己負担限度額は約8万7430円になります。それ以上の金額を支払っていた場合、後から差額が払い戻されることになります。
 

制度を活用するための手続きと注意点

高額療養費制度は事後に申請して払い戻しを受けることも可能ですが、事前に「限度額適用認定証」を取得しておけば、最初から病院での支払いが自己負担限度額までに抑えられます。
 
認定証の申請は、加入している健康保険の窓口(協会けんぽ、健康保険組合、市区町村など)で行います。提出には、保険証と申請書が必要です。郵送手続きのみを受け付けている場合もあり、数日〜1週間ほどで発行されるのが一般的です。
 
また、同じ月に複数の医療機関で2万1000円以上の自己負担がある場合や、同じ世帯で複数人が医療を受けている場合は、合算して適用できる「世帯合算」の特例もあります。さらに、12ヶ月以内に3回以上高額療養費の支給を受けていると、4回目からは「多数回該当」として自己負担限度額が引き下げられるメリットもあります。
 
ただし、どれも申請が必要な制度ですので、病院任せにせず、自分で調べて準備しておくことが大切です。
 

制度を知っているだけで医療費の不安が減る

入院や手術といった高額な医療費がかかる場面では、不安に感じるのが当然です。でも、高額療養費制度をきちんと理解して活用すれば、自己負担額はかなり抑えることができます。
 
大切なのは、「制度の存在を知っておくこと」と「必要なときにすぐ申請できるよう備えておくこと」です。医療費の負担が重くなりそうな場合には、早めに加入している健康保険の窓口に相談してみましょう。
 
限度額適用認定証を事前に用意しておけば、いざというときにも安心して治療に専念できます。高額な医療費に不安を感じたときこそ、制度の力をうまく使って、安心して治療に臨みましょう。
 

出典

全国健康保険協会 協会けんぽ 高額療養費について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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