週刊ヤングジャンプで連載中の人気マンガ『九龍ジェネリックロマンス』が、待望のアニメ化。懐かしさで溢れる街「九龍城砦」を舞台に、不動産屋に勤める主人公・鯨井令子の恋心を描きながら、自分の過去に対するミステリーに翻弄されて行く。鯨井令子を演じる白石晴香、鯨井が恋心を抱く工藤発役の杉田智和に、ロマンスとミステリーが交錯する『九龍ジェネリックロマンス』の魅力と、どのように演じたのか話を聞いた。
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■ミステリーとラブロマンスが組み合わさってどんどん混乱する(白石)
――『九龍ジェネリックロマンス』の印象を教えてください。
白石:私は以前から読んでいた作品だったので、オーディションのお話をいただいたときはとても驚き、「絶対決まりたいから、頑張らなきゃ!」となりました(笑)。原作の印象としては、ミステリーとラブロマンスが組み合わさり、先の展開が気になるけれど、それぞれの伏線を辿って行くごとに、どんどん混乱して分からなくなって行く感じが楽しくて、「これはすごい作品だ!」と思いました。作品のパワーはもちろん、眉月じゅん先生が描かれる絵のタッチもすごく好きで、私が演じている鯨井令子の表情も一つひとつが美しくて。ストーリー、作画、キャラクター、全てが魅力的な、とても素晴らしい作品に携わらせていただくのだと感慨深かったです。ミステリー作品には声優として携わったことがなく、「こんなにも楽しいんだ!」と新たな刺激をいただきました。
杉田:僕は2020年に、原作者の眉月じゅん先生と対談をさせていただいたこともあり、思い入れのある作品なのですが、演じる際はその気持ちを表に出さないようにしています。
――Wメディア化ということで、吉岡里帆さんと水上恒司さんのW主演で実写映画も制作されることについてはいかがですか?
白石:PVというかたちで、実写のキャストの皆さんと共演させていただいたことには驚きました。資料をいただいていたので想像はできていましたけど、実際に公開されて映像を見たときは鳥肌が立ちました。「うわっ、すごい!」って。どちらの『九龍ジェネリックロマンス』もすごく良いだろうなって、PVを見て確信しました。
杉田:実写の話は収録の際に伺っていましたが、アニメと実写のキャストを同時に発表して、公式サイトやPVで並べるというやり方は、非常に珍しいのではないかと思いました。どうしたって比較してしまうから、なかなかやらないですよね。だから工藤発役として気をつけていることは、比較すること。「令子と鯨井Bのどっちが好き?」という質問が来ても、絶対に答えません(笑)
白石:でも相乗効果でより盛り上がって行くんじゃないか、という楽しみはありますね。実写チームと力を合わせて、一緒に盛り上げて行きたいです。
■工藤発に、支配欲、名誉欲、自己顕示欲、全く必要無い。(杉田)
――『九龍ジェネリックロマンス』という作品の独特のムードは、九龍という街の独特な風景にあると思います。街の風景に対する印象を教えてください。
杉田:街並みについては、創作ではあるけれど、そこを居場所に逞しく生きている人がいる以上、外野がとやかく言うことではないです。個人的にはマンガやゲーム等で見た風景を思い出したので、経験と結びつく何かがきっとあるんだろうなと期待が膨らむけど、リアルに足を運びたいかと言ったらそうではありません。
白石:九龍の街の雰囲気は仄暗く、この先に行っていいのかドキドキするので、できることなら体験してみたいなと思いました。見た目的にもとてもインパクトがあって、建物と建物の間がすごく狭く密集している感じで、だからこそ、そこに居る人たちの心の距離も、すごく近い感じがしました。だからアドリブひとつ取っても、商店街だったら「この人たちは、いつもこんな話をしているな〜」みたいなテンション感を意識して演じたところがあります。そう意識しやすかったですし、街のおじちゃんたちが麻雀を打っている日常風景もあって、あのようにギュッとなって日常を共にしている街だからからこその空気なのだろうなと思いました。
――それぞれの役柄についてお伺いします。白石さんが演じる令子は、急に誰かにキスをされても、意外と平然としていたりしますが。
杉田:週刊誌でよくある質問だ(笑)!
白石:(笑)。でも、おっしゃる通り、キスをされても「!」という感じですけど、それは驚きが強すぎて上手くリアクションが取れなかったのだと思います。令子という人物については、第1話から最終話まで見ていただいたときにビックリするくらい、物語を通して一番変わって行くので、説明するのがとても難しいのです。敢えて言うのであれば、「視聴者さんに一番近い立ち位置にいる」ということ。原作を読んで思ったのですが、令子を軸に見て行くことでいろんな発見があったり、ミステリーに入り込みやすかったりするんです。視聴者と同じように、驚いたり発見したりして行くという部分で、視聴者さんに一番近い役かなと。
――令子は、モノローグは非常に大人っぽく感じますが、かと思えば子どもっぽい行動をとったりしますね。
白石:はい。そういう意味では、とてもミステリアスですね。いろんな変化があるなかで、彼女のモノローグ、心の内としては、いろんな葛藤や動揺があるので、そこの部分は繊細に表現したいと思いました。落ち着いたトーンでしゃべっているので、大人っぽく聞こえたのかもしれません。ただ一つひとつの物事に対するリアクションは表情豊かで、演じてみた結果「面白い人になったな」という印象です。
――杉田さんが演じる工藤発は、遅刻魔でちょっと不真面目なのかと思いきや、街の人のことを気遣うシーンもあって。飄々とした面と真面目な面の両面があるキャラクターだと思いました。杉田さんは、どういう人物だと思いましたか?
杉田:本音を隠すのが上手な人なので、演じる際は彼に寄らないといけないんですけど、一番いい位置はどこだろう?と思いながら、いつも試行錯誤していました。あまり近寄りすぎると本当のことを言わないし、離れているとどこかに行ってしまう。こんなにもキャラクターとの距離の取り方を迷ったことは、今まではありませんでした。だって目の前の人と話していても、違うことを考えていたりするんですよ。
――お互いの演技についてや、収録に際したエピソードを教えてください。
杉田:収録現場で出して来る白石さんの令子の芝居然り、何が来ても受け止められるように、そういう雰囲気を全体で作っておくことを心がけていました。
白石:杉田さんは収録前に、工藤発として連絡をくださったんです。工藤さんとして、「鯨井、明日からよろしくな」って。もう私のことを白石晴香ではなく鯨井令子として見ていて、そのおかげで私も「あ、工藤さんから連絡が来た!」と、自然と鯨井令子の気持ちになっていました。だからアフレコに行ったときも、そこに居たのは杉田さんではなく工藤さんだったから、スッと令子になれました。アフレコに入る前から、杉田さんがそういう空気作りをしてくださったので、マイク前でやりとりをさせていただいたときも、屋上でタバコを吸いながら話すとか距離が近いシーンも、その場で会話をすることだけに意識を向けたら、それだけで令子と工藤の二人になれたし。それはちょっと不思議な経験でした。
――今の杉田さんはどっちですか?
白石:やっぱり『九龍ジェネリックロマンス』の現場にいらっしゃる杉田さんからは、どこか工藤さんを感じます。こういったインタビューで答えられている内容も、工藤さんへのリスペクトを感じますし、工藤さんとして答えるならこうだろうという意識を、常にお持ちなのだなと感じます。
杉田:欲を捨て去っていますから(笑)。工藤のいいところって、誰に対しても下心が無いところなんです。だからこそ、自分が執着するものが分かったとき、恐ろしいことになる、というシーンがあるかもしれませんが、今はそのことは考えないでください。工藤のことは、ちょっと話を聞いてくれる先輩くらいに思っておいてください(笑)。
――杉田さんから見て、白石さんが演じる令子の印象や魅力を教えてください。
杉田:どんどん鯨井令子になって行くんですけど、鯨井Bと天秤にかけることは一番しちゃいけない行為なので。支配欲、名誉欲、自己顕示欲は全く必要無い、と僕は考えています。そのどれかが演技からにじみ出た瞬間、工藤発ではなくなる。自然とそうさせてくれるように、バランスを取ってくれているなと、白石さんが演じる令子の芝居から伝わって来ました。
■「どういうことなの?」が、永遠に続いて行く。(白石)
――収録現場では、合間でどんなお話をされたのですか?
杉田:何か話したとは思いますけど、意識して何かを話そうとはしなかったかな。
白石:私たち以外は、考察しながらアフレコをしていたんですよ。そこに杉田さんは一切入らず、私も「最初は入りたいな」と思いましたけど、とあるシーンで本当は令子がまだ知らないはずのことに対して、自分のお芝居が先を知っているようなリアクションを、どうしてもしてしまいそうになって。でも令子は、一番それを知らないで振り回されるべき人物だから、途中から原作を読み返すこともやめました。いつもならそのシーンを読み込んだ上でアフレコに向かうのですが、敢えて読むことはせず、もちろん全体は把握しているものの、シーン展開が頭に浮かんで来ないように、一旦頭をフラットな状態にして、考察も一旦ストップして、目の前のシーンに集中するように心がけたので、皆さんと考察話をすることを我慢しました。
私から見た杉田さんが演じる工藤発は、すごく背中がかっこいい工藤さんで、背中で語ってくれるみたいな感じがあって、哀愁があるし、ときとして怖く感じる瞬間もある。でもやっぱりついて行きたくなる、頼りたくなる背中で。それは画面の中にいる工藤さんでもあり、そこにいる杉田さんの背中の工藤さんでもありという、そんな感じがありました。杉田さんが演じられる工藤発は、ユニークさもあるけれど一歩近づき切れない寂しさみたいなものを感じさせて、「知りたいのにな〜」というもどかしい気持ちにさせてくれる、絶妙なお芝居をしてくださりました。すごかったです!
杉田:自分が辛くなったときは、今の白石さんのコメントを読み返します。スクショして部屋に貼っておきます。こんなに自己肯定感が上がる感想をいただいたのは初めてです(笑)!
――劇中では「過去」がキーになって、過去の鯨井令子を鯨井Bと呼んだりしますが、現在と過去を演じる上で意識したことは?
杉田:工藤は受け止める側なので、何がどう来てもいいようにフラットな気持ちでした。鯨井Bに対しても令子に対しても、どちらかに偏らない。
白石:令子自身は自分探しの旅になって行くので、その中で鯨井Bは大きな存在であることは間違いありません。鯨井Bの人物としての映り方の違い、鯨井Bの声、きっと皆さんも気になるところだと思います。その「どういうことなの?」は、永遠に続いて行きますので(笑)!
――では最後に、作中のセリフになぞらえて、個人的に懐かしくて胸の内に取っておきたい大切なものを教えてください。
白石:私は5歳からダンスを習っていて、当時から履いているダンスシューズを今も大事に取ってあるんです。表現に迷ったときは、自分が一番初めに踊ることや表現することが楽しいと思ったときに身に付けていたものを見ることによって、原点回帰みたいな感じで、「難しく考えすぎず、純粋に楽しむことをもう一回始めてみよう」と思うので。そのダンスシューズは、私にとってとても大切なアイテムです。
杉田:大切でもなんでもないけど、立川のゲーセンで「鉄拳」をやって、ブライアンをボコボコにしたら、相手から灰皿が飛んで来たことです(笑)。
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