4月11日(金) 14:30
神社の収入の中でお賽銭が占める割合についての確たる統計はありませんが、インターネット上では、初詣に数百万人規模の参拝者が訪れる人気のある神社なら、年間で数億円のお賽銭による収入がある可能性があるともいわれています。これだけの多くの収入があれば、少額硬貨の枚数が膨大になることは想像に難くありません。
このような少額硬貨の取り扱いの負担を減らすために、都内のある有名な寺院では「賽銭の硬貨はなるべく百円以上にしてください」という貼り紙をした事例が報告されています。その後、この貼り紙は剥がされましたが、異例のお願いとして一時話題になりました。このようなことの背景にあるのは、硬貨の手数料負担です。
硬貨の入金は、以前は枚数が多くても手数料が無料だった金融機関もありましたが、最近では、大量の硬貨入金には手数料がかかるのが一般的です。
例えばある銀行においては、窓口で硬貨を取り扱う手数料について、1~100枚までは無料、101~500枚は550円、501~1000枚は1320円、1001枚以上は1980円(以降500枚毎660円を加算)となっています。
上述したようなお賽銭にまつわる大量の少額硬貨の取り扱いに関する問題などを解決するために、お賽銭をキャッシュレス化する動きもあります。
PayPay株式会社によれば、実際、2024年12月末時点で、全国7ヶ所の神社・寺院でPayPayによるQRコードを利用したキャッシュレス決済サービスがお賽銭の支払いに導入されています。お賽銭箱の近くに設置されているPayPayのQRコードをスマホで読み取り、納める金額を入力し、「お気持ちを送る」ボタンを押すことで送金が行われる仕組みです。
お賽銭という習慣がいつどのように始まったのかには諸説があり、正確なことは分かっていませんが、有力とされているのは、「神様への感謝」という考え方です。
かつて農耕民族だった日本人は、その年の収穫は神様からの贈り物と考え、その年にとれた収穫物を神社や寺院の境内にお供えすることで感謝の意を神様に伝えていました。これが鎌倉時代以降、金銭に形を変え、現在に至ったといわれています。
大量の少額硬貨の取り扱いは、神社や寺院にとって、金融機関での入金手数料が負担となる可能性があります。また近年では、お賽銭をキャッシュレス化する動きもあります。
キャッシュレスでお賽銭を納めることに抵抗を感じる人もいるかもしれませんが、希望を込めてお賽銭をするという意味では、現金でもキャッシュレスでも変わらないのではないでしょうか。
PayPay株式会社 お賽銭などで「PayPay」の利用が可能に~初詣や受験時期で増加する参拝者の混雑緩和にも寄与~
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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