タイガー・ウッズが劇的な復活Vを挙げた2019年。松山英樹は静かにコースを去った(撮影:GettyImages)
4月9日(水) 6:58
海外メジャーの「マスターズ」が10日(木)にいよいよ開幕する。今年で14回目の出場となる松山英樹。日本のエースはゴルフの祭典でどのような成績を残してきたのか。その戦歴を振り返る。今回は優勝争いを繰り広げた2016年から、タイガー・ウッズが劇的復活Vを遂げた19年大会まで。
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■2016年:逆転Vならずも、2年連続トップ10入り
5度目の出場となった2016年は、グリーンジャケットに大きく近づいた大会だった。最終日は首位と2打差の3位タイから逆転を狙ったが、前半にショットが乱れ3つスコアを落とす。後半は10番と13番でスコアを戻したが、4バーディ・3ボギー・1ダブルボギーの「73」。トータル1オーバーの7位タイで終えた
最終組のひとつ前からの逆転とはならず。「緊張はあまり感じなかった。ただ、抱えていたショットとパットの不安が出てしまった」と悔しさを口にした。後半は流れを作るも、「その後の4ホールで1つしか獲れなかったのが痛かった」と振り返った。
それでも2年連続のトップ10入りには手応えも。「(メジャーは)近いようで遠いけれど、課題を克服できればチャンスはあると思う」と語っていた。
■2017年:翌年の出場権確保も…悔いが残る試合に
4年連続、通算6度目の出場となった2017年大会は、トータル1アンダー・11位タイ。翌年の出場権が与えられる12位以内に入り、2018年大会の切符を手にした。
しかし、松山にとっては満足のいく内容ではなかった。初日は4オーバー・54位タイと出遅れ。2日目は2アンダー、3日目は2オーバーと波に乗れず、最終日は首位と10打差の28位タイからスタート。そこから7バーディ・2ボギーの「67」をマークし、この日のベストスコアで巻き返した。
納得できるゴルフではなかったが、「3日目の後半と最終日でいいショットが打てたのは自信になる」と前向きに振り返る。前年の秋には米ツアーで勝利も重ねており、「そのときのパッティングができれば勝てる」と手応えものぞかせた。
応援してくれるファンに対しては、「応えられなくて、すみませんって感じです」と語りつつ、すでに次回大会への思いを口にしていた。
■2018年:ケガ、調整不足…不安を抱えた中での4日間
大会前に「期待はゼロ」と話していた松山。左手の痛みを抱えながら出場し、トータル3アンダー・19位で終えた。
初日は1オーバー・29位タイ。2日目は「71」で予選通過を果たしたが、3日目は「72」とスコアを伸ばせず、トータルイーブンで最終日を迎えた。4日目に「69」と60台を出して順位を上げた。
「調子が悪いながらも4日間できた。想像はしていなかったけど、かたや、できるんじゃないかという自分もいました」と話す一方で、「最終組が9番にいるようなところで、こうやってインタビューを受けるような状況では、到底納得はできません」と悔しさをにじませた。
結果を受け入れる気持ちと、受け入れたくない葛藤。その両方が入り混じった大会だった。
■2019年:タイガー復活Vの陰で…自身は「残念なプレー」
同年1月から予選落ちはなく、トップ10が3回と状態は悪くなかった。しかし、その安定感はマスターズの練習日から崩れ始め、プレーにも影響が出た。
25位タイからスタートした最終日は、名物のアーメンコーナーを抜けた13番パー5でウォーターショットを披露するなど見せ場も作ったが、スコアは「72」。トータル3アンダー・32位タイで大会を終えた。
「残念ですね。なかなか思うようなプレーができなかった」とホールアウト後に悔しさを語った。
一方でこの大会では、タイガー・ウッズが11年ぶりとなるメジャー優勝を果たした。松山が静かにコースを後にする中、レジェンドの復活を祝う“タイガーコール”がオーガスタに響いた。
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次回の後編では、アジア勢史上初の優勝を果たした2021年大会など、直近5大会を振り返る。