4月9日(水) 3:00
<東建ホームメイトカップ事前情報◇8日◇東建多度カントリークラブ・名古屋 (三重県)◇7069ヤード・パー71>
男子ツアー史上初となる“女性選手”として注目を集める寺西飛香留(てらにし・ひかる)が、いよいよレギュラーツアーに初出場。圧巻の飛距離を誇る寺西だが、実はクラブに対するこだわりも相当なもの。選び抜かれた14本のギアを、細部に至るまでじっくりチェックしてみよう。
身長157センチと小柄ながら、平均260〜270ヤードを叩き出す豪快なスイングが持ち味。そんな飛ばし屋の使用するドライバーは、ピンの『G430 LST』だ。これまでは「飛ぶし、打感もいい」とお気に入りのテーラーメイド『SIM2 MAX』がエースだったが、クラブの破損をきっかけに新たなエース探しが始まり、このモデルにたどり着いた。「距離も出てますし、顔が奇麗。顔重視です」と語る。ちなみに好みの“顔”は、「大きめのヘッドで、構えたときにまっすぐに見えるもの」とのこと。
特筆すべきは、使用しているシャフトの重量だ。女子選手ではあまり見かけない70グラム台の重量スペックで、「重いのが好き」とグラファイトデザインの『ツアーAD VF-7 S』を選択。チップカットは施していない。
ドライバーの次は、テーラーメイド『SIM2 MAX』の5番ウッド。「理想のスプーンにまだ出会えていない」と3番ウッドは現在も模索中だが、「これでも十分に飛ぶので」と、3番並みの飛距離は担保されている。
続いてはキャロウェイの『APEX UW』(2代目)。選んだ理由は「ウッド用のシャフトが使えるから」。ユーティリティとフェアウェイウッドの中間的な立ち位置が好みに合い、しかも“ウッド径”のシャフトしか挿せないという仕様も寺西にとってはミソ。ドライバーからシャフトの流れを変えたくないというこだわりから、このヘッドに行きついた。
アイアンはコブラの『KING TOUR』。「以前、コブラと契約していた頃からこのモデルがすごく気に入っていて、いまだにこれを超えるものがない」と、絶大な信頼を寄せている。そしてウェッジは、タイトリストのボーケイ『SM10』をセレクト。「グラインドも選べるし、タイトリストが一番自分に合っている」と語る。特にソールデザインの豊富さが魅力で、グラインドの選び方については「ボーケイさんが書いた冊子を読んでいます」と語る姿は、どこかアマチュアゴルファーのようで親しみやすい。とはいえ、実際のマッチング精度は高く、「かなり合っています」と語るように、ウェッジ選びでの失敗は少ない。ギア選びの“嗅覚”は、やはりプロそのものだ。
そして最後にパター。寺西は大のキャメロン好きで、「キャメロンはいっぱい持っています。そうですね…」と指おり数えるほど。昨シーズンの「パナソニックオープン」のマンデートーナメントでは、もはや年代物となりつつある、2005年の『スタジオスタイル』をバッグに入れていた。「インサートにGSSが入っていたやつ!」とうれしそうに語る姿からも、そのキャメロン愛が伝わってくる。
今大会では、『スペシャルセレクト ファストバック 1.5』を投入。「これまではピン型を使っていましたが、この半円形の形状も試してみたくて」と、気分転換も兼ねた選択だ。さらに、タイガー・ウッズ(米国)に憧れていることもあり、キャメロンにピンのピストルグリップを装着。「意識、めっちゃしています」とタイガーに寄せており、もちろん“ブラックアウト仕様”も欠かさない。
日本人女性選手が男子レギュラーツアーに出場するのは、2005年12月の「アジア・ジャパン沖縄オープン」に出場した宮里藍以来、実に2人目。“ギア好き女子”が、いよいよ歴史的な一歩を踏み出す。(文・齊藤啓介)
【寺西飛香留のクラブセッティング】
1W:ピン『G430 LST』(9度/ツアーAD VF-7 S)
3W:テーラーメイド『SIM2 MAX』(18度/ツアーAD VF-7 S)
UW:キャロウェイ『APEX UW』(21度/ツアーAD VF-7 S)
4I:コブラ『KING TOUR』(ダイナミックゴールド MID 115 S200)
5I~PW:コブラ『KING TOUR』(ダイナミックゴールド MID TOUR ISSUE S200)
50.54.58度:タイトリスト ボーケイ『SM10』(ダイナミックゴールド TOUR ISSUE S200)
パター:スコッティキャメロン『スペシャルセレクト ファストバック 1.5』
ボール:タイトリスト『プロV1X』