実家の「相続」について家族で話し合っています。固定資産税の納付書が来る前に「相続放棄」すれば、税金を払わずに済むでしょうか?

実家の「相続」について家族で話し合っています。固定資産税の納付書が来る前に「相続放棄」すれば、税金を払わずに済むでしょうか?

4月8日(火) 14:00

今は誰も住んでいない実家の土地・家屋の相続は、悩ましいものです。所有しているだけで、固定資産税を毎年支払う必要があるだけではなく、倒壊しないようにそれなりのメンテナンスも必要になってきます。将来相続が発生する際には、相続放棄してそれらの責任から解放されたいと思うかもしれません。 本記事では相続放棄について解説します。

相続放棄とは

まず相続財産といっても、プラスの財産だけではありません。マイナスの財産もあります。
 
相続放棄とは、相続が発生した時に相続財産となる資産や負債といった一切の権利と義務を放棄することで、家庭裁判所に申述する必要があります。相続放棄は限定相続とは違い、他の相続人に伝えることなく単独で手続きできます。
 
ただし、一度相続放棄すると一切の財産を相続できなくなりますし、相続権が次順位の相続人に移りトラブルになる可能性もありますので注意が必要です。また、相続放棄の手続きは、相続の開始を知った時から3ヶ月以内に行うのが原則です。
 

固定資産税の考え方

固定資産税とは、毎年1月1日(賦課期日)現在の土地・家屋の所有者に対し、その固定資産の価格をもとに算定される税額をその固定資産の所在している市町村が課税する税金です。
 
固定資産税の納税義務者は、原則として毎年1月1日(賦課期日)現在、土地・家屋を所有している人です。年度の途中で所有権移転があっても、1月1日時点における所有者は1年分の納税義務が発生します。
 
所有者として登記されている人が賦課期日前に死亡した場合には、1月1日時点で土地・家屋を相続した相続人が納税義務者となります。
 

固定資産税の納付書が来る前に「相続放棄」すれば、税金を払わずに済むか

相続放棄をした場合には、土地や家屋の所有者にはならないため、本来固定資産税の納税義務はありません。ただし、相続放棄したにもかかわらず、固定資産税を負担しなければならない場合があります。
 
前述のように、固定資産税は毎年1月1日時点における不動産の所有者が支払いますが、登記簿上の所有者が亡くなっている場合には、市区町村による独自調査により所有者が推定されます。法定相続人は市区町村に相続人と推定され、市区町村が管理する固定資産課税台帳に所有者として登録されることがあります。
 
1月1日時点でこの固定資産税課税台帳に登録されている場合、固定資産税を納税する義務が発生します。
 
整理すると、

■相続開始後、年内に相続放棄が完了した場合は、固定資産税の支払い義務はありません。
■相続開始後、年をまたいで相続放棄が完了した場合は、固定資産税の支払い義務があります(1月1日時点では相続放棄が完了しておらず、固定資産税課税台帳に登録されているため)。

 

留意点

■固定資産税を相続財産から支払わないこと

相続放棄をする場合、固定資産税を被相続人の相続財産から支払ってはいけません。相続人が相続財産を少しでも使ってしてしまうと、単純承認をしたとみなされて、相続放棄をできなくなってしまいます。
 

■暦年をまたぐ相続放棄には注意しましょう

前述のとおり、相続放棄をするタイミングによっては、相続放棄をしたにもかかわらず固定資産税を支払う義務を負う可能性があります。
 

■被相続人が相続の開始を知った時から3ヶ月以内に相続放棄をしましょう

固定資産税の請求を機に土地の存在を知り、相続放棄を考える場合は相続放棄の申請期限を越えないように気を付けましょう。
 
相続放棄を考える前に、ほかに方法はないか検討することをおすすめします。各自治体の空き家バンクを利用するのも一案です。まずは、専門家に相談してみましょう。
 
執筆者:北山茂治
高度年金・将来設計コンサルタント

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