4月7日(月) 14:00
墓地や埋葬に関する法律(※1)は、厚生労働省の主管ですが、埋葬や焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域で行ってはならないことになっています。
埋葬・火葬等の手続きは、市町村長の許可を得なければなりません。また、墓地等の管理者は、毎月埋葬等の状況を市町村長に報告しなければなりません。
このような、法律のもとで管理運用されている「お墓」には種類があり、「墓地」と「霊園」に分かれます。それぞれの特徴を見てみましょう。
一般的に「お墓」とひとくくりに称されますが、「お墓」は墓地と霊園に区別されます。
墓地は、寺院の境内にあるものを指し、運営は寺院が行っています。寺院墓地にお墓のある場合は、檀家として、寺院の運営に寄付や修繕費の負担で関わっています。
一方、霊園は寺院に属さない墓地といえますが、民営霊園と公営霊園があります。民営霊園は、都道府県の認可を得た宗教法人や公益法人が運営するものであり、公営霊園は市町村などの自治体が運営するものです。
また、霊園は寺院や宗教とは無関係で法事などを催すことができますが、そういった手配を個人でする必要があります。
お墓に納骨するには、お墓の「権利」が必要ですが、これは永代使用権と呼ばれるものです。お墓の永代使用権とは、以下のように要約されます。
●永代にわたって入手した区画を使用できる権利です。
●永代使用権は、民法で保証される所有権などとは異なり、法律には明記されていません。
●お墓の永代使用権は、第三者に譲渡や貸したりすることはできません。
●購入したお墓を維持するためには、一般的に年間管理料の支払いが必要です。
そのほか、墓地使用者の資格、墓地使用の規定、墓石や設備の規定、墓地施設使用の規定、墓地の継承などが決められていることが一般的です。
このようなお墓の永代使用権を前提に、ここでは、寺院が関わる墓地ではなく、購入した霊園のお墓について、解約が可能なのか考えてみましょう。
購入したお墓を解約する場合、「墓石」を建てる前のお墓と納骨等を終えた場合に分けて考えてみましょう。
「墓石」を建てず、お墓に納骨(焼骨)していない場合でも、お墓を解約するということは永代使用権を返却する手続きになります。
永代使用権は、譲渡や貸し借りができないので、永代使用権を返却して年間の管理料の停止を申し出ることになります。
その際、支払い済みの永代使用料は、契約時の取り決めにもよりますが、永代使用権の返却に伴い、期間等に応じた一部返還の判例もあるものの、全額の返還は難しいとされています(※2)。原則として、自己都合の解約では返還されない可能性があるといえるでしょう。
墓石を建てた場合や納骨を終えた場合は、永代使用権を返却しても支払い済みの永代使用料は返還されません。
この場合は、永代使用権の返納を申し出たうえで、墓石等の撤去費用を負担して原状復帰を行い、年間管理料の支払い停止時期を決めるほかありません。
親が買った未使用のお墓は、解約自体はすることができますが、それまでにかかった費用が全額返還されるわけではありません。
親や先祖の墓について管理に悩んでいる人は少なくないと思われますが、お墓や、先祖を含む故人の弔い方は、時代によって変わっていきます。先祖から引き継いだお墓の継承の仕方や、現代の近親者の弔い方は過渡期にあります。
お墓や先祖をどのように考えるかは、今の時代を生きる自身という立場だけでなく、先祖と次世代以降への橋渡し役としてのあり方という視点で考えることも必要ではないでしょうか。
(※1)厚生労働省 墓地、埋葬等に関する法律の概要
(※2)独立行政法人国民生活センター 消費者トラブルFAQ Q【墓地】未使用の墓地を解約したいが、支払い済みの代金は一切返金しないと言われ納得できない。
執筆者:植田英三郎
ファイナンシャルプランナーCFP
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