使われなくなったクレヨンの再生を通して、「もったいない」の心を育む「マーブルクレヨンプロジェクト」

カラフルで子どもだけではなく大人も思わず惹かれるマーブルクレヨン

使われなくなったクレヨンの再生を通して、「もったいない」の心を育む「マーブルクレヨンプロジェクト」

4月7日(月) 5:44

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「子どもたちが見て触れて実感できるSDGsを」という思いがきっかけとなって、2021年から始まった「マーブルクレヨンプロジェクト」。この活動を企画・運営する株式会社リリフルの代表取締役、金森律子さんに立ち上げの経緯や思いを聞いた。
【画像】マーブルクレヨンを家で作れるキット
カラフルで子どもだけではなく大人も思わず惹かれるマーブルクレヨン


金森さんは大垣市内で主に企業主導型保育事業を行う「株式会社リリフル」を運営している。今回のプロジェクトを始めるきっかけとなったのは、自社のSDGsへの取り組みや自分の子どもが小学校からSDGsノートをもらってきたことだと話す。「SDGsについて17項目の説明がされていたのですが、どれも課題が大きすぎて子どもには少々わかりづらいと思ったのと同時に、もっと子どもが理解しやすいSDGsはないのだろうか?と考えていました」。

そんなとき、保育所のスタッフから「クレヨンは再生できる」と聞いた金森さん。「あ、そうか、これだと思いました」と、当時の思いを振り返る。

使われなくなったクレヨンは油できれいに汚れを拭き取り、1センチにカットし、型に入れて電子レンジで溶かし固めるだけでかわいいマーブルクレヨンに生まれ変わる。金森さんはさっそく、クレヨンを回収するボックスを作成。「最初は学校で回収し、子どもたちが再生してまた自分たちで使うということを考えていましたが、コロナ禍だったので資源回収も難しかったですね」と金森さん。回収ボックスは、市内のショッピングセンターにお願いして4カ所に設置されることになった。
ショッピングセンターにて地域の不要になったクレヨンを回収

小学校でも回収をしている


金森さんたちは回収したクレヨンを使って子ども向けのワークショップを開催している。子どもたちは自分で好きな色のクレヨンを選び、型に入れてオリジナルのマーブルクレヨンを1人6個作る。「どの色にしよう?」「わあ、すごい!」と子どもたちもワクワクしながら体験に参加。できあがったクレヨンのうち1個は持ち帰り、残りの5個は市内の小学校などに寄贈する。

プロジェクトは、株式会社リリフルのほかに大垣市内の企業2社が協働して地域のために取り組んでいる。マーブルクレヨンを包む布と紐を「株式会社艶金」が提供し、余ったロール紙で作成したノートを「サンメッセ株式会社」が提供。ワークショップでできあがったマーブルクレヨンたちは、市内の全小学校1年生やこども食堂や学童保育の子どもたちなどへ届けられる。

「昨年は約1600人の子どもたちにマーブルクレヨンを渡すことができました」と金森さん。クレヨンはもちろん、ノートも包布もアップサイクルされたもの。金森さんの思いどおり、子どもたちは身近にSDGsを体感することができるのだ。
楽しそうにクレヨンを型に入れる子どもたち

中学生もSDGsの授業にてクレヨンづくりにチャレンジ

大垣市内の企業「サンメッセ株式会社」「株式会社艶金」「株式会社リリフル」3社で協力

株式会社艶金提供の布と紐でマーブルクレヨンを包み、サンメッセ株式会社提供のノートと一緒に寄贈


回収ボックスに集まるクレヨンはこれまでに約900キロ以上と膨大な量で、ワークショップで使用するにしても汚れ落としが追いつかないため、市内のデイサービスや就労支援所に協力を仰いでいる。「おじいちゃん、おばあちゃんも、障害を抱えた人も、みんな誰かの役に立ちたいと思う気持ちは同じ。皆さんのやりがいにもつながっていると思いますし、一生懸命汚れを落としてくれることで私たちも助かります」と金森さんは話す。
「子どもたちのために」と一生懸命クレヨンを磨くごデイサービスの皆さん


こうして作られるマーブルクレヨンは市内の小学校のみならず、「ロシア軍侵攻で苦しむウクライナの子どもたちを笑顔にしたい」と2022年11月に在日ウクライナ大使館へ380個寄贈。また2024年7月には能登半島の被災地に出向いて野外ワークショップを行った。

「能登の震災後は、地元でワークショップに参加した子どもたちにも変化がありました。最初は6個全部持ち帰りたい!というのですが、そのうちに『能登の子にはどれをあげよう?』と尋ねると『全部あげてもいいよ!』といってくれるようになったのです。誰かのことを思う気持ち、それがSDGsであり、子どもたちが自然にそういう気持ちになれることがうれしいです」と金森さんは笑顔だ。
在日ウクライナ大使館へ寄贈


マーブルクレヨンの輪が徐々に広がり、「自宅でも簡単に作れるように」と金森さんは「マーブルクレヨンキット」を開発。現在は市内の土産店や雑貨屋などで販売している。キットには、金森さんの思いが込められた絵本がついている。「乳幼児向けのSDGsの本を作りたいとずっと思っていました。絵本を読んで、そのストーリーが体現できるキットになっています」

金森さんは、今後「マーブルクレヨンプロジェクトを他の地域や発展途上国に広めていき、女性が活躍できる仕組みや場所を作りたい」と話す。保育所事業を通して、子育てをしながら働く女性の応援や起業支援も行う金森さんの、誰ひとり取り残さない社会への思いはまだまだ広がり続ける。
【画像】マーブルクレヨンを家で作れるキット

株式会社リリフルが運営する「ドリームタッチ保育所」

世界共通語の「SDGs」や「もったいない」と、誰もが知っている「クレヨン」を使った活動を通して地域が活性し、国を超えて世界の人々が明るくなることを願い、この活動を続けていく


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