ポルトガルの鬼才、ペドロ・コスタの「血」「溶岩の家」「骨」の初期3作品を監督自ら監修した4Kレストア版で劇場初公開する特集「ペドロ・コスタ はじまりの刻(とき) 1989-1997」が、5月24日から渋谷・ユーロスペースで開催される。
「ヴァンダの部屋」から25年、「コロッサル・ユース」から19年――世界を驚かせ続けるポルトガルの鬼才、ペドロ・コスタ。「血」(1989)は、その伝説前夜とも言える、漆黒のモノクロが鮮烈な長編デビュー作だ。自らが受けた映画史と自国の記憶を色濃く反映し、「ポルトガル映画の最も美しい映画の一本」との評価を得ている。
「溶岩の家」(1994)は、“カーボ・ヴェルデ”というペドロ・コスタの後の作品群に繋がる場所が初めて登場した重要作で、カーボ・ヴェルデの言葉、習慣、気候、風土――その現実的な生活と歴史を映画に取り込みながら、荒々しい色彩と感情を描き出す。「骨」(1997)は、スラム街フォンタイーニャスに住む人々を起用し、圧倒的なリアリズムで底辺の生活の厳しさを描く。
そのほか、破壊されつつあるフォンタイーニャスを舞台にそこに生きる人々の営みを強烈な映画手法で描いた、「ヴァンダの部屋」と「コロッサル・ユース」も特別上映し、その類まれな軌跡を見つめられる貴重な上映機会となる。
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骨
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