65歳で預金は2000万円あります。「老後4000万円問題」に備えるため今からNISAを始めるのはアリですか?

65歳で預金は2000万円あります。「老後4000万円問題」に備えるため今からNISAを始めるのはアリですか?

4月2日(水) 14:00

2019年に、年金の他に自助努力で2000万円の預貯金を用意する必要がある、という旨の主張である「老後2000万円問題」が話題になりました。昨今は2000万円に物価上昇率を加味し、「老後4000万円問題」に発展しています。 結論からお伝えすると、すべての家庭において、自助努力で4000万円の資産を用意する必要はありません。しかし、「物価上昇率を加味して生活設計をする」という点は重要であるため、今回は必要な老後資産を用意する方法を見ていきましょう。

老後4000万円問題とは

2019年に話題となった「老後資金2000万円問題」により、資産形成を行う重要性が広く認知されました。「年金だけに頼るのではなく、老後資産を自分で用意する必要がある」という提言が行われ、注目されました。
 
昨今は、2000万円に物価上昇率を加味した「老後4000万円問題」が話題になっています。20年間にわたって3.5%の物価上昇が続いた場合、約4000万円が必要になるという論理です。
 
問題の根本となっている「老後2000万円問題」は、年金だけでは毎月約5万5000円の赤字が発生するため、30年間では2000万円が不足するという試算に基づいています。
 
ただし、「平均貯蓄額として2500万円持っている」という前提に基づいている点は、あまり知られていません。2500万円という資産を有しているため、年金だけで不足する分は資産の取り崩しでカバーしている、という背景があるのです。
 
前提として、必要な老後資金には個人差がある点を押さえておきましょう。受給できる年金額には個人差があり、昨今は65歳以上になっても働く人が増えているため、そもそも老後が始まる期間に個人差があるためです。
 
つまり、「老後2000万円問題」にしても「老後4000万円問題」にしても、あまり当てにならない数字といえるでしょう。
 

物価上昇に備えることは大切

安心して生活できる老後資金としていくら必要かは、何歳まで働くのか、受給できる公的年金はいくらか、退職金や企業年金はあるのかなど、複数の要素を考える必要があります。したがって、「老後資金として4000万円が必要」という短絡的な理解は避けましょう。
 
ただし、老後4000万円問題の根拠となっている「物価上昇」については意識する必要があります。昨今はさまざまなモノやサービスの価格が上昇しており、家計への負担となっているためです。
 
実際に、総務省統計局の「2020年基準 消費者物価指数」によると、2025年2月分の物価上昇率は、前年同月比で3.7%の上昇でした(総合指数)。
 
銀行預金で得られる利息では物価上昇に対抗できないため、資産の実質的な価値は減少してしまいます。物価上昇に対抗するために、ある程度のリスクを取って資産運用をする方法は、効果的な対抗策の一つです。
 
「運用しながら資産を取り崩す」という生活を送れば、資産寿命を延ばすことができるため、老後生活における経済的な不安を軽減できるでしょう。NISAを活用すれば非課税で資産運用できるため、これから投資を始めるにあたって有効活用しましょう。
 

まとめ

老後4000万円問題は、すべての世帯で当てはまる問題ではありません。老後資金として必要なお金は人それぞれであるため、「4000万円」という金額だけに注目するのは無意味です。
 
しかし、老後4000万円問題の中で論じられている物価上昇に関しては、普段の生活で意識する必要があります。
 
物価上昇は家計の実質的な資産価値を減らす要因です。資産寿命を延ばすために、65歳以降も可能な限り働いて収入を得たりNISAで資産運用をしたりして、物価上昇に対抗しましょう。
 

出典

金融庁 金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」
総務省統計局 2020年基準 消費者物価指数 全国 2025年(令和7年)2月分
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

【関連記事】

定年退職時に「貯蓄5000万円」の世帯は日本にどれくらいいる?
定年退職の時点で「貯蓄4000万」の世帯は全国にどのくらいいる?
iDeCoとつみたてNISA、50歳から始めて「2000万」貯めるにはいくら投資したらいい?
ファイナンシャルフィールド

新着ニュース