4月2日(水) 14:20
公的な老齢年金には、10年以上の受給資格期間(保険料納付済み期間と保険料免除期間などを合算した期間)がある人が年金保険料を納めた期間などに応じて受け取れる「老齢基礎年金」と、会社に勤めるなどして厚生年金保険に加入していた人が基礎年金に上乗せして受け取れる「老齢厚生年金」があります。
20〜30代の10年間、正社員として会社勤めをし、その他の期間は専業主婦として夫の厚生年金保険の扶養に入っていた人が老後に受給できる老齢年金は、原則として次の2種類を合算した金額です。
・20歳から60歳の間の保険料納付実績に応じた老齢基礎年金
・10年間の厚生年金保険料の納付実績に応じた老齢厚生年金
老齢厚生年金は加入期間中の報酬額に応じて受給額が決まるため「報酬比例部分」と呼ばれます。報酬比例部分の受給額は、次の2つの計算式で求めた金額を合計して算出します(昭和21年4月2日以降に生まれた人の場合)。
平成15年3月以前の加入期間の報酬比例部分=平均報酬月額(※1)×7.125/1000×平成15年3月までの加入期間の月数
平成15年4月以降の加入期間の報酬比例部分=平均報酬月額(※2)×5.481/1000×平成15年4月以降の加入期間の月数
※1平成15年3月以前の加入期間の標準報酬月額の総額を平成15年3月以前の加入期間で割った額。
※2平成15年4月以降の加入期間の標準報酬月額と標準賞与額の総額を平成15年4月以降の加入期間で割った額。
老齢基礎年金の受給額は、20歳から60歳になるまで保険料を全て納付した場合を満額として、実際の納付月数や免除を受けた月数をもとに算出します。計算式は次のとおりです(昭和31年4月2日以降生まれの人の令和7年度の金額)。
老齢基礎年金受給額=満額の老齢基礎年金年額83万1696円×(保険料納付済み月数+全額免除月数×4/8+4分の1免除月数×5/8+半額納付月数×6/8+4分の3納付月数×7/8)÷480月
正社員として働いていた期間が同じでも、年収額に加えて学生時代や専業主婦期間の国民年金保険料の納付状況によって、受け取れる年金額は異なります。
本項では、厚生労働省が提供する「公的年金シミュレーター」を用いて、1975年生まれの人が60歳まで国民年金保険料を満額納めた場合の年金受給額について、会社員時代の平均年収額別に比較してみましょう。
・1975年生まれの女性
・22歳から31歳まで10年間、厚生年金保険に加入
・32歳以降は夫の厚生年金保険の被扶養者
・国民年金保険料の未納、免除期間なし
・65歳から受給開始
上記条件をもとにシミュレーションした結果は、図表1のとおりです。
【図表1】
平均年収額 | 年金見込み受給額 |
---|---|
200万円 | 年額92万円 |
300万円 | 年額97万円 |
400万円 | 年額102万円 |
500万円 | 年額107万円 |
600万円 | 年額113万円 |
※厚生労働省「公的年金シミュレーター」の結果をもとに筆者作成
会社員時代の年収が高いほど、老齢年金の受給額も高いことが分かるでしょう。ただし、これはあくまでもおおよその試算であり、実際の月給などの細かい数字によって、受給額は左右されます。
より自身の受給額に近い数字を知りたい場合は、ねんきん定期便を確認するのがおすすめです。ねんきん定期便は、毎年誕生月にはがきや封書で届く(※郵送停止の登録をしていない場合)ほか、ねんきんネットに登録するとオンラインでいつでも確認できます。
公的年金シミュレーターねんきん定期便に記載の二次元バーコードを読み込むと、ねんきん定期便の内容がシミュレーターに反映され、より実情に近いシミュレーションが可能です。
将来受け取れる老齢年金の金額は、会社員として働いていた期間や年収、国民年金保険料の納付状況などさまざまな条件で変化します。
自身がいくらくらいの年金を受け取れるのかを知るには、ねんきん定期便や公的年金シミュレーターなどを活用して、試算してみるのがおすすめです。年金額の見込みを知り、老後資金の準備に生かしましょう。
日本年金機構 老齢年金
日本年金機構 老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 は行報酬比例部分
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
厚生労働省 令和7年度の年金額改定についてお知らせします
厚生労働省 公的年金シミュレーター
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執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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