トラックドライバーの人手不足の原因は年収?労働環境の実態とは

トラックドライバーの人手不足の原因は年収?労働環境の実態とは

4月1日(火) 19:00

日本の物流業界では人手不足が深刻化しています。その理由には、長時間労働や年収減少などがあります。トラックドライバーの人手不足が日本の物流業界に与える影響が気になる方も多いのではないでしょうか。本記事では、トラックドライバーの人手不足の理由と年収の関係について解説します。また、現場の声や労働環境の実態も紹介します。

トラックドライバーの人手不足が深刻化する背景

近年、日本の物流業界ではトラックドライバーの人手不足が深刻な問題となっています。この状況は今後さらに悪化すると見られており、「物流の2024年問題」としても注目されています。
 
人手不足が深刻化している理由は、長時間労働と低賃金です。トラックドライバーの仕事は早朝や深夜の運行が多く拘束時間が長いため、労働負担が大きくなる傾向にあります。
 
また、若年層の就業者が減少していることも原因の一つです。ドライバーの平均年齢は年々上昇しており、国土交通省の調査では、全体の約44%が40歳以上となっています。若者がこの職業を敬遠する理由として、厳しい労働環境や長期的なキャリアの見通しが不透明である点が挙げられます。
 

トラックドライバーの年収と人手不足の関係

トラックドライバーの年収は、勤務する会社や運行ルートによって大きく異なります。長距離輸送を担当するドライバーは、短距離やルート配送を行うドライバーと比べて年収が高い傾向にあります。
 
平均的な年収は、長距離トラックドライバーは400~750万円、大型トラックドライバーが450~650万円、中型トラックドライバーでは450~550万円ほどといわれています。
 
近年は、政府がトラックドライバーの賃金を引き上げる施策を進めています。労務単価を7.2%引き上げることに加え、荷待ちや荷役の対価を適切に加算することによって、事実上10%の賃上げが期待されています。
 

労働環境の実態とは

トラックドライバーの現場では、厳しい労働環境が問題視されています。特に、長距離輸送は1日の拘束時間が長く、十分な休息を取れないまま運行するケースもあります。荷主からの厳しい納期要求や、物流の効率化による負担増が影響していることが理由です。
 
ある企業が行ったドライバーの仕事の現状についての調査では、現状に不満を抱えていると答えた人が約50%とのことです。理由として、給与、人手不足、労働時間などがあります。運賃の低価格競争が続く中で、ドライバーの労働条件が改善されないまま負担だけが増している状況が続いていると考えられます。
 

今後求められる労働環境改善策

トラックドライバーの人手不足を解消するためには、給与の引き上げだけでなく、労働環境全体の改善が必要です。運賃の適正化を進めるとともに、長時間労働を是正する仕組みを整えることが求められます。
 
国土交通省は、2024年4月に時間外労働の上限規制を導入し、年間960時間を上限とする方針を打ち出しています。これにより、長時間労働の抑制が期待されていますが、一方でドライバーの収入減少につながることも懸念点です。業界全体で適正な運賃設定を進めて、ドライバーの給与水準を維持・向上させることが重要になります。
 
また、休憩施設の整備も重要な課題です。国や自治体、企業が連携してトラック専用の休憩所を増設することで、ドライバーが安全に休息を取れる環境を整える必要があります。さらに、荷主側の理解を深めて無理な納期設定を見直すことも、持続可能な物流の実現には欠かせないでしょう。
 

持続可能な物流のために求められる対策

トラックドライバーの人手不足は、日本の物流業界全体に影響を与える重要な問題です。給与水準が労働負担に見合わない現状や、長時間労働の常態化が課題として挙げられます。これらの問題を解決するためには、適正な運賃設定や労働環境の改善が不可欠です。また、持続可能な物流の実現には、荷主側の理解も必要です。
 

出典

国土交通省
中部運輸局自動車交通部物流2024年問題について

「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」を策定しました
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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