山崎貴監督からあふれる映画館愛!スクリーンで観る意義やこだわりの座席位置、『ゴジラ 新作映画』への意気込みまで語る【連載「I’m a moviegoer」】

「moviegoer」なクリエイターにインタビューする連載がスタート!記念すべき初回は山崎貴監督が務める/撮影/黒羽政士

山崎貴監督からあふれる映画館愛!スクリーンで観る意義やこだわりの座席位置、『ゴジラ 新作映画』への意気込みまで語る【連載「I’m a moviegoer」】

4月1日(火) 3:00

「moviegoer(ムービーゴーアー)」という言葉をご存知だろうか?映画館に行くという行為から生まれたこの単語は、「よく映画を観に行く人、映画ファン」という意味で、海外では広く使われている。この言葉をキーワードに、“映画ファンの皆さんに、もっと映画館で映画を観てほしい”という想いから「グランドシネマサンシャイン 池袋」が劇場オリジナルグッズとして展開している企画が、「I’m a moviegoer」だ。
【写真を見る】怪獣王のような「g」の文字が印象的!グッズ化される「I’m a moviegoer」山崎貴監督直筆メッセージ
Tシャツやトートバッグなどのオリジナルグッズが展開されている「I’m a moviegoer」


この企画では、映画館で観ることのすばらしさをより伝えていくべく、自他ともに認める「moviegoer」な映画監督に「I’m a moviegoer」と直筆メッセージをもらい、そのオリジナルグッズをグランドシネマサンシャイン 池袋とMOVIE WALKER STORE限定で販売する。
「I’m a moviegoer」連載の記念すべき第1回は、『ゴジラ 新作映画(仮題)』を制作中の山崎貴監督!


MOVIE WALKER PRESSでは、この企画にあわせて、メッセージをもらった映画監督にインタビューを実施する連載がスタート!記念すべき第1回を飾ってくれたのは、『ゴジラ-1.0』(23)で第96回アカデミー賞視覚効果賞に輝いた山崎貴監督。moviegoerとしての映画館にまつわる思い出話や、こだわりの座席位置、作り手として意識していること、そして製作が決定した『ゴジラ 新作映画(仮題)』についてまで語ってもらった。

■「映画制作で意識しているのは、大スクリーンや音響にふさわしい映画であること」

――監督デビュー作の『ジュブナイル』をはじめ、映画館の大スクリーンで観ることを前提とした作品づくりをされていますが、「映画館で映画を観ることの魅力」はどのような点にあるのでしょうか?

山崎「暗闇の中でほかの人たちと大きなスクリーンを観る行為は、ハレとケで言うとハレ、お祭りとしての特別な行事であると思うんです。時代としてはいろんなものが利便性に流れ、だんだんと映画館で映画を観る優位性は失われているなかでも、観たい作品が上映されている映画館をわざわざ調べて、時間を作って出かけることには、“儀式”のようなプロセスがある。いまの時代だからこそ、このプロセスが大事なんじゃないかと思っています。それに、映画館で公開する作品は、映画館での上映を念頭に置いた調整がされています。映画館と家庭では、よほど凝っている人でない限りは環境がまったく違うので、制作者の意図を100%享受してもらうためには映画館で観るのがベストな選択肢だと思います。

気軽さというのは簡単に消費できてしまうことでもあるので、観るのを止めることも容易です。でも映画館は、時間とお金を使って来てもらうわけですから、席に座っていないといけない精神的な拘束力がある。これが作品への没入感を与えるプラス要因の一つでもあると思っています。逆に言うと、作り手としては拘束させることに見合った映画を届けることが大切だと考えています」

――山崎監督が映画制作において特に意識していることはなんでしょうか?

山崎「まずは映画館に来てほしいということ。気軽に映像作品に触れられる時代だからこそ、大きいスクリーンや音響にふさわしい映画であることはすごく意識しています。特に、ゴジラのようなキャラクターは‟映画スター“なので、テレビで簡単に消費してはいけないものだと思っています。当たり前ですが、サイズが巨大ですから大きいスクリーンで観たほうがより存在を感じられますしね。意識しているのは大スクリーンに映しても粗が目立たないこと。ディティールの積み重ねはすごく丁寧にしています」
ペンや筆を選びながらメッセージを記入していく山崎監督

次々とメッセージを記入していき、山崎監督ならではの工夫も加えられていく


――一口に‟moviegoer“といっても、映画館カルチャーは国によって違いますよね。山崎監督は、海外の映画祭や映画賞に呼ばれた時など、海外の映画館で映画を観る機会はありますか?

「滞在期間中にぽっと空き時間ができた時なんかに、映画を観ることは結構あります。日本とは違う、お客さんのリアクションがいいですよね」

――『ゴジラ-1.0』は北米でも1500スクリーン以上で上映されていましたが、現地の映画館ではご覧になりましたか?

山崎「北米プレミアの時にDGAシアターでお客さんと一緒に観ました。現地のお客さんは上映中でも声をあげたり拍手をしたり、皆で盛り上がるので“ライブ感”がすごかったですね。こういう鑑賞方法もすてきだなと思いました。日本ではお行儀よく黙って観なさいと言われてしまいますよね。でも歌舞伎の声かけのように、もともと日本には『虚構のものに声をかける文化』があったと思います。以前、山田洋次監督とお話をした時も、昔の映画館は笑い声だけでなく大騒ぎしながら観ていたとおっしゃっていました。

なので、作品によりますけど映画に対してのリアクションなら多少声出してもいいんじゃないかと思っています。もちろん、映画と関係ないリアクションはダメですけど(笑)。最近だと声を出すのが推奨される応援上映がありますが、あれは本当に楽しいですよね」

■「一度映画館で映画を観たら、自宅とはこれだけ違うのかということを体感できると思っています」

何十枚も記入してもらった中から、グッズとなるメッセージを選ばれた

――ここからは、山崎監督のmoviegoerとしてのエピソードをお聞きしたいと思います。『ゴジラ-1.0』のイベントでは、小学生の時に父親と一緒に映画館で観た『三大怪獣 地球最大の決戦』に衝撃を受けたとお話をされていましたが、ほかにも強く残っている映画館での思い出や体験はありますか?

山崎「まず『三大怪獣』を観るために、『もうほかに映画を観せてくれなくていいからこれだけは連れてってくれ』とお願いしていたので、約束だからと父親に一切映画を連れてってもらえなくなりまして(笑)。ようやく中学生になって、子どもたちだけで映画館に行くようになった時に、最初にスクリーンで観たのが『ロッキー』だったんです。映画館で洋画を観たことがなかったので、まず英語でしゃべっていることにびっくり(笑)。

ただ字幕でやるんだって驚きもあったんですけど、それ以上に驚いたのが“音”でしたね。オープニングの教会でロッキーが試合をしているシーンで“ちゃんとやれ!”みたいな英語のヤジが後ろのほうから飛んできたんです。最初は『誰か客が言っているのかな?』って思ったら――4chだと思うんですが――映画の立体音響だったんです。透明感のあるクリアな音で“音像”が結ばれ、音の世界に包まれるとんでもない臨場感だったのを覚えています。左右からも違う声援が飛んできて、その中でロッキーが殴り合っている。テレビでやっている映画はよく観ていたんですが、テレビの音声はモノラルだったので、『劇場ってすげー!』と思いました」
真剣な眼差しでメッセージを記入してくれた


――体感的な大音響も映画館ならではの魅力ですね。

山崎「家庭でオーディオに凝っているのは、かなり少数派ですからね。映像は年々画質がよくなって大画面のテレビも普及していますが、それでもiPadとかスマホで映画を観る時代ですし。映画館で観る経験がほぼない人もたくさんいると思います。でも一度映画館で映画を観たら、自宅とはこれだけ違うのかということを体感できると思っていて、それが一番わかるのがやっぱり音の迫力の違いだと思います。最近だと、『シビル・ウォー アメリカ最後の日』を観たあとに、家のテレビで見返したんですが、迫力が全然違ったんですよね。映画館で観た時は、銃声が身体を突き抜けるような感じで、本当に目の前で銃撃戦をしているような音の怖さがありましたから。こういった映画館ならではの体験ができた時に、『映画館で観るっていいよね』となっていくのかなと思います。そして、『予告で流れていたあれを次に観よう』と習慣になっていく。そういう意味では、やっぱり映画の最強の宣伝は予告編なのだと思いますね」

■「フルサイズのIMAXの視界がぜんぶ覆われる、あのとんでもない没入感は、ほかでは得難い体験」
【写真を見る】怪獣王のような「g」の文字が印象的!グッズ化される「I’m a moviegoer」山崎貴監督直筆メッセージ


――今回「I’m a moviegoer」と記入いただいたものは、Tシャツとして「グランドシネマサンシャイン 池袋」で販売するのですが、監督は「グランドシネマサンシャイン 池袋」にはよく行かれますか?

山崎「何度も訪れていますね。晴れやかな場所という印象の大好きな映画館です。IMAXシアターのある最上階には巨大なLEDビジョンがあって、異世界感というかこれから映画が始まるというワクワク感を感じさせてくれるところもよいですね。あとはやっぱりフルサイズのIMAXが東京で観られる唯一の場所というところです。この前も期間限定で再上映されていた『インターステラー』を観に行きまして、夢の一つだったフルサイズのIMAXで観ることを叶えることができました。視界がぜんぶ覆われる、あのとんでもない没入感は、ほかでは得難い体験ですね」
今回発売されるTシャツは全3色!デザインは映画作品のビジュアルデザインを多く手掛ける石井勇一が担当


――こだわりの座席位置はあるのでしょうか?

山崎「IMAXはもちろん、そうでなくても、やっぱり真ん中が一番好きですね。視界とスクリーンの高さがちょうど一緒になるくらいの席が好きなんです。実は自分の作品のIMAXのテスト試写は、だいたいグランドシネマサンシャイン 池袋でやらせていただいているんですが、その時も真ん中に座るようにしています」

――確かにフルサイズのIMAXをど真ん中で観た時、感じたことのない感動を覚えました。

山崎「映画に入っちゃう感じがしますよね。IMAXは映画が始まる前のカウントダウンとか、イントロムービーの“針の音”と“飛行機の音”のところもすごく好きなんですよ。特別なことが始まる感じがするんですよね。観るたびに『おわー』ってなっています(笑)」

――山崎監督のフルIMAX作品もぜひ観てみたいです。

山崎「フィルムでの撮影は無理だとしても、いつか自分でフルIMAXの映画を作りたいという想いはありますね。ただフルで味わってもらえるのが日本で2か所だけになっちゃうという(笑)」

――最後に製作が決定した『ゴジラ 新作映画(仮題)』について、意気込みを教えていただけますでしょうか。

山崎「もう1本『ゴジラ映画』を撮るべく、いまシナリオを進めている最中です。いままであまり怪獣映画でやりたくてもやれなかったことみたいなのを、どうやって実現していこうかなってことを意識して仕切り直しています。『ゴジラ-1.0』は非常に運の良い映画でいろいろなことが起きましたが、まさか『シン・ゴジラ』だけでなく『ゴジラ-1.0』がハードルになるとは思いませんでした(笑)。厄介ではありますが、とても光栄ですしうれしい反面、いろいろと考えてしまいます。新たな挑戦はしなきゃいけないし、ゴジラというキャラクターに敬意を払うためには、どう全力を尽くすのかが大事だと思っています。先人が築き上げてきてくれた巨大なIPですから、それに恥じないものにしたいですね」

――『ゴジラ-1.0』がゴジラを体感する映画だとすると、『ゴジラ 新作映画(仮題)』はどういった映画になるのでしょうか?

山崎「それはまだ言えないです(笑)」
『ゴジラ 新作映画(仮題)』への意気込みも語ってくれた山崎監督。再び大画面でゴジラを目撃できる日が待ち遠しい


取材・文/神武団四郎


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