3月31日(月) 2:10
故人の財産には銀行預金や不動産だけでなく、手元に残された現金も含まれます。そのため、タンス預金も相続財産の一部とみなされ、相続税の対象となるようです。
相続財産はすべて正確に申告する義務があるため、タンス預金を発見した場合も適切に処理しなければなりません。もし申告を怠ると、過少申告加算税などが発生する可能性があります。
タンス預金は家のなかのさまざまな場所に隠されていることがあります。よく発見される場所として、以下のような箇所が挙げられます。
・押し入れ・布団の下
・机の引き出し・書類ケース
・仏壇
・冷蔵庫・キッチンの収納
・クローゼット・洋服のポケット
また、家電製品のなかや書籍の間に隠されているケースもあるため、慎重に探すことが大切です。
遺品整理を進めるなかでタンス預金を発見したとき、どのように対応すればよいのでしょうか。手順を解説します。
まず、発見した現金を相続人全員で確認して記録を取ります。
・現金の写真を撮影する
・発見した場所をメモする
・金額を正確に計算する
勝手に使ったり、個人の判断で処理したりしないように注意しましょう。
遺産分割協議では、法定相続分や遺言書の内容に基づいて遺産をどのように分配するかを決定します。タンス預金も遺産目録に記載して、相続人全員で協議しなければなりません。
相続税の申告が必要かどうかは、基礎控除額を超えるかどうかで判断します。国税庁によると、基礎控除額は、以下の計算式で求められます。
基礎控除額=3000万円+600万円 × 法定相続人の数
例えば、法定相続人が3人いる場合、基礎控除額は3000万円+600万円 × 3人=4800万円です。遺産総額がこの基礎控除額を超えると、相続税の申告が必要になります。なお、申告期限は故人が亡くなった日の翌日から10ヶ月以内とされています。
相続税の申告が終わったあとにタンス預金が見つかった場合は、修正申告を行う必要があります。申告漏れがあると、以下のペナルティが発生する可能性があるため、注意が必要です。
・過少申告加算税:相続税の申告額が不足していた場合
・延滞税:相続税を期限後に納付した場合
・無申告加算税:正当な理由がなく相続税の申告を期限までにしなかった場合
・重加算税:相続財産を意図的に隠したり偽ったりした場合
ただし、自主的に申告すればこれらの罰則が軽減されることもあります。そのため、タンス預金を見つけたときは早めの対応が肝心です。
見つけたタンス預金を適切に扱わなかった場合、相続トラブルに発展するリスクがあるため、以下のポイントに注意してください。
タンス預金を発見したにもかかわらず、一部の相続人が隠してしまうと、のちに発覚した際に大きな問題となる場合があります。相続人同士の信頼関係を損なうだけでなく、税務署による調査の対象となるリスクもあります。
遺品整理時の見落としを防ぐため、遺品整理の専門業者に依頼するのもおすすめの方法です。現金のみならず、貴重品や重要書類の発見にも役立つ可能性があります。
タンス預金の処理に困ったら、税理士などの専門家に相談するとよいでしょう。相続税の計算や申告手続きについて、適切なアドバイスを受けられるといわれています。
遺品整理中にタンス預金を発見した場合、慎重に対応することが重要です。相続財産として適切に処理し、遺産分割協議で正しく分配してください。
また、相続税の申告を怠るとペナルティーが発生することもあるため、早めの対応が求められます。相続人同士のトラブルを防ぐためにも、必要に応じて専門家の力を借りるなどして遺産整理を進めていきましょう。
国税庁 財産を相続したとき
国税庁 No.2026 確定申告を間違えたとき
国税庁 No.2024 確定申告を忘れたとき
国税庁 相続税及び贈与税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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