3月28日(金) 21:30
プロ棋士のおもな収入源は、スポンサーが主催する公式戦に出ることで得られる対局料や、優勝または準優勝することで得られる賞金です。人気棋士になると、テレビやイベントへの出演・メディアの取材など、副業の収入を得られる場合もあります。
プロの公式戦には「竜王戦」「名人戦」など8つのタイトル戦と「朝日杯将棋オープン戦」「NHK杯テレビ将棋トーナメント」といった7つの一般公式戦があります。例えば竜王戦は、現役棋士全員と女流棋士4名、奨励会員1名、アマチュア4名が参加するトーナメント戦で、優勝賞金は将棋界最高の4400万円です。竜王と挑戦者が七番勝負を行うもので、敗者の賞金は1650万円です。
竜王戦独自のランキングで出場棋士は6つの組に分けられ、それぞれのランキング戦において表1の優勝賞金および準優勝賞金が設定されています。
表1
ランキング戦 | 優勝賞金 | 準優勝賞金 |
---|---|---|
1組 | 470万円 | 116万円 |
2組 | 366万円 | 94万円 |
3組 | 261万円 | 63万円 |
4組 | 209万円 | 53万円 |
5組 | 157万円 | 42万円 |
6組 | 94万円 | 21万円 |
出典:公益社団法人日本将棋連盟「竜王ランキング戦・決勝トーナメントについて」を基に筆者作成
公益社団法人日本将棋連盟によると、2023年における獲得賞金・対局料の上位5名は以下の通りです。
●藤井聡太竜王・名人:1億8634万円
●渡辺明九段:4562万円
●永瀬拓矢九段:3509万円
●広瀬章人九段:3066万円
●羽生善治九段:2604万円
※金額は推定
プロ棋士として公式戦に参加すれば、活躍次第では高収入を得られることが分かります。
公益社団法人日本将棋連盟によると、将棋のプロの世界には、現役・引退を合わせて230名を超える棋士がいるとのことです。棋士になるには奨励会と呼ばれる棋士養成機関に入る必要があります。
奨励会には入会試験があり、「級位受験者」の場合、受験資格として満19歳以下および四段以上の棋士から推薦を得ることが定められています。受験料は3万1500円です。「初段受験者」は満22歳以下で、アマチュア公式戦全国大会の優勝または準優勝の経験および四段以上の棋士から推薦を得る必要があります。受験料は5万2500円です。いずれも合格後は入会金10万5000円と、奨励会費として月額1万500円が発生します。
奨励会は6級から三段までの級位・段位があり、成績によって昇格していきます。三段になると年に2回の三段リーグを行い、原則として上位2名が四段つまりプロ棋士となり、タイトル戦や一般公式戦への出場が可能です。プロ棋士は、年に4人だけがなれる狭き門であることが分かります。
奨励会には年齢に関して厳しい規定があり、満21歳の誕生日までに初段、満26歳の誕生日を含むリーグ終了までに四段になれないと、退会になる点に注意が必要です。三段リーグで勝ち越すと次回のリーグに参加できて同じ条件で在籍を延長できますが、満29歳のリーグ終了時で退会となります。
プロ棋士のおもな収入源は、プロの公式戦に参加することで得られる対局料や賞金です。例えば竜王戦の優勝賞金は将棋界最高の4400万円で、ランキング戦でも組に応じて優勝すれば94万円~470万円、準優勝で21万円~116万円の賞金が得られます。2023年の獲得賞金・対局料のトップは藤井聡太竜王・名人で、獲得額は推定で1億8634万円です。プロ棋士になれば、成績次第で高収入が得られる可能性があるといえます。
プロ棋士になるには、公益社団法人日本将棋連盟の棋士養成機関である奨励会へ入会し、級位・段位を上げて四段になる必要があります。奨励会への入会にあたっても、級位受験であれば満19歳以下、段位受験の場合は満22歳以下でアマチュア公式戦全国大会の優勝または準優勝の経験が必須です。加えてプロ棋士から推薦されなければなりません。年齢制限があるうえ、1年間に4人しかプロになれないなど、狭き門であることが分かります。
公益社団法人日本将棋連盟公式サイト 棋戦一覧 竜王戦 竜王ランキング戦・決勝トーナメントについて
公益社団法人日本将棋連盟公式サイト 2023年獲得賞金・対局料ベスト10
公益社団法人日本将棋連盟公式サイト 将棋の基礎知識 将棋界について
公益社団法人日本将棋連盟公式サイト 2024年度奨励会入会試験のご案内
公益社団法人日本将棋連盟公式サイト 奨励会規定
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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