女性活躍のフロンティアでもある小池百合子都知事のインタビュー4回目。小池都知事が構想する、女性と東京の未来とは?
お話を聞いたのは…
小池百合子 東京都知事
1952年兵庫県生まれ。92年参議院議員初当選、93年衆議院議員初当選。以降、環境大臣、内閣総理大臣補佐官(国家安全保障問題担当)、防衛大臣、自民党総務会長など歴任後、2016年東京都知事当選(現在、3期目)
>>都庁総合HP「知事の部屋」
―男女雇用機会均等法が成立して、今年で40年。1期生も還暦を超え、女性が働き続けることが当たり前の時代になりました。一方、さまざまな慣習が、女性たちを苦しめている実情がなかなか改善されません。その一つが、私は女性の「姓」の問題、いわゆる「夫婦別姓」の議論が遅々として進まない点にあると思っています。この議論は、小池都知事が国会議員になられたころに始まったと思いますが、石破政権でいよいよ動くのかなと期待しているところです。小池都知事はこの点、どうお考えになりますか。
小池百合子都知事
:現実の動きとして、数年前から、パスポートに旧姓を併記できるようになったと聞きました。
――私もパスポートに括弧書きで旧姓を入れていますが、「Hosokawaがミドルネームか」と聞かれることが多いです。「違います」というと、「では何か」と。
小池百合子都知事
:そうなのですね。ほかにも、研究論文などさまざまな業績が結婚して名前変わることで引き継がれないといったことも聞きます。結婚・離婚の際にも、金融機関でどんなに苦労したかという話を、色々な方がなさっているので、そこはやはり工夫すべきだろうと思っています。
―そもそも、法的に担保されていない、いわゆる「通称」で印鑑を押すとか、意味があるのかなと思うことも多いです。
小池百合子都知事
:名前がいくつもあるというのも、整理すべきときなのだろうと思いますね。
―最高裁は、夫婦別姓を認めない民法や戸籍法の規定を「合憲」とする判決(決定)を、2度も出しています。一方、15人の最高裁判事のうち、5人は、憲法24条2項(個人の尊厳と両性の本質的平等)に反することなどを理由に、違憲であるという意見を出しています。
小池百合子都知事
:夫婦の姓に関する制度について、最高裁は「国会で論ぜられ、判断されるべき事柄」としています。結局、国会としての不作為が問われているということだと思います。議論は色々とあると思いますが、議論を深めて、そして結論を出していく時期なのではないかと思います。
―わかりました。ところで東京都は最近、「100年後の東京の予測」を「2050東京戦略新聞」として出したそうですね。
小池百合子都知事
:はい(笑)。元々、報知新聞が、明治34年、1901年ですけれども、20世紀のスタートの1月2日と3日に、「20世紀の豫言」という記事を出しているんですね。馬車に代わって車が普及するとか、遠くの人と話ができるようになるとか。これらが何もない時に予測していて、今は、その通りになっていますね。それを参考に、今度は生成A Iを使って、「22世紀の予言」として100年後の東京を予測してみました。従来の発想の延長線上ではなく、これまでにない発想で果敢に挑戦し続けることが重要だと考えたのです。
―「地球外へお引っ越し」や「ゴミが消えるゴミ箱」、「住所は竜宮城」など、とても面白いですね。
小池百合子都知事
:「健康で120歳まで死ねない」とかもね(笑)。人生設計を改めて考えなければなりません。
―女性の100年後はどうでしょうか。
小池百合子都知事
:100歳でも子どもを産めるようになるかはわかりませんが、やはりダイバーシティは大事で、それぞれの持っているものを生かして活躍するような社会になってほしいと思いますね。私は、「男女平等」というのはあまり好きではなくて、男女ともに自己実現ができる社会にしていきたいと考えています。100年後と言わず、今すぐにでもなってほしいくらいです。
今回策定した東京都の新たな戦略「2050東京戦略」には、都民の皆様からいただいた「もっと東京をこうしたい!」という想いを詰め込んでいます。同時に、人口減少や人材育成など大きな課題に向き合い、今後私たちが進むべき道のりも示しています。要点をまとめたポケット版もありますので、たくさんの方にご覧いただきたいと思います。
最後に、「わ」と書かれた色紙の傍らに、新たに東京のランドマークとして外国人に大人気の渋谷スクランブル交差点を模したハンコが。女性も男性も、誰もが自己実現ができることにより、活躍する。私も100年後を待たず、そんな社会を心から願うが、小池都知事には、その道筋をつける役割を大いに期待したい。
取材・文/政治ジャーナリスト細川珠生
政治ジャーナリスト細川珠生
聖心女子大学大学院文学研究科修了、人間科学修士(教育研究領域)。20代よりフリーランスのジャーナリストとして政治、教育、地方自治、エネルギーなどを取材。一男を育てながら、品川区教育委員会委員、千葉工業大学理事、三井住友建設(株)社外取締役などを歴任。現在は、内閣府男女共同参画会議議員、新しい地方経済・生活環境創生有識者会議委員、原子力発電環境整備機構評議員などを務める。Podcast「細川珠生の気になる珠手箱」に出演中。
(細川珠生)
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