冬ドラマ名作ベスト5。“バカリズム脚本”も秀逸だけど、“日曜劇場”超えたNo.1は

画像:日本テレビ『ホットスポット』公式サイトより

冬ドラマ名作ベスト5。“バカリズム脚本”も秀逸だけど、“日曜劇場”超えたNo.1は

3月28日(金) 6:47

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1月スタートの冬クールドラマの多くが最終回を迎えました。年間100本以上の国内ドラマをチェックするアラフォー筆者も、冬ドラマをなんとか全てチェック! なかでも個人的に「最後まで観てよかった」と思った作品5つをご紹介します。

※以下、各ドラマのネタバレを含みます。

ホットスポット



まず、リピート視聴回数・満足値ともに高かったのが『ホットスポット』(日本テレビ系)です。主人公・清美(市川実日子)が働くビジネスホテルの同僚・高橋さん(角田晃広)が、ひょんなことから“宇宙人”だという正体を明かし……という展開でしたが、バカリズム氏の脚本らしく、フィクションのあり得なさ加減が今回も絶妙!

最終話が近づくにつれて“超能力者”や“未来人”までもが登場しました。「もはやファンタジーの世界!」と思うも、宇宙人の高橋さんを筆頭に、皆がどこにでもいそうな“普通の人”なのが、バカリズム脚本らしい。最後は、舞台となった富士浅田市の未来を守ろうと全員で一致団結する展開も秀逸でした。

普通の人たちがそれぞれの個性を生かし、助け合いながら自分たちの大切な日常を守る物語だったのです。何より圧倒的だったのは、『ブラッシュアップライフ』に続き健在だった人間味あるキャラクターたちによる会話劇。彼らの日常を永遠に観ていたいと思わせてくれる良作でした。地味に高橋さんロス!

晩餐ブルース



深夜ドラマですが『晩餐ブルース』(テレビ東京系)には、毎週癒されました。テレビ局でドラマの監督という夢を叶えたものの消耗中の田窪優太(井之脇海)と、料理人としてレストランで働いていたが、ドロップアウトし人生休憩中の佐藤耕助(金子大地)。そんなふたりの高校時代の旧友で離婚の傷を抱える蒔田葵(草川拓弥)も加わり、晩ご飯を一緒に食べる「晩餐活動=晩活」をするという物語です。

飯テロを得意とするテレ東らしい“心温まるご飯”で、自分を癒してあげたくなる優しい作品だった本作。一方で、弱音を吐けない男性同士の交流が特徴的でした。生きづらさや弱さ、傷を抱えた女性が、食事や会話などを通じてケアし合う作品は多くありますが、男性同士の設定は珍しい。そしてこの作品が真の意味で癒しだと感じるのは、その弱さを否定することなく、鼓舞するでもないところです。男も女も関係なく「弱さを抱えたまま生きていい」そんなメッセージを受け取りました。

主演の井之脇・金子の繊細な演技も素晴らしく、何度ももらい泣き! 彼らの平穏な毎日を願わずにはいられません。

バニラな毎日



夜ドラ『バニラな毎日』(NHK総合/原作:賀十つばさ氏による同名小説)も、しっとりと沁みる作品でした。夢だったこだわりの洋菓子店を開くも、経営に行き詰まり店を閉じたパティシエ・白井葵(蓮佛美沙子)と、図々しくて陽気な性格の料理研究家・佐渡谷真奈美(永作博美)。ふたりが“心に傷を抱えるカウンセリング患者のための”お菓子教室を始める物語です。

白井・佐渡谷の両名はもちろん、お菓子教室を訪れる患者さんたち一人ひとりの描写がとても丁寧。言葉で表すことが難しい心の機微を、繊細に表現していて観る者を惹きつけます。出ている俳優さんたち全員が、表現力豊かで素晴らしかったです。

なかでも人気ミュージシャン・秋山静(木戸大聖)が、白井と心を徐々に通わせていく描写には特に魅せられました。お互いが心に傷を抱えているからこそ、相手を傷つけてしまったり、相手のことを考えすぎてしまったり。そんなふたりを温かく見守る佐渡谷の笑顔もたまりません。失敗しても、挫けても、支え合って進もうと思える。そんな優しい勇気をくれる作品でした。

東京サラダボウル―国際捜査事件簿―



同じくNHKの『東京サラダボウル―国際捜査事件簿―』(NHK総合ほか/原作:黒丸氏による同名漫画)も名作。ミドリ髪の警察官・鴻田麻里(奈緒)×中国語通訳人・有木野了(松田龍平)が、在日外国人居住者に向き合う物語ですが、とにかく出演陣全員が実力派で、ぐいぐい引き込まれました。

日本人キャストだけでなく、さまざまな事情で追い詰められていく外国人役の方々の演技にも魅了されました。また、孤独な有木野の心を癒す最愛の人・織田を演じた中村蒼や、人身売買ビジネスを手掛ける組織の一味で“ボランティア”と呼ばれた怪しい人物を演じた絃瀬聡一。何より“ボランティア”と通じていた過去をもち、鴻田の相棒となったベテラン刑事・阿川を演じた三上博史のインパクトは凄まじかったです。

もちろん奈緒×松田のコンビもよかった! 事件と向き合いながらも、大切な人を亡くした哀しみと憤りに孤独を深めていく松田の“影”。一方で人種国籍に関係なく、目の前の人をただただ救おうとする奈緒の“光”が見事にお互いを引き立て合っていました。ぜひ続編をお願いしたい!

日本一の最低男※私の家族はニセモノだった



そしてこの冬「最後まで観てよかった」と真に思わせてくれた作品は、香取慎吾主演の『日本一の最低男※私の家族はニセモノだった』(フジテレビ系)です。実は3話くらいで脱落しかけたのですが、4話で引き込まれ……ところどころ停滞するも最後の選挙編、そして全体の構成に唸らされました。

冒頭から“そんなに最低ではない”主人公・一平(香取)が、なぜ“日本一の最低男”なのかも、見事に回収しています。社会や政治の問題を、家族や自分の身近な人たちの問題として描写したところも結果的には見応えがありました。

同じように生徒の問題を“The Personal is political(個人的なことは政治的なこと)”として取り上げた日曜劇場『御上先生』(TBS系)もかなりの良作でしたが、個人的には本作の方が好み。最後の「子どもたちや家族に、“一番好きな自分でいられる社会”を届けたい」というメッセージが強く心に響きました。

一平の後輩・今永都(冨永愛)が4話のラスト「ならなきゃね、本当に。カッコイイ大人」の台詞は全話に通じており、自分自身も身の引き締まる思いが。ほかにも随所に名セリフ・名シーンが散りばめられています。安田顕がずっと鳴りを潜めていたので、無駄遣いを疑いましたが、最後しっかり活躍したのもイイ! タイトルと内容の不一致感などで離脱してしまった人たちにも、ぜひ観てほしい作品です。

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この冬は前述した『御上先生』をはじめ、『クジャクのダンス、誰が見た?』や『法廷のドラゴン』『プライベートバンカー』など数多くの良作が揃っており、これらを外して5作品に絞るのは心苦しいものがありました。最後まで多くの作品に楽しませてもらった2025年の冬クール。皆さんのお気に入りの作品はなんでしたか?

<文/鈴木まこと>

【鈴木まこと】
日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間でドラマ・映画を各100本以上鑑賞するアラフォーエンタメライター。雑誌・広告制作会社を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとしても活動。X:@makoto12130201

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