いよいよ3月28日に開幕する2025年のプロ野球。今年も数々の記録達成が予想される。最も注目したいのは、今季から巨人でプレーする田中将大投手が、いつ日米通算200勝を達成するのか。楽天退団時から“あと3勝”の字が各所で踊っていただけに、そのタイミングから目が離せない。
ここからは投手・野手別に、セ・リーグから今季達成が予想される節目の記録を紹介していく。※選手名横の数字は開幕前時点での記録
【勝利数】
名球会入会の条件となる日米通算200勝を視野に入れているのが今季楽天から巨人へと移籍した田中将大と、ヤクルト一筋24年目の石川。両者とも開幕ローテーション入りを指揮官から明言されていることから、早い段階での記録の上積みが期待される。
また、通算100勝には昨季ノーヒットノーランを達成した大瀬良(広島)が射程圏にいる。昨季6勝だったものの、防御率は1.86と安定感を誇ったことから、打線と噛み合えば今季中の達成は十分に可能である。
・通算200勝
田中将大(巨人):197勝 ※日米含む(昨季0勝)
石川雅規(ヤクルト):186勝(1勝)
・通算100勝
大瀬良大地(広島):87勝(6勝)
【セーブ数】
こちらも名球会の入会条件にある通算250セーブには、山﨑康晃(DeNA)が残り19セーブに迫っている。
昨季は森原康平が主に抑えを務め、自身は4セーブに終わったが、マウンドでの結果次第では今季中、さらには将来的には達成のチャンスは十分にある。
また、中日で昨季通算150セーブを達成したライデル・マルティネスは今季から巨人でプレー。自己最多の43セーブを挙げており、順当に行けば外国人選手ではサファテ(元ソフトバンク)以来史上2人目の通算200セーブに到達する。
・通算250セーブ
山﨑康晃(DeNA):231セーブ(4セーブ)
・通算200セーブ
ライデル・マルティネス(巨人):166セーブ(43セーブ)
・通算100セーブ
石山泰稚(ヤクルト):90セーブ(5セーブ)
岩崎優(阪神):89セーブ(23セーブ)
大勢(巨人):80セーブ(29セーブ)
ホールド&奪三振
ホールドでは今季は岩崎(阪神)が通算150ホールドに王手をかけている。抑えではあるが、ホールド数も2017年以降8年連続で2桁を記録していることから、今季中の達成はほぼ確実と言えるだろう。
・通算150ホールド
岩崎優(阪神):149ホールド(17ホールド)
奪三振の節目の記録では、セ・リーグでは西勇輝(阪神)が1500奪三振を達成できる見込み。昨季は6勝7敗と負け越したものの、防御率は2.24と安定。開幕ローテからは外れることになったが、再び返り咲けばこちらも十分達成可能な記録である。
・通算1500奪三振
西勇輝(阪神):1482奪三振(71奪三振)
登板数&投球回
登板数では、通算500試合を達成できそうな投手が2人。
祖父江(中日)そして森(DeNA)は全盛期と比較すると昨年はやや減らしているものの、今季は巻き返しを図り前半戦での達成を目指す。
・通算500試合
祖父江大輔(中日):491試合(28試合)
森唯斗(DeNA):484試合(14試合)
中日の2人が今季、1000投球回達成が予想される。松葉は残り5.1回のため、初登板での到達も可能。
柳は昨季67回に終わったが、それまでは3年連続で150イニング以上を投げており、例年通りの成績となればこちらも余裕で届く数字である。
・通算1000投球回
松葉貴大(中日):994.2回(93.1回)
柳裕也(中日):910回(67回)
【安打】
野手は巨人のベテラン勢が大記録に挑む。現役最多の2415安打を放っている坂本は、今季2500安打を達成できれば歴代8位に躍り出る(現在12位)。
加えて、名球会入りの条件である2000安打については、丸佳浩が今季中の達成を視野に入れている。
・通算2500安打
坂本勇人(巨人):2415安打(94安打)
・通算2000安打
丸佳浩(巨人):1842安打(146安打)
・通算1500安打
西川遥輝(ヤクルト):1406安打(80安打)
・通算1000安打
中村悠平(ヤクルト):974安打(69安打)
田中広輔(広島):960安打(15安打)
桑原将志(DeNA):940安打(77安打)
高橋周平(中日):847安打(45安打)
佐野恵太(DeNA):839安打(143安打)
【本塁打&打点】
昨年減少が叫ばれた本塁打であるが、節目の記録を控えた選手が多くいる。300本塁打には、残り1本の山田(ヤクルト)を筆頭に上述の巨人ベテランコンビも射程圏内にいる。
また昨年までの5年間、本塁打王のタイトルを3回ずつ分け合っている岡本(巨人)と村上(ヤクルト)は共に通算250本塁打達成を控える。特に村上は今季が日本最終年となることが濃厚であり、どこまで伸ばすか注目が集まるだろう。
・通算300本塁打
山田哲人(ヤクルト):299本(14本)
坂本勇人(巨人):295本(7本)
丸佳浩(巨人):283本(14本)
・通算250本塁打
岡本和真(巨人):233本(27本)
村上宗隆(ヤクルト):224本(33本)
・通算150本塁打
大山悠輔(阪神):137本(14本)
・通算100本塁打
牧秀悟(DeNA):98本(23本)
佐野恵太(DeNA):90本(8本)
タイラー・オースティン(DeNA):74本
通算1000打点に近づいている選手が2名。丸と山田は300本塁打の達成が現実味を帯びているが、打点についても今季どこまで近づけるか。
昨年の数字を見ると今季中は難しくも感じるが、いずれも100打点前後挙げた実績もあるだけに可能性は十分にある。
・通算1000打点
丸佳浩(巨人):918打点(45打点)
山田哲人(ヤクルト):880打点(39打点)
【出場試合】
今季は丸にとっては記録ラッシュの年になりそうだ。安打・本塁打など主要打撃部門に加え、今季レギュラーとして出続ければ通算2000試合出場も達成する。
そして中日一筋15年で名球会入りも果たしている大島も大台を視野に入れる。2年目の12年から23年までの12年間、100試合出場を切ったことがなかっただけに、ベテランの意地を見せられるか。
・通算2000試合
大島洋平(中日):1886試合(75試合)
丸佳浩(巨人):1872試合(138試合)
・通算1500試合
西川遥輝(ヤクルト):1483試合(113試合)
【二塁打&盗塁&犠打】
通算二塁打数については16年ぶりのNPB記録更新に期待がかかる。立浪和義(元中日)がマークした通算二塁打数487を坂本が更新を狙う。
・通算487二塁打(※日本記録)
坂本勇人(巨人):459二塁打(14本)
・通算300二塁打
秋山翔吾(広島):297二塁打
中田翔(中日):275二塁打
丸が数々の記録達成を控えているが、西川(ヤクルト)も同じく節目の記録の複数達成を見込んでいる。特に日本ハム時代に4度のタイトルを獲得した盗塁では、350盗塁を成し遂げると歴代でも18位タイに躍り出る。
・通算350盗塁
西川遥輝(ヤクルト):342盗塁(10盗塁)
・通算200盗塁
山田哲人(ヤクルト):195盗塁(1盗塁)
FAで巨人に移籍した甲斐は、ここまで通算186犠打をマークしている。ソフトバンク時代には、3年連続リーグ最多犠打(20年〜22年)を記録している名手は、新天地1年目で節目の記録を達成できるか。
・通算200犠打
甲斐拓也(巨人):186犠打(14犠打)
【勝利数&セーブ数&ホールド】
昨年リーグ最多勝を獲得した有原(ソフトバンク)は日本通算100勝まで16勝に迫っている。メジャーから帰国後も2年連続2桁勝利をマークしており、今季もエースとしての活躍が期待されていることから、十分に達成可能な数字である。
・通算100勝
有原航平(ソフトバンク):日本通算84勝(14勝)
名球会入会条件になる通算250セーブでは、今季は益田(ロッテ)が到達濃厚に。平野(オリックス)はすでに日米通算で達成しているが、日本のみでの記録も王手をかけている。
・通算250セーブ
平野佳寿(オリックス):日本通算249セーブ(7セーブ)
益田直也(ロッテ):243セーブ(25セーブ)
益田に続いてロッテのリリーフ陣からもう1人。ホールドにおいて澤村が日本通算での節目に近づいている。23年に日本復帰後も渡米前に続いて2桁ホールドをマークし続けていることから、今季中での達成が見込まれる。
・通算100ホールド
澤村拓一(ロッテ):日本通算93ホールド(15ホールド)
【奪三振数】
オリックスの2人が奪三振で共に1000個を達成しようとしている。平野は上述同様日本のみでの記録であり、今季新加入した九里と共にダブルでの達成が濃厚となっている。
・通算1000奪三振
平野佳寿(オリックス):日本通算998奪三振(11奪三振)
九里亜蓮(オリックス):944奪三振(95奪三振)
・通算500奪三振
松本航(西武):495奪三振
隅田知一郎(西武):355奪三振
【登板数&投球回数】
登板数においては、すでに歴代4位に位置している宮西(日本ハム)が900試合という大台を射程圏に捉えている。
上位は岩瀬仁紀(元中日)・米田哲也(元阪急)・金田正一(元国鉄・巨人)と、そうそうたるメンバーと共に名を連ねており、更なる上積みが期待される。
・通算900試合
宮西尚生(日本ハム):869試合(30試合)
・通算800試合
益田直也(ロッテ):747試合(44試合)
・通算700試合
平野佳寿(オリックス):日本通算697試合(12試合)
益田・澤村に続いてロッテでは、同じくベテラン右腕の美馬が通算1500投球回まであと45回となっている。昨年は右ひじ痛に悩まされ3試合の登板に終わったが、今季再びマウンドに立ち続けることを目指している。
・通算1500投球回
美馬学(ロッテ):1455回
【安打&本塁打】
通算250セーブの益田に続き、野手でも名球会入会が期待されているのが浅村(楽天)。13年から12年間100安打を割ったことがなく、今季も出場を重ねられれば通過点として達成できることが見込まれている。
・通算2000安打
浅村栄斗(楽天):1964安打(119安打)
・通算1000安打
西川龍馬(オリックス):949本
外崎修汰(西武):912本
今季ソフトバンク勢が、節目の本塁打記録達成を視野に入れている。特に柳田と山川はシーズン通して出場し続ければ何本打てるのか、ファンはそのアーチを楽しみに視線を送る。
・通算500本塁打
中村剛也(西武):478本
・通算300本塁打
浅村栄斗(楽天):297本
柳田悠岐(ソフトバンク):264本
山川穂高(ソフトバンク):252本
・通算200本塁打
ソト(ロッテ):182本
・通算100本塁打
今宮健太(ソフトバンク):98本
近藤健介(ソフトバンク):97本
杉本裕太郎(オリックス):83本
【出場試合】
浅村にとって安打数に続き、「2000」の数字が近づいているのが通算試合出場数。今年は“ダブル2000”の達成で花を添える年になることが濃厚である。
・通算2000試合
浅村栄斗(楽天):1948試合
・通算1500試合
角中勝也(ロッテ):1477試合
柳田悠岐(ソフトバンク):1450試合
・通算1000試合
田村龍弘(ロッテ):972試合
【二塁打&盗塁&犠打】
パ・リーグでは浅村が記録ラッシュとなる可能性がある。すでに3部門で登場しているが、二塁打でも節目の数字を控えていることから、今季どこまで数字を伸ばすか注目される。
・通算350二塁打
浅村栄斗(楽天):338二塁打
・通算300二塁打
近藤健介(ソフトバンク)294二塁打
柳田悠岐(ソフトバンク):287二塁打
鈴木大地(楽天):281二塁打
・通算200二塁打
外崎修汰(西武):186二塁打
ソフトバンクでは本塁打数の他に周東が通算200盗塁にあと5つと迫っている。昨季は両リーグで唯一40盗塁を超えるなど、球界No.1とも言える鷹の韋駄天は、余裕で到達することは間違いないだろう。
・通算200盗塁
周東佑京(ソフトバンク):195盗塁(41盗塁)
すでに歴代4位の数字をマークしている今宮(ソフトバンク)。昨季のペースで重ねていけば同3位の宮本慎也(元ヤクルト)の408を超え、同2位の平野謙(元西武ほか)の451の更新も見えてくる。
・通算400犠打
今宮健太(ソフトバンク):395犠打(25犠打)
・通算250犠打
炭谷銀仁朗(西武):243犠打(10犠打)
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シーズンが終わる頃にはどれだけの勲章が手にされているのか、活躍と共に楽しみにしたい。
<TEXT/神楽ヒロミチ>
【神楽ヒロミチ】
神楽坂に拠点を置くフリーライター。2017年に通信系の企業でラグビーのサイトを手掛けた際に記事制作を行い、これをきっかけにライターとしての活動も開始する。以降地域メディアを担当しながらスポーツへも進出し、ラグビーのほかサッカーや野球にも執筆範囲を拡大している。趣味は筋トレと地域のデカ盛り店を回ること
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