プレミアリーグで奮闘の三笘薫、鎌田大地に優勝のチャンス FAカップ準々決勝の見どころ

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プレミアリーグで奮闘の三笘薫、鎌田大地に優勝のチャンス FAカップ準々決勝の見どころ

3月28日(金) 9:15

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イングランドの国内カップ戦FAカップはベスト8が揃い、準々決勝が行なわれる。プレミアリーグで奮闘する三笘薫のブライトン、鎌田大地のクリスタル・パレスが勝ち残っているが、今季はどちらにも優勝のチャンスがあるという。

プレミアリーグで奮闘の三笘薫、鎌田大地に優勝のチャンス FAカップ準々決勝の見どころ

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【154年の歴史がある世界最古の大会】 北中米W杯本大会行きを世界最速で決めた日本代表の2選手が、世界最古のメジャータイトル獲得へ向けて好位置につけている。

代表ウィーク明けの今週末、フットボール発祥の地イングランドではFAカップ準々決勝が予定されている。この大会が始まったのは1871年。実に154年もの伝統を持つコンペティションには、これまでに複数の日本人選手が挑み、2002年に稲本潤一が所属していたアーセナル、2013年に宮市亮が在籍していたウィガン、2022年に南野拓実がプレーしていたリバプールが優勝しているものの、いずれもチームの主力とは言えず、もっとも出場の多かった南野も準決勝以降はベンチ外だった。

一方、今季の8強に残っているブライトンの三笘薫はチームの攻撃の主軸で、クリスタル・パレスの鎌田大地は1年目のチームで定位置を掴んでいるとは言えないが、FAカップでは過去3試合のうち2試合に出場している。おそらくこの28歳の日本代表MFは、イングランドのリズムにまだ適応しきれていないだけで、いずれ本領を発揮するのではないか。フランクフルトで共にヨーロッパリーグ――こちらもカップ戦だ――で優勝したオリバー・グラスナー監督も、きっとそう考えていることだろう。

5月17日に聖地ウェンブリースタジアムで予定されている決勝に駒を進めるには、どちらもあとふたつ勝ち進まなければならないが、今季はその道のりが例年より平たく見える。なぜならベスト8に残っているビッグクラブは、マンチェスター・シティだけなのだ。またそのシティに対し、ブライトンは今季のプレミアリーグで1勝1分、クリスタル・パレスは1分。冒頭で、"好位置につけている"と記した理由だ。

【すでにビッグクラブをふたつ倒しているブライトン】 もっとも、ブライトンはすでに今季のFAカップで、ふたつのビッグクラブを下している。2月8日にホームで行なわれたチェルシー戦では、GKバルト・フェルブルッヘンのキャッチミスで先制を許した後、前半のうちにジョルジニオ・ルターが同点とする。そして後半には、後方からのルターの浮き球のパスをボックス内の三笘が右肩で巧みにトラップし、右足アウトサイドのループシュートで相手GKの鼻先を掠めるように逆転ゴールを決め、2-1の勝利を収めた。

現在27歳の日本代表ウイングはこのゴールを含め、今年に入って全公式戦で5得点を記録しており、調子を上げている。またこのチェルシー戦は、三笘がサウジアラビアのアル・ナスルから届いた推定105億円超のオファーを断った後の初戦だったため、試合後の記者会見ではファビアン・ヒュルツェラー監督が次のように話した。

「(クリスティアーノ・ロナウドやサディオ・マネらが所属するクラブからのオファーを三笘が断って)本当に嬉しい。でも彼自身も、ブライトンでプレーすることに喜びを覚えていると思う。なぜなら、彼はこのチームから得られるものや、ここで成長できることを知っているからね。彼は一度も、クラブにそのオファーに応じるようにと言わなかった」

3月2日にはニューカッスル――2021年10月にサウジアラビアの国家ファンドが買収し、世界一の資金力を持つスーパークラブのひとつに――とのアウェー戦に臨み、キーラン・トリッピアー、ティノ・リブラメントというイングランドの新旧代表サイドバックの前に沈黙を強いられた。それでもチームは1-1の後の延長戦に、ダニー・ウェルベックが逆転ゴールを奪って2-1と勝利し、2シーズンぶりに8強に進出している。

日本時間3月30日(日)の2時15分にキックオフが予定されている準々決勝では、本拠地アメックス・スタジアムにノッティンガム・フォレストを迎える。かつて伝説的な名将ブライアン・クラフのもと、UEFAチャンピオンズカップ(チャンピオンズリーグの前身)を連覇した古豪は、一昨季にプレミアリーグに復帰し、2シーズン連続で残留争いに巻き込まれたが、昨季途中に就任したヌーノ・エスピリト・サント監督の指導により、今季はプレミアリーグで台風の目となり、現在3位。ブライトンは2月1日に敵地で行なわれたリーグ戦で、彼らに0-7と屈辱的な大敗を喫している。

33歳の巨漢FWクリス・ウッド――日本の次に北中米W杯への切符を掴んだニュージーランド代表のキャプテン――にハットトリックを決められるなど、この時はなす術なく敗れたが、ブライトンはその大敗を引きずることなく、以降の全公式戦試7合は6勝1分。ヒュルツェラー監督は「あの試合を冷静に分析し、修正を施した。このチームには大きなポテンシャルがあり、それが徐々に継続性につながっている。私たちはプロセスを信じている」と前向きに話している。ブライトンの誰もが雪辱を誓っているに違いない。

【決勝での日本代表対決成るか】 かたや、クリスタル・パレスのFAカップのここまでの3試合の相手は下部リーグのチームだった。鎌田がベンチで試合を終えた3月1日のミルウォール戦では、序盤に相手GKリアム・ロバーツがパレスのFWジャン=フィリップ・マテタの頭部にスパイクの裏で蹴り込むというショッキングなプレーが発生。当然、レッドカードが提示され、数的有利を得たパレスが3-1で順当に勝利を収めている。

チーム得点王のマテタの状態と同様に、鎌田が先発起用される可能性も不透明だ。20日のバーレーン戦でW杯出場を決める得点を記録した後、彼はこんなことを言っていた。

「今季は自分が思うようなシーズンを送れていなくて、気持ち的にも難しい日々を過ごしているんですけど、こういう風に点を取れたりするんだなと。本当にわからないなと思いました。ただヨーロッパリーグで優勝した時もそうでしたけど、どれだけ難しくてもやり続けることが大事。やり続けているからこその結果だと思います」

日本時間3月29日(土)の21時15分に開始予定の準々決勝では、フラムの本拠地クレイブン・コテージに乗り込む。鎌田は11月9日のホームでのフラム戦の76分に、ケニー・テテを激しく削り、退場処分になった。この試合を境に先発の機会が減っており、鎌田にとっては因縁の相手と言える。先発にしろ、途中出場にしろ、出番が来れば、「難しくても(自分のプレーを)やり続ける」はずだ。

ちなみにFAカップでは、これまでに9人の日本人選手がネットを揺らしている。代表戦でゴールの感覚を取り戻した鎌田が、ここで10人目になったとしてもおかしくはない。

願わくはどちらも勝ち進み、抽選で準決勝での対戦を避けた上でさらに勝ち上がってほしい。"フットボールの故郷"と呼ばれるウェンブリースタジアムでの決勝で、日本代表対決が見られれば、この上ない。

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