「きっと病気を持った子が生まれるよ」とひと言。妊娠5カ月のとき、日頃からお世話になっている職場の男性上司に言われた言葉です。普段から少しおせっかいなくらい面倒見の良い上司。行きすぎた気づかいが招いた衝撃発言には、私に対する上司なりの思いがあったようです。妊娠中に悔しく、悲しい思いをした体験談をご紹介します。
面倒見がいい? 何かと口出しする上司
直属の上司である40代前半の男性Aさんは、既婚者でお子さんが2人いらっしゃいます。「俺は人生の酸いも甘いも経験してきた。人生経験豊富な俺のアドバイスを絶対に聞いておいたほうが良い」というのがAさんの口癖でした。私が夫と付き合っているころからいろいろと聞いてきては、それはダメ、それは良い、結婚する時期はいつのほうが良いなど、おせっかいなくらい助言してくるAさん。
Aさんの言動に少々行きすぎだなと感じたことはあったものの、妊娠報告したときはとても喜んでくれて、私の体調を気づかって仕事を調整してくれるなど、とても思いやりのある方です。そのため、Aさんの多少の言動は目を瞑りました。しかし、ついにAさんのおせっかいに限界を感じてしまう出来事が起こったのです。
衝撃の連続! ひどい言葉のオンパレード
急きょ夫が海外へ転勤することになり、私も一緒についていくため退職したい旨をAさんへ報告しました。すると、Aさんは開口一番「生まれてくる子どもがかわいそう。〇〇(転勤先の国)は空気が汚いから胎児に影響が出て、きっと病気を持った子が生まれてくるよ」と言ってきたのです。おなかの赤ちゃんは、健診のたびに頭が大きいと言われていたため不安で、ネットで検索し続けていたときだったのもあり、Aさんの言葉に私はひどく傷つきました。
Aさんは続けて、「出産するのは日本へ帰国してからにしたほうが良い」と言ってきたのです。日本へ帰国するのは早くても5年後と、Aさんにも伝えていました。
5年後まで赤ちゃんをおなかの中で育てろと言っているのか、中絶して5年後にまた子どもを授かったら良いと言っているのか、真相はわかりませんが、あまりにもショックな言葉に私はそれ以上何も言えませんでした。
Aさんの言葉の真意とは
帰宅後、夫にその出来事を伝えたところ、怒り心頭。転勤する予定日よりも早く仕事を辞めても良いと言ってくれました。翌日もAさんから再度退職を引き止められましたが、引き継ぎが無事に完了したあと、すぐに退職しました。
その後、元職場の同僚と会う機会があり、話題はAさんのことに。「Aさんはあなたにチームリーダーを任せたかったみたい。あなたの退職を止めようとしたけれど無理だったって、残念そうにしていたよ」と同僚が言ったのです。
Aさん本人から聞いたわけではないため真相はわかりませんが、Aさんのひどい発言は私のキャリアを考えてくれたために出た言葉だったようでした。そうだとしても、Aさんの行きすぎたおせっかいは、到底理解できるものではありません。出産するまでAさんから言われた言葉をふとしたときに思い出しては、悔しさと悲しさで涙が出る日々を送りました。
その後、無事に元気な男の子を出産。元職場のみんなへ報告すると、Aさんは自分のことのように喜んでくれました。現在もAさんからたまにおせっかいな連絡がありますが、今はそういう人と割り切り、程よい距離で接するようにしています。これを反面教師にして、相手のためと思ってする言動が自分の一方通行になっていないか、今一度考えてから行動しようと強く感じたのでした。
※人工妊娠中絶は、母体保護法により定められた適応条件を満たしている場合に限り、施行されます。
著者:米久熊代/女性・自営業。1歳男児の母。人材会社や人事の仕事を経験し、夫の転勤を機に退職。現在はフリーランスとして前職関係の仕事とライターをしながら、プレママ・新米ママ向けブログを運営中。
作画:うちここ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています
監修者・著者:助産師 松田玲子 医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。
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